第46話

そこへ、再びドアをノックする音が聞こえ。ソフィアがカートに飲み物と、軽いツマミを乗せて部屋の中に入ってくる。


「イクル様。お待たせしました。」


そう言って、ソフィアはカートの上に置かれているポットから、コヒーカップにコーヒーを注いで俺の前に置く。


次いで、蒼夜君の所にもコーヒーを入れて、砂糖とミルクも置く。


最後に、クッキーをテーブルの上に置き、自分は立ったままの姿勢でイクルの右側に立つ。


「ありがとう、ソフィア。出来れば、君も座ってくれないか?」


「それは、命令ですか。」


「いや、お願いだ。」


ソフィアは少し考えると、イクルの右のソファーに腰掛けた。


蒼夜君は、そのソフィアをマジマジと見ていた。


「凄いですね・・・・」


蒼夜君が、ソフィアを見ながら呟く。


「それは、どっちの意味だい?」


「えっと・・・」


「ソフィアの容姿に?それとも、使用人の性能としての?」


「両方です・・・」


俺の助け舟に、蒼夜君が答える。


俺としても、最近はソフィアを只の使用NPCノンプレイキャラクターとは思えない時がある。


今だってそうだ。


頼んでもいないのに、クッキーを持ってくる。


気が効いてると言えば、聞こえは良いが。他のNPCも、そうなのだろうか?


ソフィアと同タイプのNPCノンプレイキャラクター使用人は、現存数は僅かに3体だけ。


服装のカスタマイズと、キャラメイクが出来ると言う理由で、俺は購入したが。


実に、2000万ゴールドもの驚きの値段だった。


他の、NPCノンプレイキャラクター使用人は平均的に50万~200万ゴールド。


カスタマイズと、キャラメイクが出来ないと言うだけで、性能は同じだと思うが・・・・。


ソフィアを購入した時には、フレンド達から「馬鹿じゃない!?」を連呼された。

 

コーヒーを飲み干し、クッキーを平らげて。俺は蒼夜君を連れて、隣の部屋に移動する。


この部屋は、武器防具置き場だ。



「うわあぁぁ・・・・」


部屋の中の数々の武器防具を見て、蒼夜君が感嘆の声を上げる。


「欲しいのが有れば。持って帰っていいから。」


「ほぇ!?」


「欲しいのが有れば挙げるよ。」


「うえぇえ!!」


蒼夜君の叫び声に、思わず顔を顰める俺。


「でも、コレって!全部レア物ばかりですよ!!」


「要らないなら、無理にとは言わないけど。」


「・・・・・・・・」


なぜ無言になる?


「ほんっとおううに。貰っても良いんですか?」


「どうぞ。」


俺の返事を聞くと、蒼夜君は顔を輝かせながら、武器防具を品定めし始める。


顔を輝かせてる蒼夜君には悪いけど・・・・。


ここの、レア度って、そんなに高くないんだよね・・・・。


カードゲームで言えば。せいぜい、R~R+ と言ったレア度だ。


確かに、蒼夜君の使っている武器防具もHQ製品で高性能だが。


それは、あくまでも、鉄鉱石での範疇であって。


特殊鉱石の武器防具に比べると。どうしても、見劣りしてしまう。


鉱石の種類は下から。


鉄→黒鉄→銀→白銀→ミスリル→アダマンタイト→オリハルコン


となる。

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