第34話 スポットライト
とは言ったものの、ちょっと厳しいな…
そもそもあいつが覚醒する前でも少し危なかったのに、その時より段違いで強くなってると考えると、まぁ、まず無理だろうな。せめて俺が万全な状態なら…いや、無理だな。
このゲームが始まって、能力が回復系だった時点で本来俺は前線を張るべきじゃなかったんだろうな。
でも、こんなかで俺が一番戦闘慣れしてる。この中で俺が最高戦力だ。俺がなんとかしないと…
ザシュッ
国綱が、斬撃を飛ばしてきた。俺は、それを飛びかわした。
ダンッ!
国綱は、空中に飛んだ俺にめがけて斬りかかってきた。俺はそれをかわしたが、国綱は続けて何度も斬りかかってきた。
「どうした、防戦一方じゃないか」
全くその通りだ。このままだとそのうち俺がやられる。なんとかしないと…
ザシュッ
俺の一瞬の隙をついて、国綱が俺の肩を斬った。
「クソッ」
傷が深い。速く直さないと…
【キランリバイブ】
俺は自身の肩を能力で治した。しかし、キランリバイブはあくまで誰かを治す能力。自分自身を治すのは苦手だ。他者に使ってるのであれば、すぐに傷口は塞がるが、まだ塞がらない。
「しょうがない…」
【キランリバイブ】
俺は、持っていた瓦礫のかけらに能力を使い、目の前に巨大な壁を出した。これで少しでも回復する時間を稼がないと…
バーン!
いきなり、目の前の壁が砕け散った。そして、その破片を搔い潜って、国綱が出てきた。
やらかした。アイツの破壊力を少し低く見積もりすぎてた。冷静に考えれば応急で治した壁程度速攻で壊されるに決まってる。
「終わりだ」
国綱が俺に刀を突き刺そうとした。その時
【変身:ゴブリン】
国綱に向かってこん棒が飛んできた。そのこん棒は国綱の手に当たり、国綱の攻撃がそれた。
【ストーンプロテクト】 【追爆】
石のように固くなった四宮が、零唐によって吹き飛んできた。国綱は、反射的に後ろに下がった。
四宮は、そのまま俺と国綱の間を通り抜けた。
「くそっ、あと少し右にいてくれたら…」
「ところで支江どこまで飛んだの?」
「知らん!」
「え?」
そんな少し不安な内容の会話も二人の耳には届かず、何も知らずに地に足をつけた。その時
「うおぉぉぉぉぉ」
暁がそこらへんに落ちていた木の棒を持って国綱に襲い掛かってきた。
「めーん!」
そう大きな声で叫びながら暁は棒を国綱の頭に振り下ろした。
「何やってんだ?」
国綱にしっかりとあたりはしたが、能力なしで国綱にダメーズを与えられるほど暁は素のスペックは高くない。そのまま殴られて飛ばされてしまった。
「やっぱ
「暁、大丈夫か⁉」
俺は、暁の元に走り寄った。
「お前、任せとけって言っただろ」
「ああ、確かにそう言ってたな」
「じゃあどうして…」
「知るか」
「え?」
予想外の返答に俺は暁を治すために発動していた能力を止めてしまった。
「頼むちゃんと治してくれ」
「あ、すまん。いや、でもマジでどういうこと?」
「まぁ、本来はなんかいいこと言って感動的なBGM流してのちに名言なんて言われたりするのがお決まりなんだろうな。俺の物語の主役は俺自身だ。常に俺が注目されて、常に俺の言動がカギとなる。でも、そんな
ったく、脊髄だけで行動して人を助けるって、そうそうできるもんじゃないぞ。
「ほんと、どうかしてるわ」
「そうか。ならそれでいい」
暁はそう言いながら立ち上がった。
「うぉ⁉これは何事じゃ⁉」
遠くから、どこからか聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「はっ、まさか…」
国綱の顔がだんだんと青ざめてきた。
「グロック…王…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます