第34話

「ひとつ、確認するが。


加奈って子の名前は、【高梨】とか【高無】ではなく、【小鳥遊】で合ってんだな?」


「はい。


小鳥に、遊ぶ。 と書いて小鳥遊たかなしです。」


「心当たりが?」


水無月みなづきが、ダンに聞くと。


「知り合いかどうかは解らないが、珍しい名前だからな。


知人に数人、本名が【タカナシ】と言う名前のプレイヤーを知っている。


知人の話だと、小鳥遊と言う性は、日本中探しても数百人も居れば良い方だそうだ。


期待は出来ないが、もしかしたら、そのプレイヤーの従姉いとこ再従妹はとこと言う知り合いなんて事もあるかもしれん。」


ダンの言葉に、あやの表情が明るくなるのが見て取れた。


「まぁ、あんまし期待はせずに待っててくれ。


一応、連絡先は聞いてるから、連絡は取ってみる。


SMSや、ツイッターに載せるのは最終手段だ。」


そう言って、あやを見るダン。


「お願いします! お願いします! お願いします!」


あやはダンの手を強く握り、何度も頭を下げる。


「あ、ああぁ……。」


あやの鬼気迫る、とも言える気迫に頷くダン。


(ホントに、世間は狭いかも知れんな……。)


内心で、苦笑いしながら1人の男性を思い浮かべる。



 * * * その日の晩 * * *



「……と言う事情なんだが。」


『そうですか。 確かに、姪に加奈かなと言う子は居ますよ。』


電話の向こうの相手が答える。


「その子に連絡は取れそうか?」


『はい。 心当たりが有るか聞いておきます。』


「すまん。 頼む。」


『ってか。団長。 やり過ぎです。』


「うっ!」


『いくら、覚悟を聞きたいからって。高校生相手に、SNSに顔載せって。その覚悟の聞き方は無いと思いますけど。』


「……反省はしている。が。 お前には、言われたくないぞ。」


『僕は良いんですよ。そう言うキャラで通してますので。』


「そんな事を言ってるから、誤解ばっかり招くのだろうが。」


『言いたい奴には言わせておけばいいんです。 僕は僕。 団長は団長。


 団長が、僕の真似をする必要はないでしょう。 まったく……』


「と、とにかく。 聞いておいてくれ。」


『わかりました。 確認したら、折り返し、連絡を入れますので。』


「頼む。」


そう言って、電話を切る。

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