第30話

「生来さんは! 理由も無しに、そんな事はしないです!」


水無月が、泣きそうな表情を浮かべて言う。


水無月みなづきの言う通りだ。


ちゃんとした、理由はあるんだがな。」


水無月みなづきに、笑みを浮かべてダンが言う。


「アイツが殺ったのは、初心者を騙して、レアなアイテムを格安で手に入れるタチの悪いプレイヤーだよ。


それ以外にも、初心者に粘着するPKプレイヤーキラーや、中層のプレイー達にチョカイを掛けたり。


女性プレイヤー達に、セクハラ紛いの行為を繰り返したプレイヤー達さ。


だから、掲示板の書き込みなんて、9割は嘘さ。」


水無月みなづきの目を見ながら話すダン。


「ほらねっ!


生来イクルさんは、理由もなく他人を傷付けたりしないんだから。」


嬉しそうな表情で、水無月みなづきが、ガーランドと彩を見る。


「なら、何で、それを言わないんだ?


別に悪い事をしていないだろう?


逆に、自分の悪評をばらまかれているんだ。


反論の言葉くらい、発言してもいいんじゃないのか?」


ガーランドの発言に、水無月と彩の2人が、ダンの顔を凝視する。

 

「まっ、性格なんだろう。


アイツは、自分の知らない人には、どう思われようが関係ないと思っている。


自分のことを、ちゃんと理解してくれる人にだけ信じてくれれば良い。


それが、アイツの自念だ。」


「ひゅー。 格好いいね。 俺には真似できないや。」


ガーランドが、茶化すように言うと。


「そうね。 普通は周囲の評価や、視線を気にするもんね。」


あやも同意する。


「自分が正しいと思っている事に、誰がなんと言おうとも曲げない。


我侭わがままでもなく、頑固と言う意味でもない。


自分の信念を曲げない、人に左右されない。


言うのは簡単だが、実行するのは難しいぞ。」


「でしょうね。


誰だって自分が可愛いんだから、周囲の視線や評価を記するわよ。


私だって、そう。」


暗い表情で彩が言う。


黙って、あやに視線を集める3人。

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