第27話 国綱

た、倒せた…


能力の制限時間も残りわずか。本当にぎりぎりだった。


「おーい、暁。大丈夫か?」


そういいながら速水と双川が近づいてきた。


「あ、二人とも。俺は大丈夫。二人は?」


「ああ、問題ない」


「問題あっても、俺が治せるしな」


「速水、お前ほんと能力が非戦闘向きなのもったいないよな」


「だよな。こんだけ強いのに…」


「そうかもな。でも、俺はこの能力気に入ってるし、満足だ」


速水は、自身の手を見ながら言った。


「そうか。じゃあ、みんなのところ戻るか」


「戻るかって、みんなどこにいるのかわかるのか?」


「知らん。けどどうせこの村のどこかにはいるだろ」


「じゃあ、探すか」


そういいながら三人でその場を後にしようとしたとき


【居合・凩】


双川が突然後ろを振り向いて技を放った。


「あんた、こんな時に何の用だ?」


「何の用って、あんたらを始末に来ただけだ」


双川と剣を交えてる相手は国綱だった。

国綱は、三人との距離を開け刀を構えた。


「双川、ナイス」


「まぁ、暁今あまり能力使いたくないだろうしな。反応できるの俺と速水しかいなかっただろうし」


「というか二人とも、死角からの襲撃にある程度反応できる程度まで行ったのか…」


そういいながら三人も戦闘に向けて構えだした。


「国綱。俺たちを始末するって、グロック王にあとで怒られるんじゃないか?」


「ゴーレムと相打ちになったということにする。今のこの混乱の中じゃ、信じてもらえるだろう」


「というか、何でそこまでして俺たちを始末したいんだ?」


「外からのこのことやってきた身元もわからぬ部外者など、いくらグロック王が認めてるとはいえ、この村に置いておくわけにはいかない。それだけだ」


すると、国綱は鞘に刀をしまった。


「もう話す時間ですらもったいない。さっさと始末する」


【抜刀術・鬼丸】


国綱が抜刀したとき、国綱の気配が明らかに変わった。


「なぁ、これ三人で何とかなるのか?」


「全員が万全の状態ならいい勝負になるだろうな。けど、今の俺たちはゴーレム戦で力を使い果たしてる。十分持ったらいい方だな」


「要は詰みってことか」


ドゥオン!


国綱は、ものすごいスピードでこちらに斬りかかってきた。


ジャキーン!


双川は、それを止めた。しかし、さっきの攻撃とはケタ違いで強いのだろう。顔がさっきよりもきつそうだ。


ドーン!


速水は、双川の上を飛び越え、国綱の後ろから蹴りを入れようとした。しかし、国綱は、それを軽々と交わした。

国綱は、俺のいる方向にかわしてきた。

俺は、能力は使わずに国綱に殴りかかった。しかし、すべて攻撃は避けられるか刀で受けられるかし、すぐに双川たちの方に蹴り飛ばされてしまった。


「暁、大丈夫か?」


「ああ、今のところはな」


国綱の方を見ると、まだまだ余裕そうだ。まだ、一撃も入れてないので当たり前といえば当たり前だが。


「もう、終わらせるぞ」


そういって国綱が俺たちの方へ走り出したその時


【バリア―】


俺たちと国綱の間に半透明の板のようなものが現れた。国綱は、減速しきれずその壁に激突してしまった。


「三人とも、大丈夫?」


声のした方を向いてみると、そこには即見そくみさんがいた。

即見そくみ喜々きき。比較的大人しい人が多かった元・3-Dの中では珍しいギャルだ。とはいっても、高校になって考えてみるとあの環境の中ではギャルに見えていただけで、実際はただの明るい人のような気もするが。


「今のところは大丈夫だ」


「三秒後は知らん」


「即見、ちょっと手伝ってくれ」


「わかった。でも、私だけでいいの?」


「お前しかいないだろ」


「そう。みんな、出ておいで―」


すると、あちらこちらから、元・3-Dのみんなが現れた。瓦礫の影や上空。中にはマジで無から出てきたやつもいた。その様子は、昔見たヒーロー映画の終盤に歴代ヒーローが全員集合するシーンを彷彿とさせた。


「うわ全員集合しちゃったよ」


「こんだけいたら何とかなるか」


「よし、じゃあ行くぞ!」


そうして、俺たちは国綱に攻撃を仕掛けた。

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