第31話 総攻撃④
ギュイィィィン!
あたりにエレキギターの激しい音が鳴り響いた。
「ああ、いいよ。この音!最っ高だ!」
「お気に召したようで何よりだ」
黒川の手にはエレキギターとピックがある。この世界にエレキギターなんかがあるとは思えないが、隣にいる零唐の存在でその疑問は解決した。
「じゃあ、頼んだぞ零唐!」
【ビートアップ】
ギャイィィィン!
黒川がギターをかき鳴らすと、ギターから音符があらわれた。その音符は独りでに飛んでいき、零唐に当たると消えていった。
「ああ、任せとけ!」
そう言って零唐は地面を強く蹴り、国綱の方へ走り出した。そして、国綱の顔をめがけて拳を振り、国綱が刀で受けとめた。
ダーン!
しかし、次の瞬間、国綱はそのまま殴り飛ばされた。ゲーム開始時からある基礎身体能力の上昇ではごまかしきれないほどの力で。
「まだだ」
【追爆】
ドカーン!
国綱が大きな音を上げて爆発した。爆発が晴れた時、国綱の服は焼け焦げていた。
「げっほげっほっ、煙すぎだろ」
「自分の能力でも恨んでろ」
「うるせぇお前のギター爆発させようか?」
黒川楽夜 能力:ビートアップ 演奏によって味方にバフを与える。ミスると味方にダメージが入る。
零唐創製 能力:追爆 自身の攻撃に爆発による追撃を付与する。
【五感覚醒:嗅覚】
青山は、国綱に対して殴りかかってきた。
「あまり調子乗んなよ」
しかし、いくら何でも素手で国綱とタイマン張れるほどの実力は青山にはない。青山はだんだんと押されてきている。
「やっべ、調子乗ったかな」
「これで終わりだ」
そう言って国綱が刀を振り上げたその時
国綱が急に横方向に吹っ飛んで行った。
【五感覚醒・視覚】
国綱はハンドガンを取り出した。ハンドガンで撃ちぬくには少し遠い距離だ。しかし
バーン!
弾丸は的確に国綱に当たった。
「ナイス藤村。助かったよ」
そう青山が言うと、何もなかったはずの空間から突然藤村があらわれた。
「なんで存在に気づいた?」
「能力で嗅覚上げてたからな。お前、能力で匂いまでは消せないし」
「つまりそれは俺の匂いを覚えてるって認識でいいか?」
「そうだな」
「そうか。キモッ」
「え?」
青山千春 能力:五感覚醒 五感を超人並みに研ぎ澄ませることができる。
藤村瞬 能力:
「じゃあ、次は私達が行くよ」
「うん、がんばろ」
そう言って安土と桃山の二人は国綱の方に走り出した。
【ポイズンコネクト】
安土の拳が国綱に当たった。国綱は毒状態になっている。しかし、それを感じさせないほどの素早い動きをしている。
【幸運】
今度は桃山の拳が当たった。しかし、いくら自身の攻撃がクリティカル確定になっても素の攻撃力が低ければ意味がない。国綱は余裕そうだ。
「あれ?これってまずい?」
「まずいね」
「今度はこっちから行くぞ」
そう言いながら国綱は刀を振り上げた。
「危ない!」
安土は桃山を突き飛ばし、桃山に攻撃が当たらないようにした。
「茶々!」
そして、刀はそのまま安土めがけて振り下ろされた。
【スペックギフト】
刀は安土に当たった。しかし、切り裂きはしなかった。安土は怪我こそ負ったものの、とてもその怪我が刀で斬られたとは思えないほど軽いものだった。
【トレース:ポイズンコネクト 幸運】
安土の頭を飛び越えて、国綱の上から誰かがかかと落としを決めた。国綱の不意を突いたということもあり、国綱はかなりのダメージを食らった。
「二人とも大丈夫?」
さっきかかと落としをした心絵さんが二人に声をかけた。
「うん。ありがとう」
安土は、心絵に礼をした。
「茶々!」
すると、さっき安土に突き飛ばされた桃山が走ってやってきた。
「濃。ごめんね。いきなり突き飛ばしちゃって」
「ううん。よかった。無事で…」
「そうだね。後でちゃんと代々木に感謝しないとね」
「あれ?代々木は?」
「そこの岩陰にいるよ」
そう言って指を指したところには、岩陰から顔を出して手を振っている代々木がいた。
「えっと…何やってるの?」
「なんか今あり得ないレベルで防御力が下がってるから少しでも後ろに下がりたいらしい」
安土茶々 能力:ポイズンコネクト 毒状態の相手を発光させ、相手の食らった毒ダメージ分回復する。
桃山濃 能力:幸運 確定でクリティカルが出る
心絵音祢 能力:トレース 一度見た能力を本家の二分の一の強さでコピーできる。二つ以上同時に使うことも可能
代々木真央 能力:スペックギフト 自身のステータス値を削ってその分味方もステータスを上げる
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