第13話 寮
俺達は、別室にてギルドについての説明を受けた。
ギルドからはクエストというのが出ており、それを受けてクリアすることで報酬がもらえるらしい。報酬は主に金だが、時々アイテムだったりもする。
「要は、クエスト受けて金を稼げってことか」
「はい。たくさんのクエストをこなしたり、難しいクエストをクリアすると、昇格してさらに難しいクエストを受けられるようになり、その分報酬も豪華になります」
いつの日かゲームかアニメで聞いたような設定が説明されてく。説明は一時間ほど続いた。あたりを見渡すと今にも寝そうな人たちが何人かいる。みんな疲れてるだろうし、こんな長ったらしく聞いたことある話をされてたらそりゃ眠くなるだろう。何なら俺も少し眠くなってきた。これでもみんな寝ないのは、中学の頃に先生にしつけられただろう。担任が授業中の居眠りには厳しかったからな。高校は言って授業中寝てるやつがお咎めなしだった時は少し感動までした。
と、元・3-Dの睡眠耐性がいくら高いとはいえ、眠いことには変わりない。後半はなんて言ってるかよくわからなかった。
「はい、というわけでギルドについての説明は以上です」
その声と同時に一気に睡魔と吹っ切れた。もう終わりと分かったら一気に眠くなくなる現象に名前を付けてみたい。
「では、ギルドに所属した皆さんはギルドの寮に住めますのでそこまで案内させていただきます」
あー、住む場所があるのはありがてぇ~。
寮は城を出てすぐのところにあった。現実世界にあるマンション程度の大きさだ。
「それでは、皆さんにカギをお渡しします」
二十九部屋も空いてるのかよと少し驚いたが、みんな住めるのであれば文句はない。受け取った鍵にはそれぞれ三桁の番号が書いてあった。
「それでは、説明は済みましたので私はここで失礼いたします」
そう言ってどこかに行った。
「ありがとうございました」
去っていく背中にみんなでそう言った。
「それじゃ、みんな部屋に言って休むか」
「じゃ、明日八時にここに集合な」
「え?早っ」
そう言って反応したのは
彼女は圧倒的な夜型で、中学の時一番欠席回数が多かった。とは言ったものの、元・3-Dの空気が好きだったらしく、結構頑張って来ていた。ちなみに高校は通信らしく、朝とか夜とかからは無縁な高校生活を過ごしてるらしい。
「お前はもう少し朝に慣れろ。昼夜逆転してんだよ」
「はい…」
いやいやながらあまり反論しないことからも、まだこの空気が好きなのがよくわかる。
そういえば、俺たちがこのゲームに参加させられた時間帯は、常盤さんは家にいるはず。というより常盤さんめったなことがない限り外に出ないが、冠木、あいつまさか家の中に侵入してこのゲームに参加させたのか?
そんなことを思いながら、それぞれがそれぞれの部屋に入っていった。
部屋は六畳一間にキッチン付き。風呂やトイレはついていない。トイレは廊下にあったのでそれを使えということだろう。入ったばっかなので中に何も置いてないと思ったが、机一つといす二つ、ベッドが二つあった。
俺は、通学用に使っているカバンをそこらへんに放り投げてベッドに横になった。
今日はいろいろとあったな…死ぬかと思ったし疲れたけど、とりあえずみんな無事でよかった。それに、能力にも慣れてきた。これならある程度は前線を張って戦えるかな?
そういえば腹が減ったな。晩御飯を食べてないしめっちゃ動いたので当たり前と言えば当たり前だろう。
俺はベッドから起き上がってキッチンの前に立った。普段あまり料理をするわけではないが、ある程度は料理ができる。さて、何作ろか…
俺はそう考えた時、ある事に気が付いた。
「あれ?食材なくね?」
それどころか食材を買う金すらない。しょうがない。晩御飯は諦めるか…
いや、ちょっと待て。これ、明日の朝もなくね?さすがに二食抜きはみんながかわいそうだ。稼ごう。
俺はそう思って部屋を飛び出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます