第41話 フィッシュアンドチップス

「さて、みんな買いたいものかったか?」


俺は、店から全員出たのを確認して聞いた。


「ああ、とはいっても武器はすでにほとんどに人が間に合ってたから勝った人ごく一部だけどな」


「まぁ、そうか」


武器買ったのを確認したのは聖徳さんだけだ。正直、大半の人にとっては無駄足だったかもしれない。


「じゃあ、そろそろ時間だし飯食いに行こうぜ」


「え?もうそんな時間?」


「双川が長時間刀とにらめっこしてたから」


「双川くんか…」


街遊さんは、ため息をついた。





「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」


「30…いや、29人です」


「え?あ、はい。ご案内します…」


まだ29という数字になれないななんて思いながら、俺たちは店員さんの案内で席に座った。


「そんじゃ、何喰う?」


「俺ハンバーガー」


「僕うな重」


「私イカ墨パスタ」


「うわここ何屋?」


「そんで、暁は?」


「ラーメン」


「日米伊中四国レストラン」


「なんか明治から昭和の間の歴史用語にありそう」


「要因の大半国名の漢字表記」


そんな感じの話をしてると、みんなの前に料理が運ばれてきた。


「そんじゃ、いただきます」


「そういえば、暁ってラーメン好きなん?」


「え?いや、まぁそりゃ好きだけど…」


「いや、暁って確か蕎麦嫌いじゃん。麺類大丈夫なんかなって」


「あー、別に麺類全般ダメってわけじゃない」


「へー、変なの…」


「え…いや、即見さんだって確か海鮮苦手でしょ?なのにイカ墨って…」


「それはそれ、これはこれ」


「ふーん…変なの…」


「あ?」


「はい、すいません…」


俺と即見さんとで少しぎすぎすした空気になっていると…


「ねぇ、食事まずくなるからそういう話はやめてくれない?」


うな重を食いながら矢部が言ってきた。普段あまり矢部からは感じることがないオーラを感じた。


「はい、すいません…」


俺と即見さんは素直に謝った。


「ごちそうさまでした」


「いやはやっ」


黒川のごちそうさまにみんなが驚いた。


「いや、だって俺、ハンバーガーだけだし…」


「足りる?」


「足りない」


「追加で頼めば?」


「分かった。じゃあ、フィッシュアンドチップスでも…」


「日米伊中英五国レストラン」


「しかも我々にあまりなじみのないもの…」


「あまりおいしいと聞いたことがないぞ…」


「お前ら、知識偏ってるな。意外とうまいぞ」


「え…」


これは俺たちの感性が狂っているのか、黒川の好みがおかしいのか、俺達にはわからなかった。

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