第73話 ローレシアと夜を過ごす
昨日は凄かった。
アリアスと過ごした一夜は、俺にとって忘れられない夜となった。
何が凄かったかは、まぁ言わないでおこう。察して欲しい。
「それはともかく、今日もよく働いたなぁ……。収穫に交易、探索に魔物の退治。やることが多くて疲れる……」
というわけで、今日も二階の自室で寝よう。
ここのところ、どうも疲れてしまうな。
二人には悪いけど、ゆっくりと寝てしまいたい気分だ。
というか、アリアスとあんなことがあったから、一緒に寝るのが恥ずかしい。
俺のアレがアリアスのアレにアレしたことを思い出してしまう。
今朝も気まずいというか、気恥ずかしい雰囲気になってしまったしな。
しばらくは一人で寝た方がいいかもしれん。
いや、そうすると逆に夫婦仲が悪くなるのか?
わからん……難しいな……。
とか考えていると、眠気が吹き飛んだ。
あれこれ悩んでいると、どうにも眠れない。
いや、悩み自体は問題ないのだ。こんな贅沢な悩みを持つことなんて、今までじゃ考えられないしな。
ただ、どうにももどかしい。
俺の陰キャっぷりを治すには、長い時間が必要になりそうだ。
「あの……」
コンコンというノックの音と共に、ドアの向こうから控えめな声が聞こえた。
まさかアリアスか? いや、この声はローレシアだ。
一体どうしたというのだろう。
「ローレシア? どうしたんだ」
「入ってもいいでしょうか……」
「ああ、うん。どうぞ」
ローレシアはそっと物音を立てずに、俺の部屋に入ってきた。
「夜遅くにすみません……」
「いや、それは全然いいんだけど……」
ローレシアはネグリジェを着ていた。
ただし、ただのネグリジェではない。
スケスケのエロエロなやつだった。
どういうこと?
「ろ、ローレシア……その格好は……」
「あ、明かりを消してください……! その、見られると恥ずかしいので……」
「わ、分かった……」
そう言われて部屋の電気を消す。
しかしローレシアは一体どういうつもりなんだ?
そんなスケスケの服を着て、俺の部屋にやってくるなんて。
どう考えても、エロな展開しか思いつかないんだが……。
え? そういうこと?
あの清楚で可憐なローレシアが、俺の部屋に……?
マジで……?
アリアスなら分かるよ。格好からしてエロだもん。
でもローレシアが……?
「ろ、ローレシア……」
「き、昨日はアリアスさんと一緒になったんですよね……」
「あ、えーと……」
バレてる。
そりゃそうか。一緒の家に住んでるんだもの。
しかもいつもは三人で寝てるのに、二人がいなくなってたら、そりゃ気付く。
「いえ、いいんです。二人で話し合って決めたので」
「あ、そうなんだ……」
ということは、昨日アリアスがやってきたことは、ローレシアは事前に知ってたのか。
なんか安心したような、隠してた自分に罪悪感を覚えるような……。
「それで……ですね。レクスにお願いがあるんです……」
「お願いというのは……つまり、アレだよな……」
「はい……わ、私もアリアスさんと同じように……愛してください!」
マジか。
マジだ。
いや、考えてみれば当然だ。
二人の妻がいて、片方にだけアレをするというのも変な話である。
ただ、ローレシアは元聖女ということもあって、何となくそういう話をするのはやめた方がいいのかなと遠慮してたのだ。
まぁ、好きな女の子に手を出せない言い訳だと思って欲しい。
「……分かった。ただ、アリアスと同じってわけにはいかない」
「え……」
「ローレシアへの愛は、アリアスと同じくらい大きい。だけど、ローレシアへの愛し方はアリアスとは違う。俺の君への愛は、君だけのものだ」
「レクス……」
なんかいいことを言った感があるけど、よく考えると意味わからんな。
ローレシアも感動してるけど、若干はてなマークを浮かべているようにも見える。
こういう時はどうすればいいのか。
脳内同人誌データベースで検索しよう。
「ローレシア……愛してるよ」
なんとなく、ローレシアにキスをした。
いやこれだけだとクズっぽいな。
そういう雰囲気っぽいから、としか言いようがない。
だって、俺まだ一回しか経験ないんだもの!
分かるわけねえだろ!
しかも相手が違うんだから!
「レクス……はぁ……レクス……」
わぁ、ローレシアがすごい。
俺の背中に手を回して、凄い力で掻きむしってる。
なんか普段とのギャップでエロく感じる。
いや実際この状況はエロいんだが。
「あ……」
ネグリジェの中に手を入れ、胸に触れた。
ローレシアの甘い声が漏れる。
俺の耳元でそんな声を出さないでくれ。
前世で囁きASMRを聞きまくってた記憶が蘇る。
「レクス……もっと……触ってください」
そう言われてから、俺はひたすらに手を動かした。
それはもう、パントマイムのプロ並みに手を動かした。
ローレシアの声が部屋の中に響き渡る。
そんなに声を出して、誰かに聞かれたらどうするのだろう。
いや大丈夫。アリアスは事情を知っている。
じゃあ、楽しむしかないじゃないか。
「レクス……愛してます……」
「俺もだよ……」
そうして、聖女との夜は過ぎていった。
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