第11話 反逆時間

速度にビビるな。所詮は俺が使う、俺の能力。俺の自由に扱える能力だ。


俺は、覚悟を決めて三人に向かって走り出した。


ドーン!


俺はそのうちの一人にパンチを食らわせ、壁まで飛ばした。


「扱えてる。俺、戦えてる…」


まだ完全にとまではいかないが、十分戦える程度には扱えてる。


「うおぉぉぉぉ」


ナイフを持った奴が攻撃してきた。俺はそれをかわし、ナイフを持っている方の腕をつかんだ。


「さっきはよくもやってくれたな」


そう言って俺は膝蹴りを食らわせ、ひるんだところでナイフを奪い、斬った。


ドサッ


相手はそのまま倒れた。


「さて、あと一人。お前だけか。速いな」


残った槍を持った奴は怯えてるのか、足が震えている。


「ま、そりゃ怖いよな。でも安心しろ。殺しはしない」


そう言いながら俺はナイフから手を離した。


「それなりに痛いだろうけどな」


俺は、相手の後ろに素早く回って耳元で言った。こういう目の前にさっきまでいた相手が次の瞬間自分の後ろにいて耳元でなんか言うシーン。アニメとかでよくあるけどかっこいいんだよな。


俺は、相手を蹴り上げて、空中に浮いたところを蹴り飛ばした。壁ではなく、道が続いてる方向に蹴ったため、相手はそのまま遠くまで吹っ飛び、見えなくなった。


途端に、さっきまでのように力が入らなくなった。多分、三分経ったのだろう。街遊さん起こされたときなんかも能力解除し忘れてたし、もったいないことしたな。


「ほう、なかなかやるようだな」


国綱が三人を相手にしているはずなのに、余裕そうな顔で言ってきた。


「どうやら、私が相手をするしかないようだな」


そういうと、国綱は一瞬のうちに周りの三人を吹き飛ばした。

まずい。反逆時間リベリオンタイムはしばらく使えない。こいつは能力なしで相手で来るほどやわな相手じゃない。どうする…


「では、行くぞ」


そう言うと国綱は一瞬で俺の目の前に来て居合を決めようとした。まずい、避けられない。

俺が今度こそ死を覚悟したその時だった。


【サイクロン】


俺と国綱の間に竜巻が起きて、お互い吹き飛ばされた。


「双川。ありがとう。助かった」


通路の方から駆け足でやってくる双川に俺は礼を言った。


「こんぐらいどうってことない。間に合ってよかったよ」


ドーン!


国綱の方で何か叩きつけるような音がした。


「国綱、とか言ったか。悪いが戦うなら俺で我慢してくれ」


速水が国綱を壁に押し付けて動けないようにしている。


「そうか。ならまずお前から斬ってやる」


国綱はさっきよりも顔が本気になっている。

速水は、国綱から距離をとり、ファイティングポーズを構えた。


「行くぞ」


「ああ、いつでも来い」


二人の戦いが始まりそうになったその時


「国綱。やめなさい」


声が聞こえてた。声のした方を見ると、少し太っており、豪華な衣服を着て、王冠を被ったおじいさんがいた。見るからに王様ってやつだ。


「グロック王、しかし…」


国綱は焦ったような顔をしていった。


「大丈夫だ。わしにはわかる。この人たちが敵ではないことが」


そこまで言うと、国綱は少し不満そうだったが、黙ってグロック王なるものの横に立った。


「皆さん。私の兵隊が本当に申し訳ないことをした。いったん、全員集めてそこの部屋に来てくれ」


グロック王はそう言いながら国綱を連れてその部屋に入っていった。

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