第41話

取り合えず、ドレイクの皮と肉を腰袋に入れる。


この腰袋。どんなに大きなものでも収納できるのだが。


何故か、重さだけは加算されていく仕組みだ。


まぁ、リアリティーを追求した結果なのだが。不思議だよな。


それでも、背中に背負袋を背負わされて動き回るよりは遥かにマシだ。


CBクローズベータの頃は、背負袋を背負って狩りに出ていたからな。


あの時は、苦情しか出なかったよ・・・・ホント・・・・。


解体作業をしながらも、竪琴を奏でながら、平和と扇動を繰り返して、周囲のドレイクを狩りまくる。



   *   *   *   *   *   *   *



そろそろ、狩り始めて30分が経とうとしていた。


USOの中では時間の概念が在り。時間の経過と共に空腹感も出てくる。


空腹感が出れば、体力STMが半分に為り、持ち帰れる素材の量が減る。


その為に、適度な食事も必要だ。


因みに、現実での2時間が。USO内の時間で8時間に当たる。


お腹は空いては居ないが、そろそろ腰袋の重さが気になり出してきた。


USOでは、重さの概念も在る為に。自分が持てる総量以上の荷物を持ち歩くと。


体力STMが減っていき、身動きができなくなる。


(一度、町に戻るか)


そう考えていた時だった。


俺の耳に、足音が聞こえた。


(ん?他のプレイヤーの足音・・・)


吟遊詩人の俺は、対人スキルなど取っていない。


なので、PKプレイヤーキラーとかの対人戦では、全くと言って良い程の役立たずだ。


PKプレイヤーキラー

*一般のプレイヤーを倒して喜ぶプレイヤー。

*何故か、PKしているプレイヤーの大半は、現実リアルでは優しい人が多いと言う謎仕様。


素早く腰袋から、帰還リコール巻き物スクロールを取り出して、発動の準備をする。



PKプレイヤーキラーなら、瞬時に発動させて逃げる。


が、俺の視界に入ったプレイヤーの名前は青色。




「あっ、イクルさん!今晩わ。」



話し掛けてきたのは、見た目18歳くらいの男性のプレイヤーだった。


勿論、USOの世界では、見た目が現実の性別と同じとは限らない。



男性が女性キャラを作る事も、その逆も可能だ。


キャラ名は【蒼夜そうや】と言い。戦士系のプレイヤーだ。



「今晩わ、蒼夜くん。今日も、叩くかい?」


「今日は、知り合い達と来ているので、遠慮しておきます。」


蒼夜の後から、4人ほどのプレイヤー達が見える。


「あら、残念。荷物持ちをGET出来なかったか。」


そう言って笑う俺。


「あはは、また今度、荷物持ちさせていただきますよ。」


「誰?」


蒼夜の後ろの若い女性が、蒼夜に尋ねる。

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