第39話 どこ行ってたの?

「よーし、次行こう!」


全員が服屋で買いたいものを買い終わって、店を後にした。


「あれ?蛍服買ったんだ。ちょっと見せて」


安土さんが、白星さんの回答を待たずに袋の中を見た。


「え?」


袋の中を見た途端、安土さんが固まった。


「茶々?どうしたの?」


その様子を見て桃山さんも袋の中を見た。


「うわ…速水いる?」


「ん?どうした?」


すぐそこにいた速水が反応した。


「あんた、蛍に何買わせてるの…」


「ジャージしかない…」


なるほど。ジャージばっかりは言ってたんだろうな。本人が好んで買うとは想像できないし、誰かに進められたと考えるのが妥当だ。そうなってくると、ジャージを好んできてる速水にヘイトが向くのは当たり前かもしれない。


「はい、すいません…」


速水は、素直に謝った。


「それで、次どこ行く?」


「あー、そういえば決めてなかったね」


「飯食う?」


「まだ十時だよ?早くない?」


次どうするかをみんなで話し合っていると


「あれ?双川いなくない?」


誰かがそう言った。確かに、この集団の中に双川の姿が見当たらない。


「ちょっと待って」


そういいながら不和色さんがポッケからさっきの買い物のレシートを取り出した。そして


【チェンジ】


能力でレシートと双川の場所を入れ替えた。


「うわ。え?どゆこと?あ、チェンジか…」


「双川君、勝手に自己完結してるところ申し訳ないんだけど、どこ行ってたのかな?」


不和色さんからこれまで感じたことないほどの怒っているオーラを感じる。笑顔だけど目は笑っていない。というより口しか笑っていない。俺に向けられてるわけじゃないのにとてつもなく怖い…


「は、はい…そこの武器屋に…」


双川は震えた声を発しながら、店の方向を指さした。


「武器屋か…」


俺自身は基本拳で戦っているので用はないが、ここにいる全員が武器なしで戦ってるわけじゃない。何なら武器つかってるやつの方が多い。俺も拳を使ってる理由は自分に合った武器探すのがめんどくさいからだしな…


「ねぇ、せっかくだし行かない?寮の近くの武器屋だけで何とかするのもあれだし」


我ながら、「あれ」ってなんだよとは思った。


「あ、私も行きたい」


「俺も見るだけ見てみたい」


すると、他にも行ってみたいという人が出てきた。


「よし、じゃあ行こう」


そうして、俺たちは双川の案内で、武器屋に向かった。


「ところで双川、どうやって武器屋見つけたんだ?お前ここのマップ持ってないだろ?」


「え?直感」


「ん⁉」


双川、お前の能力、本当は「サイクロン」じゃない説ないか?

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