第33話

「後悔しても、過去におこなってしまった事は変えようがない。


あやは、何をしたいんだ?


あやは、一体どうしたいんだ?」


攻めて要る口調ではない。


ダンは、ただ単に訪ねているだけだ。


あやが、何をしたいのかを。


最初、あやはダンが何を言っているのか理解できなかったが。


少し考えて、ダンが言っている意味が理解できたようだ。



「謝りたい! 加奈に謝りたい!


無理かもしれないけど! 出来る事なら、加奈に逢って謝りたいっ!」


声を大にして、ダンに言うあや


あやが、本気で謝りたいと言うなら。 方法が無い訳でもない。」


真面目な表情で、ダンが言う。


「私に出来るなら何でもやる! 今度は、絶対に逃げない!」


必死の形相で、ダンに詰め寄るあや


「なら、方法は教えてやるが。 かなりヤバイ方法だぞ。」


そう言ってダンは、あやに何処に居るのかも解らない加奈に会えるかもしれない方法を話し出す。


 

 *数分後*



「ダンさん…。 流石に、その方法はヤバすぎるって……。」


ガーランドが溜め息混じりに言う。



「そうですよ! いくら何でも危なすぎます!


どこで、誰が見ているのか解らないんですから!」


水無月みなづきも、顔を険しくしてダンに反論する。


「下手すりゃ、ストーカーなんて輩が出てくるかも知れないんだぜ。危なすぎるって。」


水無月の言葉に、ガーランドも援護する。


水無月みなづきと、ガーランドの言葉は無視して。


ダンは黙って、あやを見ている。


ダンが提案した方法とは。


あやが、SMSサイトや、ツイウィター等で、加奈に向かって会って謝りたいと言う言葉を載せる事だった。


中学時代の学校名とクラスと本名を出して、加奈にメッセージを伝える。


と、言う簡単な事だが。


今の時代。


本名と所在地を流すと言う事は、かなり危険な行為だ。


昔とは違い、ネットワーク機能が著しく発達した今現在。


下手をしなくても、あや程の美少女(仮なら)、確実にストーカーなどと言う輩がでてくる確率の方が高い。

 

「やる。」


小さいが、ハッキリと彩が言葉を発した。


「私、載せます! そして、加奈に謝る!」


今度は、しっかりと大きな声で彩が宣言する。


あや!」


「本気なのか!?」


水無月とガーランドが、驚きながら彩を見つめる。


「本気なんだな?」


ダンが、声を低くして、脅すようにあやに聞く。


「はい! 本気です!」


キッ。 と、ダンを睨み返すように彩が言い放つ。


「ふうぅ……。」


大きな息を吐きだしながら、ダンが額に手を当ててうつむく。


ガーランドと水無月は、黙って彩を見ている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る