第47話

ミスリル以上の鉱石は、穴掘りスキルが90%以上でないと。掘り当てる事すら不可能な鉱石。


オリハルコンに至っては、GMが絶対条件の幻の鉱石。


しかも、掘り当てても。ランダムでオリハルコンを掘れる場所が毎回変わるので。


USO内の穴掘り師マイニングが何千人居るのかは不明だが。オリハルコン等は。


1日に1~2個しか、市場の掲示板に出回っていない有様だ。


そうこう、している内に。蒼夜君が1本の剣を手に持ち眺めている。


《へえ、あれを選ぶか》


内心、蒼夜君の鑑定眼に舌を巻く俺。


「あの。これ……。」


そう言って、蒼夜君が手にした剣を俺に見せる。


「それで、良いのかい?」


「はい……」


頷く、蒼夜君。


「そうか。なら、遠慮なく使ってくれ。」


「でも……これ……。間違いでなければミスリル製品ですよね?」


そう、蒼夜君が手にした剣は。まさしく、ミスリルの剣。


ただし、俺的には。ミスリルで出来た剣と言うだけで、何の特攻効果も、ステータスボーナスも付いていない駄剣なので。ランク的にはR+だ。


市場に出しても、せいぜい80~100万ゴールド程度だ。


「なに。此処に在るって事は。


俺のフレンド達も、誰も使わないから放置されているのだって証拠だ。


使われなくて、肥やしに為っているのだから。遠慮なく使ってくれ。」


「有り難う御座います!絶対に、お金を支払いますので!」


「ん?お金なんて要らないよ。」


「でも、こんな高価な品物を貰う訳には……」


「ん~。じゃぁ、こうしよう。また、今度。荷物持ちをしてくれれば良いよ。」


「はい?」


蒼夜君が、間の抜けた返事を返してくる。


「勿論、君の暇な時で良いから。」


「はい?」


「OK。商談成立。暇な時に連絡してね。」


そう言って、俺は蒼夜君にフレンド申請を飛ばす。


「いやいやいやいや!!今の、はい?は、はいじゃなくて!」


蒼夜君の言葉に、俺がキョトンとしていると。


「あぁぁああ!! もう良いです!」


俺の飛ばした、フレンド申請を了承する蒼夜君。


「それじゃぁ、今日は、もうログアウトするからね。またねえぇ~。」


それだけ言うと、俺はステータスウィンドウから、ログアウトの項目を押してログアウトした。


1人部屋に取り残された蒼夜。


「で……どうしろと……」


武器防具の溢れる部屋の中に取り残され、持ち逃げしたいと言う悪魔の囁きと戦う蒼夜だった。


 * * *


これが俺と、蒼夜そうや君との出会いだった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る