第17話 三分以内に

森の中。昨日の夜も来たし、この世界に来た時もここから始まったが、いつ来てもじめじめとしてるし薄暗いしで嫌いだ。

始まったばかりの時はビギナーズラックなのか何なのか知らないがモンスターに遭遇しなかったが、ギルドから聞いた話だとモンスターが大量に出る場所らしい。


「きゅいぃぃぃぃ」


後ろからスライムが声を上げて突撃してきた。


スパァン!


俺は素早く回し蹴りを食らわせて、飛ばした。


「きゅ、きゅい~」


スライムはそのまま倒れて、消滅した。スライムのいたところにはドロップアイテムだけが残ってる。

城内での戦闘。そして、昨日の三人でのゴブリン狩りのお陰か、能力なしでも戦えるようになった。元々運動は得意な方ではなかったが、戦いは筋力だけではないということがよくわかる。もっとも、ステータスがある程度盛られているので、現実世界だと力はある方なのかもしれないが。

すると、視界に何か白く光るものが入った。光は木などを貫通して見えている。ゴブリンのような形をしており、常に動き続けている。動き的に、何かと戦っているのだろうか?

俺は、光の元まで言ってみることにした。


光のところまで着いた。光っているのはやはりゴブリンだったようだ。そして、それらと戦っている二人がいる。

安土あずち茶々ちゃちゃと、桃山ももやまのう。元・3-Dで、中学の時から二人は特別仲が良く、友達や親友というよりは相棒と言った方が正しかったかもしれない。

再びゴブリンの方に視線を戻したが、何かゴブリンが苦しそうにしている。よく見ると体から紫色の泡のようなものが出ている。

それが毒であることに俺はすぐに気づいた。多分、二人のうちどちらかが毒を付与できるのだろう。じゃあ、もう一人は発光だろうか?


「じゃあ、濃。とどめは頼んだよ」


「うん。まかせて」


そう言って桃山さんはゴブリンの前まで行った。


「えい!」


桃山さんはゴブリンの頭めがけでデコピンをした。いくら弱ってるからってデコピン程度じゃ倒れないだろう。そう思った時。


ドーン!


ゴブリンがものすごい勢いで吹き飛ばされ、木にぶつかったと同時に土埃が舞った。まじかどんな能力なんだ…


「濃。すごいじゃん!」


「茶々だってあそこまで弱らせてくれてありがとう」


相変わらずあの二人仲いいな…

そんなこと思いながら見ていると


「きゅいっぃぃぃぃ!」


二人の背後からスライムが三匹攻撃を仕掛けてきた。二人はまだ気づいていないようだ。今から声をかけても防いだりかわしたりは出来ないだろう。


ターン!


俺は、思いっきり地面を蹴って飛び出し、スライムを三匹を殴ったりけったりして飛ばした。


「あ、暁君」


「二人とも、大丈夫か?」


「あ、うん。ありがとう」


「まだ戦えそうだったらちょっと手伝ってくれ」


「え?何を?」


「こいつら片づけるのをだ」


そう言われて二人はあたりを見渡し、今の状況に気づいた。

360度完全に敵に囲まれている。スライム、ゴブリン。そして、バンプドッグという犬の敵。逃げるのは不可能だろう。


「分かった。行こう、茶々」


「うん。がんばろう、濃」


俺は腕時計のボタンに手をかけた。


「じゃあ、三分以内に終わらせるぞ!」


反逆時間リベリオンタイム


俺は、ボタンを押したのと同時に能力を使い、敵に攻撃を仕掛けた。


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