第33話 総攻撃・終
「国綱。もう、酷いありさまだな」
俺は、国綱から少し距離を置いて話しかけた。
「あまり認めたくはないが、そうだな」
「もう、諦めてくれないか?俺もあまり人を殴るのはいい気がしない」
「無理な相談だ」
「そうか。じゃあ、やるしかないか」
俺はそう言って国綱の方に走り出した。
【抜刀術・鬼丸】
国綱は刀を抜き、迎え撃った。
俺の能力はあと二秒しか残ってない。この二秒を使うタイミングを間違えれば確実にやられる。しかし、俺は能力を使わないで国綱とやりあえるほど強くはない。かなり難しい戦いだ。
「そこだ!」
国綱は俺の一瞬の隙をついて刀を振り下ろした。それは俺の頭にまっすぐ落ちていき、俺を二つに切り裂く…はずだった。
カキーン!
刃が人に当たったとは思えない音があたりに鳴り響いた。国綱の刀は俺の頭に傷一つつけることなかった。
「なっ…」
国綱は驚き、隙ができた。
「いまだ!」
【
二秒しか使えないなら、リミットで一撃を入れるより、普通に使って殴ったほうが強いはずだ。
俺は、目の前の国綱を二秒間の間に何発も殴った。そして、
ドーン!
俺は全力で国綱を殴り、遠くまで飛ばした。
「はぁ…はぁ…」
初めて、
「暁、大丈夫か?」
みんなが後ろからやってきた。
「ああ、まぁ、疲れたけど…」
「お前、頭大丈夫か?」
「急に悪口か?」
「いや、そうじゃなくて刀で斬られてたじゃん」
一ノ谷が少し笑いながら答えた。他のみんなも、笑いを必死になってこらえようとしているが、何人かは我慢できずに笑ってしまってる。
「そっちか。完全に無傷だ」
「よく無傷でいられたな」
「ま、これ飲んだし」
俺はそう言いながらポッケから空になったプロテクトアップの瓶を取り出した。
「それ、そんなに優秀だったのか」
「それは俺も思った。あ、そうだ。みんなの分も買ってあるからあげるよ」
「まじ⁉ありがとう」
俺はバックパックのゲートを開き、そこからいろいろと取り出そうとした。すると
「おい、まだ終わってねぇぞ」
国綱がこっちに近づきながら言ってきた。
「いや、終わってないって言っても、あんた戦えんの?」
「正直、あんな強いですよ感出しておいてこれで少し残念なんですけど」
「この出オチキャラが」
うわすごく酷い言われよう…けど、正直もう少しスペック盛ってもよかったんじゃないかとは思った。
「そうか。まぁ、あんなにボコられたからな。でも、本番はこっからだ」
【神格憑依・鬼神】
すると、国綱を赤黒い煙が囲んだ。
「これ、ちょっとまずくね?」
「ああ、まずいな」
「どうする?」
「今のうちに倒す。矢部、やるぞ」
「あ、うん。わかった」
【ビートアップ】
【青龍の頭】
ギュイィィィン ドカーン!
ビートアップで火力を上げた青龍の頭の一撃は強力だ。食らえばただでは済まないはず…
すると、国綱を囲っていた煙は消えた。そして中から出てきたのは、国綱ではあるものの、さっきまでとは違う国綱だった。
頭には角が生え、服装もどこか和風な感じがする。そして何より、さっきよりも明らかに強くなってるのを感じる。
「これ、勝てる?」
「速水、どうだ?」
「逃げ足に自身のあるやつ。速攻で逃げろ。戦ったら確実に半分は。下手したら全滅もあり得るぞ」
速水の顔が、少し白くなっている。
シュッ
突然、目の前にいた国綱が消えた。
ドーン!
横方向からものすごい音がした。そこには藤村と、藤村の首をつかんでいる国綱がいた。
「姿と音を消せばバレないとでも思ったか?」
「あ…がっ…」
「藤村を離せ!」
【
三人が能力を使って国綱に攻撃を仕掛けに行った。
「やめろ!むやみに突るな!」
速水が慌てて止めようとしたが、遅かった。
国綱は、藤村を投げ捨て刀を抜いた。
「遅い」
ザシュッ
国綱は、近づいてきた三人を斬りかえした。国綱の周りには、傷口を抑えて苦しんでいる三人がいる。
「あーもうこれやんないとダメだ」
「私たちが固定するから、その隙にお願い」
【
【スナイパー】 【フルオートトリガー】 【トレース:フルオートトリガー】
「不和色さん、あの倒れてる三人と俺の位置変えられるか?」
「分かった。頼んだよ」
【チェンジ】 【居合・凩】
みんなが一斉に能力を発動した。しかし
「まだまだだな」
拘束は全く聞かず、矢と弾丸は肉体にはじかれた。そして
「おりゃ!」
双川の刀は手であっさりと止められてしまった。
「刀は悪くないのだがな。宝の持ち腐れが」
そう言って国綱は双川の腹に膝蹴りを入れた。
「がはっ」
双川は、その場に倒れこんだ。
「まずは一人」
【抜刀術・鬼丸】
国綱は、刀の先端を双川に向けた。そして、突き刺そうとした。
ヒュンッ
突如、国綱に向かって何かが飛んできた。国綱はそれに気づいてそれを刀で払った。
「ナイフ?」
刀で払ったものを見て国綱はそうつぶやいた。次の瞬間
【チェンジ】
ナイフと入れ替わって速水が出てきた。速水は国綱に蹴りを入れ、国綱はそれに対応しきれず後ろに下がった。
「みんな、大丈夫か?」
【キランリバイブ】
「まぁ、死んではいない。死ぬほど痛いが」
「そうか。ゆっくり休んでてくれ。後は俺がやる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます