【第2話】過去―2(blackmail)
ホテルの一室で、男が一人、キーボードを叩いている。神経質に、爪を噛みながら、誰かとチャットを取り合っていた。
彼は、「活動家」として、ある大企業を脅迫している。だからこそ、企業の追手が来るのを何よりも恐れていた。
このホテルは偽名で予約し、周囲の部屋は全て予約を入れることで、誰も近づけないようにしてある。元海兵隊のボディーガードも雇い、部屋の前で待機させている。
明日の朝には、高跳びだ。男は脂ぎった長髪をかき上げ、ため息をつく。
こつ、こつ、と硬い物がガラスに当たる音がし、男はハッとする。立ち上がり、窓の方を見る。あるのは、地上10階の夜景だけ。
しかし、男は無線でボディーガードを呼び、窓を調べさせる。
「何もありません」スキンヘッドの白人は、窓を開け、外もライトで照らし、確認すると、窓を閉め、施錠されているのを見せた。
「分かった」男は、頷く。
「速く寝るのが良いでしょう。強い酒でも作りましょうか?」
男は、ボディーガードを外に追いやり、ブランデーを取り出す。
そして、手慣れた手つきでシェイクし始め―
突如、口が圧迫される。革の匂い―視界が黒い。腕が鋼のような物で固定される。
―敵……!
落ちかけたカクテルグラスを誰かがキャッチする。
目の前には、黒いジャンパーを着た男。顔には、黒い目出し棒。その手には、拳銃。
「静かに。それとも、永遠に黙りたいか?」侵入者は、口に当たる部分に一指し指を添える。
侵入者は二人おり、一人は、男の背後に居るようだった。
「さて、話をしようか」侵入者は、拳銃を押し付けた。
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