第7話

すると、自動で腕に包帯が巻き付いて数秒後にHPが回復した。


その後も、何度も戦闘を繰り返し。


ゾンビと、スケルトンを倒しながらスキル値を上げていく。


いつの間にか、私は共用墓地の中程にまで侵入していたらしい。


襲ってくるモンスターの数が、2匹から3匹と増えていた。


《ちょっと、引き返して体制を立て直そう》


そう考えた矢先に、目の前のゾンビ2匹と、スケルトン1匹にタゲられてしまう。


《やばっ!》


慌てた私は、周囲を確認せずに入口に向かって走り出した。


はい……。 大失敗の元です………………。


次々と、私にタゲってくれるモンスター達。


その数、10匹………。


「無理 無理 無理ぃ~~~~!」


トレインさせながら、必死に入口に向かって走る私。


★トレイン:ゲーム用語★

*モンスターを複数匹(大漁に)、引き連れて移動している状況。

*列車の車両に見立てて、この呼び名が付いた。

*子供の時の、電車ゴッコを思い出してくれれば連想しやすい。


スケルトンは分かるけど、何でゾンビまで走る速度が速いのよ!。


走るとスタミナ値が減っていく。


私のスタミナゲージが、ドンドン減っていくのが目に見えて分かる。


スタミナが無くなると走る事が出来なくなる。


《こりゃ、死んだかな……。》


私が諦めた時。


何処からか、音楽を奏でる音色が聞こえてきた。


すると、今まで、私にターゲットしていた、モンスター達のターゲットが、一斉に解除されて動きが止まる。


*ターゲットが解除されると、MOBモンスターは5秒ほど動きを止める仕様。


《なに……?》


状況が掴めずに、困惑する私。


「ボケっとしないっ! 今のうちに倒して!」


声のした方に顔を向けると。


1人の女性プレイヤーが、竪琴を手にして私を見ていた。


女性プレイヤーのタグを見れば。


【ラクス】と表示されている。


私が、彼女を見ていると、再びと言うか。


当然と言うべきか。


トレインしてきた、モンスター達のターゲーットが、再び私にロックオンされる。


「ひゃっ!」


短い悲鳴を上げる私。


その時、彼女。


ラクスが、手にした竪琴を奏でる。


すると、今度は全部ではないが、8匹のモンスターのターゲットは外れて、残りの2匹がラクスにロックオンする。


彼女は、竪琴を奏でて、先程の音色とは違う音楽を奏でる。


すると、彼女にロックオンしていたゾンビとスケルトンが。


ゾンビはスケルトンに。


スケルトンはゾンビに向かって攻撃しだす。


「ちょっと! 倒すの手伝ってよね!」


そう言って、ターゲットが外れている、ゾンビとスケルトンを指さす。

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