第22話 ダンジョン

「冒険者らしい活動してないよね!?」


俺は気付いてしまった。冒険者登録したにも関わらず、クエストを全くと言っていい程受けていないことに。


『でも、成長はしてるよ』


「兵隊さんをかなりぶっ飛ばしたから」


名前:上城 雅(カミシロ ミヤビ)

種族:人族(半神半人:神度Lv.7)

性別:男性(26歳)

職業:調律者(聖女)Lv.22


体力:B

魔力:S

STR:B

DEX:C

VIT:C

AGI:B

INT:A

MND:SSS

LUK:SS


魔法:神聖魔法Lv.9、光魔法Lv.6、水魔法Lv.6、火魔法Lv.3、風魔法Lv.3、土魔法Lv.3、木魔法Lv.3、闇魔法Lv.4、生活魔法Lv.6、触手魔法Lv.10、無魔法Lv.4、空間魔法Lv.5、重力魔法Lv.4、雷魔法Lv.3、氷魔法Lv.3、影魔法Lv.2、付与魔法Lv.3


スキル:不老、鑑定Lv.5、性豪、言語理解Lv.10、魔力感知、魔力超回復Lv.5、並列思考、思考加速、収納Lv.10、体術Lv.7、身体強化Lv.8、気配遮断Lv.6、夜目、自然体、剣術Lv.6、短剣術Lv.6、弓術Lv.3、棍棒術Lv.8、暗殺術Lv.5、剛力、隠密Lv.3、投擲Lv.3、隠蔽Lv.10(Lv.4)


特に棍棒術はこの短期間でしっかりと上がっている。

また、最近メイスの重さはあんまり感じないと思ったら〈剛力〉のスキルが増えていた。


「ステータスの成長は遅いね」


『上級職だから仕方ないよ』


魔力とDEX、INTが1つ上がったくらいか?

俺的には夜の継戦力が上がっている気がするので、体力も上がっていると思っていた。


さてと現状の確認が出来たし、冒険者ギルドに行こう。





「願いシャロえも〜ん、冒険者らしいクエスト紹介してぇ〜」


「……シャロえもんって何ですか? 私はシャロンですよ。間違えないように」


「あっ、はい。つい故郷の名残りで……」


「ミヤビさんの故郷ですか? 気にはなりますが、今はクエストの話でしたね。オススメできるのはダンジョン探索でしょうか?」


「ダンジョン!!」


そうだった。ついつい忘れがちだけど、ここはダンジョンのある都市だった。


「2階層にいる植物系の魔物【キルリーフ】の種を集める依頼が有りますよ」


「受けます!」


「それでは手続きをしておきます。なお、危険ですのでくれぐれも"火"には気を付けて下さい。ちょっとの熱源でも危ないですからね。良いですか? 絶対ですよ!本当に危ないんですからね!!」


植物系なのに火に気をつけろとは、どういうことなんだろう?


疑問に思いながらもダンジョンへと向かった。


肝心のダンジョンは目と鼻の先にある。ダンジョンを中心に生まれた都市の関係上、武器屋や冒険者ギルドのある中央区に存在していた。


「おや、青の聖女様もダンジョンかい?」


「うん、クエストで種を集めにきたんだ」


あの決闘騒ぎ以降、こうして声をかけられることが増えた。


「種ってぇと……キルリーフかね? 嬢ちゃんの力なら問題ないだろうが、火には気をつけるんだよ」


「他でも言われたけど、キルリーフに火を使うと何か問題でも有るの?」


「なんだい? 知らなかったのか? キルリーフは火耐性を持っている上に熱で実が弾け種が砲弾のように飛ぶのさ。噂によれば、タンクも仕留める威力らしい」


何、その初見殺し!? 知らなかったら植物だから火だねって使ったんですけど!!


「先に知れて良かった……」


『〈鑑定〉使えば大丈夫だったと思うよ?』


「それでもさ。ちょっとした事に危険が潜んでいると再確認できた」


今度から即〈鑑定〉する癖をつけよう。


「それじゃあ、いってらっしゃい。気をつけてな」


門番さんと別れてダンジョンの仲へと足を踏み入れた。


「思ったより明るい」


1階層は洞窟迷宮。洞窟が迷宮の複雑に枝分かれしている。

洞窟の中は全体的に淡く発光し、周囲を照らしていた。


「光苔や蛍石みたいな物を想像したいたけど全然違うみたいだね」


表面がラメを散りばめたみたいに発光している。


『発光の理由は魔力みたい。擬似魔力神経が通ってて、節の所が光るみたいだよ』


「なら、擬似神経が通っているから怪我が治るみたいに壊れても修復するのかな?」


『多分そうだと思う』


つまりダンジョンは生き物って考えは正しいのかもしれない。

壁や床などは一種の体表であり胃。魔物たちは白血球って所かな?


「さっそくお出ましだ。どっちがいく?」


『ミヤビが前衛するなら私がやる』


「オーケー。それじゃあ、任せた。出てきたタイミングを狙って攻撃してくれ。残った奴を俺が狩る」


魔力感知を使いタイミングを見計らう。


『〈ストームジャベリン〉!』


サーチアンドデストロイ。現れたゴブリンたちを渦巻く風の槍が串刺しにして全滅。レベル差もあって俺の仕事は何もなかったよ。


これはさっさと2階に行った方が良いかもしれない。







"ーーーーッ!!"


順調に1階層を移動し、そろそろ2階への階段に到着しようとする時、他の冒険者たちに遭遇した。


幼さの残る3人組が通路を塞ぎ、ゴブリンたちとの戦いを繰り広げていた。


剣士Lv.6

盾士Lv.6

魔法使いLv.5


バランスの取れたパーティだ。陣形も問題ない。ゴブリンたちとそうレベルが変わらないが安定した戦い方で苦戦する様子もなく戦闘を終わらせた。


「お疲れ〜、怪我はない?」

「疲れた〜。怪我はないよ」

「私もなし。でも、魔力が半分くらい。少し休憩しよう」


そこで彼らと目が合う。横を通り抜けても良かったが邪魔をしたくなかった。


「あっ、すみません。直ぐにどきます!」


「そんなに慌てなくても大丈夫だよ。場所的に戦闘時は仕方ないから」


「ありがとうございます。……お一人なんですか?」


「1人に見えて実際は2人だよ。ほら」


「えっ?」


俺が指差した方を彼らが向くと女の子の頬っぺたに指がツン。


ミュウは頬っぺたツンのイタズラを覚えた。


「「「妖精!!」」」


「えっ? じゃあ、お姉さんが"青の聖女"なんですか?」


「そう呼ばれているね」


男なんだけどね。向こうの世界よりも利点が多いみたいなので態々言うつもりは無い。勘違いする相手が悪い。女服は着てないよ?


「よかったら強くなる秘訣を教えてください!」


「ちょっ、初対面の人に何を聞いてるのよ!?」


「そうだぞ!青の親衛隊にバレたらどうするんだ!?」


親衛隊って何?

すごく不吉なワードが聞こえたんですけど。


「……その青の親衛隊について教えてくれないかな? 教えくれたら簡単なアドバイスくらいはするよ。勿論、他に教えない事が条件だけど」


「本当ですか!!」


「「「よろしくお願いします」」」


俺は情報の対価として彼らへ魔力の使い方を教える事にした。


「まずは自身の魔力を把握しよう」


魔力を流して自身の魔力を認識させる事から始めた。魔法使いの子が流せる様になったので交替し、毎日行って貰う事にした。


「次が魔力の移動だね」


自分の魔力を把握し流せる様になったら、1箇所に留めたり、塊で動かす練習をさせる。


「それが出来るようになったら魔力纏いで武器の強化や防御力を底上げ出来るようになるよ」


それで青の親衛隊とは如何なるもか?


「青の聖女を遠くから見守るファンクラブの事です。ご存知無かったのですか?」


いつの間にかファンクラブができてたぜ。

ちなみにメンバーを聞いたらほとんどが男性だった。関わり合いにならないように距離をとっておこう。





冒険者の少年たちと別れて2階層へと移動した。1階層とは打って変わり、草木の生い茂るフィールドだった。


「キュッ!」


「〈エアカッター〉」


風の刃がホーンラビットを切り裂いた。


見通しが悪いので草木の影から突然魔物が飛び出してくることが多い。感知系の能力を持っていないと怪我リスクが高そうだ。


「キルリーフ何処よ?」


『全然見つからないね……』


数時間探したが一向に見付かる気配がない。


「……ちょっと試してみるかな」


痺れを切らした俺はダメ元である挑戦をしてみる事にした。


「〈魔力感知〉+〈鑑定〉」


それはスキルにスキルを組み合わせること。

〈魔力感知〉で位置を把握した魔物を〈鑑定〉で調べる事ができるかを試してみる。


「あっ、出来た。……って、こりゃあ見つからない訳だよ」


どうやら常に移動を繰り返しているようだ。俺はミュウを連れてキルリーフの元へと向かった。


「えっ、あれがキルリーフ?」


『どれどれ……コレなのっ!?』


俺が指差し方を見てミュウが驚いた。

キルリーフは一見すると普通の一輪花とそんなに変わらないのだ。

しかし、隠れて様子を伺っているとーー


「にょ〜〜〜〜っ♪」


地面から根を出して、にょろにょろと足の様に使い歩き出した。


そして、物音を立てると直ぐに根っこを地面に潜らせ草花に擬態する。その場合はかなり近付いても襲ってこない様だ。


「とりあえず、一般的なやり方をしよう。えい!」


「みょ〜っ!?」


茎を斬り裂くとキルリーフの身体は消えて蕾と同じサイズの黒光りする種が落ちた。


名称:キルリーフの種(レア度:1)

説明:搾ると油が取れる。


『タンクを仕留めるって聞いたけど、どれくらいの威力かな?』


俺も気になっていたので実験してみることにした。


〈ストーンウォール〉


キルリーフの四方を厚さ1mの土壁で囲い、上からは火加減も確認したいので生活魔法〈プチファイヤ〉を投下。


"ドォーーン!"


しばらくすると土壁越しに重音が響いた。土壁は壊れてないみたいだ。


『凄い音だったね』


「結構深くまでメリ込んでーー」


"ドォーーン!"


「『はっ?』」


"ドォーーン!"


三度、重音が鳴り響いた。土壁にヒビが入る。


「『〈ストーンウォール〉!!』」


慌てて俺たちは新しい土壁を追加する。


"ドォーーン!"


「間に合った!!」


一瞬、ヒビから黒い塊が飛び出すのが見えるも新しい壁が間に合った。


"ドォーーン!"

"ドォーーン!"

"ドォーーン!"


それからさらに三度鳴った後にピタリと音がしなくなった。ギルドカードを確認するとキルリーフのカウントが増えていた。


「『解除』」


土壁を順番に解除していくと蕾が向いていた一面だけを攻撃している事が分かった。

そして、その威力はというと厚さ2mを突破し、3枚目の半ばまでメリ込んでいた。


「ヤバいね……」


『うん……』


そりゃあ、注意される訳だ。ちょっとの火種だけでこの威力。しかも近くに寄っても反応しないから気付いた時には自分の足元に……ひぇぇ。


『でも、やる価値は有ったみたい? 種を〈鑑定〉してみて』


ミュウに言われて種を確認する。


名称:キルリーフの種(レア度:6)

説明:搾ると良質な油が取れる。


周囲を見渡すと同じ物が大量に置いている。

俺たちはそれを見てニッコリと微笑んだ。




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