第15話 腕時計
ジリリリリリリリ
俺は、スマホの目覚ましの音で目を覚ました。
普段は、家にある目覚まし時計を使って起きており、それとは音が違うのでどこか新鮮だ。もっとも、この部屋で起きるということそのものが新鮮ではあるが。
スマホの時計は六時半を指している。俺がその時間に目覚ましをかけたので当然だが。
昨日はあの後、こん棒を深夜窓口なるところに提出して、報酬を受け取った。低難易度のクエストだったら深夜窓口でも報酬を受け取れるらしい。そのあとは三人でパンを買って帰ってきた。
帰ってきた時にはもう完全に疲れ切っていて、制服のままベッドにダイブしてしまった。一応カバンの中にジャージが入っているのでそれに着替えるべきだったなと今になって反省している。
カーテンを開けると外は快晴で、雲一つない青空が広がっていた。
キッチンにある蛇口の水で顔を洗っていると
ピンポーン
チャイムが鳴った。俺はこんな朝からなんなんだよと思いながら扉を開けた。
「おはよう。やっぱお前朝早いな」
そこには
「あ、おはよ。こんな時間にどうしたんだ?」
「ちょっとお前のためにいいもの作ってな。はいこれ」
そう言いながら零唐は俺に腕時計を投げ渡してきた。
「カバンに入れてる工具とか基盤とかで作っといた」
「まてお前カバンになんてもん入れてんだ?」
「普通だろ」
零唐は不思議そうな顔をしながら言ってきた。俺が異常なんじゃない。お前が異常なんだ。
「で、その腕時計。当然時計としても使えるが、ワンタッチで三分間のカウントダウンができる。お前、確か能力に三分間の制限あるんだろ?それがあれば一目であとどんぐらい戦えるかがわかる」
「えまじ?ありがとう」
正直、調子乗って戦いすぎて気が付いたら時間切れなんてことが少し心配だったからめっちゃありがたい。
「礼ならいい。夜に何か作りたくなっただけだ。じゃあな」
そう言って零唐は自身の部屋に帰っていった。
「じゃあ、また八時に」
俺は扉を閉めて、椅子に座って腕時計を自身の左腕に巻き付けた。普段あまりアクセサリーをつけない俺にとって、腕時計なんて高校入試の時以来だ。
腕時計は黒を基調としており、デジタル盤に時間が映し出されている。そして、画面の上の方に一つスイッチがある。そこには「three time」と刻まれている。これで三分間のカウントダウンを行うのだろう。
ふと、腕時計の時間を見ると七時を回っていた。まだ集合まで一時間ほどあるが、部屋にいても退屈で仕方ない。俺は、少し早いが集合場所まで行くことにした。
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