第4話 森
光が消えて、あたりが見えた時、そこは森の中だった。薄暗く、じめじめとしている。
「みんな、いる?」
誰かのが全体に聞くと、「いるよー」と声が帰ってきた。ぱっとあたりを見渡しても、全員いそうだ。
「とりあえず、みんなでこの森散策しよう」
そうして全員で固まって森を散策することになった。
歩いても歩いても景色は一向に変わらない。山とかで遭難した時もこんな感じなのだろうか。
しかしこの雰囲気、スライムとかが出てきてもおかしくない。ある程度全員が落ち着いてきたとはいえ、いざ戦闘となると、さっきの俺みたいに事故る奴もいるだろう。そうなってくると戦える奴らは限られてくる。しかも序盤の序盤なので俺たちのレベリングが全くできていないせいで、スライムという雑魚の代名詞のような敵でさえ全滅の危機となる。
「ねぇ、暁」
隣にいた
「矢部、どうした?」
「壮馬のことなんだけど…」
そういえば矢部と冠木って二人とも図書室によく行く都合、結構仲良かったな。
「あいつ、大丈夫かな?」
「冠木か…まぁ、何か事情があると信じたいけど、どうなんだろな」
「正直、このままだと壮馬と戦うことになるんじゃないかって心配で」
「そうだな。可能性としては充分あるだろうな。しかもあいつの親の作ったゲームとなると、ほぼ確実に戦うだろう」
「そうか…」
「ま、あいつなら話せばわかるっしょ。黒川じゃないし」
「おいこら」
いきなり後ろから黒川の怒った声がした。
黒川楽夜。クラス一の音楽スキルを持っていて、噂によると高校ではバンドをやってるらしい。ただ、自分の考えを曲げない性格がよくあだとなり、クラスでの話し合いの時はこいつのせいで決まらず帰りが遅くなる。
「あ、黒川。すまん」
「次やったら鼓膜破るぞ」
「こわ…」
途中、そんなことがありながら俺たちは森の中を歩き続けた。二時間は歩いただろうか。もう全員疲れて休もうかと思ってる時だった。
「なぁ、あれなんだ?」
そう言って一人が指を指した。そこには洋風のお城のような建物が木の隙間から見えた。
「人がいるかもしれない」
「みんな、急ぐぞ!」
そう言ってみんなさっきまで疲れてたのが嘘かのように走り出した。
しばらく走ると、そこには門があり、さらにその奥にはちょっとした町があった。
「ねぇ、これって入っていいやつかな?」
「さすがにだめじゃない?」
「いや、もう入っちゃお」
「入ろうぜ」
何人かは入るのをやめようといったがそれを無視して何人かが飛び出したので、仕方なくみんなそれについていった。
俺もそれに着いて行こうとしたとき、まだ隠れて門の方を見ている奴が目に入った。
「あれ?
「ああ、暁。あれ見てみろ」
双川が指さしてる方向は門の上の部分だった。
「ん?なんかあるか?」
「よく見てみると、なんか何人か人いるような気がするんだよね」
よく目を凝らしてみると、たしかに誰かがいる気がする。
すると、そこから光が反射した。多分、金属系の何かだ。そして、そこにいる人たちが、何か棒のようなものを構えている。何だあれは?
「あ、危ない!」
【サイクロン】
何かに気づいた双川が能力を使った。
すると、みんなと門の間に巨大な竜巻ができた。
ヒュン ヒュン
そこに門の上にいる人たちがちょうどその時矢を放ち、その矢が竜巻でどこか遠くへと吹っ飛んで行った。
「あ、危なかった…」
すると、門の上にいた人たちがみんなの目の前に飛び降りた。
「さては貴様ら、ゴーレムの手先だな?」
「いえ、違います」
俺はみんなのところまで走って、そう答えた。
「ゴーレムの手下は村の中に入れるわけにはいかない。ここで倒す!」
「いや話聞いてくれ…」
「ゲームのNPCとまともに話せるわけないだろ」
俺とともにみんなのところまで来た双川が言った。
「まぁ、そうか…」
「戦闘向いてない奴と戦える自信がない奴は下がれ」
双川がそういうとほとんどが後ろに下がった。俺もそれに続いて下がろうとすると、矢部に止められた。
「暁、お前戦えるだろ?」
「いや、能力は戦闘向きだけどスピードに体が追い付けなくて…」
「でもお前ゴーレムのバカでかい岩壊せるじゃん」
そういえばあの時守った中に矢部がいたことを思い出した。
「じゃあ、一緒にがんばろ?」
「は、はい…」
正直、速水一人で何とかなりそうな気もするが、能力も使わなきゃなれないか…
俺は仕方なく、戦いに参加することになった。
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