第13話 ノア

治療にかまけて宿を取っていなかったので教会に泊まる事となった。


"コンコンコン"


「は〜い」


「ノアです。夜分遅くに申し訳ありません。少々お時間を宜しいでしょうか?」


「ノアさん? 今開けますね」


皆が寝静まった時間にノアさんが訪ねてきたので、扉を開け部屋へと迎え入れる。


「いらっしゃーーおふっ!?」


柔らかくていい匂い。そして、重い……。


開けた拍子に身長差もあって彼女のおっぱいに埋もれてしまった。頭にしっかりとした重みを感じる。


「まぁ♡ 聞いてた通りおっぱいがお好きなんですか?」


「ごっ、ごめんなさい!」


慌てて彼女から離れる。うっかり堪能してしまった。


おいおい、何してんだ! お前は既婚者で、ミューの分魂であるミュウも側に居るんだぞ!! 満腹で寝てるけど!!


「あん! そんなに慌て離れなくても良いのですよ。私のおっぱいはアナタ様の物ですので……」


"ガチャ"


そう言うとノアさんが後ろ手に部屋の鍵を掛けた。


おや? 何やら雲行きが怪しいぞ?


閉める必要ある?と思いながらも彼女を歓迎する。

来賓室とは言っても簡単なテーブルと椅子が一脚しかないので彼女に譲ったが遠慮され、仕方なくベットに2人で腰掛けた。


「そういえば大司教様だったんですね。お若いのに凄いです。そんな方がどうしてこの教会に?」


今、教会本部は粛清の嵐で大混乱してるので大司教ともなれば立て直して駆り出されている筈だよな?


「全ては私を加護して下さる豊穣神ニュンフェ様のお導きによるものです。粛清が始まる前、神託で色々教えて頂きましたので、信頼出来る者たちへこれから起こるであろう事を伝え退会を申し出ました。尤も必死に懇願して引き止められてしまいましたが……」


どうやら彼女は教会の中でもエリート中のエリート〈神託の巫女〉と呼ばれる1人らしい。

ただでさえ少ないのに〈神託Lv.10〉に加えて、加護と〈天啓〉、神器持ち。今なら枢機卿になろうと思えばいつでもなれるそうだ。


「なので、巡礼の旅という事で野に降り、導きによってこの地へやって来たのです。勿論、仕事はきっちりとこなしました。この地に蔓延っていた害虫共は……1人残らず制裁を加え粛清しておりますとも。ええ……(ニコリ)」


怖っ……。深く聞かないでおこう。


そういえば、大きな教会にいる筈の神殿騎士があれだけ騒ぎになっても1人も来なかったのは、あまりにも不正をした者が多かった為に輸送で駆り出されていたからだそうだ。


「そうそうノアさんは聞きたかったんですけど、ニューの使徒なんですか? 勝手ながら杖……神器を鑑定した時にその様な記述がーー」


「そうです!その事で来ました!!聞いて下さいませ!私と豊穣神ニュンフェ様との素晴らしき出会いをーー」




それは数年前の出来事。


「あぁ、神よ……私の気持ちはやはり罪なのでしょうか?」


ノアはとある事で悩んでいた。懺悔室で告解する事も考えたが内容が内容なだけに周囲からは罪だと思われてしまう。


そんな折、彼女はスキル〈神託〉を習得した。


『ノア……私はミュ……神託……あげ』


「はっ!? 今の声はまさか……っ!?」


聞こえた神の声に文字通り天啓を受けた。


そうだ、周りがダメだと言うなら神に直接問えばいいのだと。


ノアは神託レベルをあげる為に勢力的に活動した。


そして、とうとう〈神託Lv.5〉へと到達し、単文的で有るが短時間会話が行える様になる。

また、答えてくれるかは別だが直訴することも可能になった。


「申し上げます!私に声を掛けて下る御身の名をお教え下さいませ!!」


『……私はニュンフェ。豊穣神』


ニュンフェがノアに声を掛けたのは、彼女の悩みに由来する称号が影響していた。


『アナタ……見ていた。質問……許す』


「申し上げます。私の長年の悩みについて!!ある日を境に幼き少年。世間でショタと呼ばれる年齢の者に……こっ、興奮を催す様になりました。そして、もっ、妄想してしまうのです! 優しく胸で包み込み射精を促したり、不埒共の妄想みたいに少年たちが必死に私を求める様をっ!! 幼き少年を好きになるはーー罪なのでしょうか!?」


『否。妄想大いに結構。ショタ尊き者。〈ショタ愛の信仰者〉を持つソナタは同士』


そう、ニュンフェが彼女に声を掛けたのはこの称号を発症していたからだ。


それから事ある毎に2人は会話を重ねて、ノアはニュンフェから神器を授かり使徒へと至る。


『イエス・ショタ・ラフタッチ』


ニュンフェの指示の元、志を同じにする者たちを集め、ショタを慈しみ問題無い範囲で愛でて成長するのを守る為の団体を作り、陰ながら愛護してきた。


「そんなニュンフェ様が全てのショタコンの妄想を体現出来る奇跡の男性を見付け伴侶にしたと連絡を受けました!そして、私は現生での世話役を仰せつかったのです!!」


ふんすと鼻息荒く興奮するノアさん。圧が凄い、圧が凄い!


おねショタじゃなくて、ショタおねもイけるんですね!知りたく無かった!!


清楚系ノアの実態はショタに夢見る妄想お姉さんというドン引きものでした。


「その対価はミヤビ様との性交渉です。その権利は会員内で共有する許可もニュンフェ様から頂いております。つまりハーレムですよハーレム。良かったですね。男の夢が叶って」


「ええーっ、そんなの聞いて無いよぉぉっ!?」


「これはミヤビ様の信徒を増やす為でも有ります。正攻法だけじゃ狂信者は生まれませんので」


いや、狂信者なんて要りませんがっ!?

だって、暴走するのが目に見えてるじゃん!!


「普通の信徒カモン!!」


「挨拶はショタスキーでしょうか?」


「止めて!? 邪教徒だと思われる!?」


ニューの計画的におねショタ愛護倶楽部の会員をその魔力まま俺の信者に組み込む計画の様だ。

ノアさんが『先見の明が凄過ぎです』と言っているが、ただ偶然が重なっただけの気がする。


「そういう訳で夜伽に参りました。一目会った時から妄想で濡れ濡れ……会長としては最初に味見をするのは当然の権利! ミヤビ様は天井のシミを数えるだけで済みますので……あっ、勿論その気になったら襲ってもらっても構いませんから!何時でも受け入れ準備完了です!!」


うう〜っ、これじゃあ聖女じゃなくて性の方じゃん。男だけど!!


聖職者改めて性職者(´;ω;`)


ミュウが1回でお腹一杯だった事も有り、欲求不満だった俺はノアの誘惑にあっさり負けて襲うのであった。




Sideカノン


「あれ……明かりが着いてる?」


トイレ帰りのカノンは来賓室の扉から明かりが漏れている事に気付いた。


"ーーー! ーーーーー!!"


「ミヤビ以外に誰かいるの?」


他の部屋よりそこそこ防音がしっかりしているので夜間であっても声をほぼ聞き取れないがミヤビのもので無いことは分かる。


「…………」


カノンはいけないことだと分かりながらもそっと足音を忍ばせて扉へと耳を当てた。


「あん、あんーーおおん!大っきい!大っき過ぎぃぃぃ!お〇んぽ様が届いちゃいけない所まで届いちゃってるうぅぅ!!」


バッとカノンは扉から耳を離した。


ええっ、今のはノア様の声!?なんて淫らな!!

それに 大っきいって何っ!? ミヤビのナニのこと!? あんなに小さい子なのに?


カノンは恐る恐る、もう一度確認しようと扉へ耳を付けた。


「ああん、堕ちちゃう、堕とされちゃうぅぅ!私が甘やかして手のひらで転がすつもりだったのにぃぃ!」


「散々搾られたんだ!その倍はイかせてやる!!」


「んほおぉおおおーーっ!!もうゆるじでぇぇ、入らないぃぃ!おほぉおおおーーっ!!」


あんな清楚で優秀なノア様がこんな……こんな雌牛みたいな声をっ!?一体何が起こっているの!?


「(そうだ、夢中になってる今なら窓の隙間から……)」


カノンはふらふらと外に行き、バレない様にカーテンの隙間から部屋を覗き込んだ。


「〜〜〜〜っ!!」


ナニアレ!? 本に出てくるオークみたい!?

禍々しい陰茎がノア様の身体を出入りしてる!


うわぁ、ノア様蕩けきってるな。そんなに気持ち良いのかな?


自然に自分の秘部へ手が触れると濡れるいる事に気付いた。年相応に知っているカノンは声を殺して手慰みで沈めると逃げる様に窓を後にした。


『ふふっ……』


まさか、隠れた妖精に見られていた事も知らずに。


その夜、結局朝まで悶々として眠れなかった。

しかも翌日から小さい子を見ると"あの子にも魔槍が……"と思ってしまう様になった。


『昨晩のミヤビさんたち凄かったよね? カノンさん』


その瞬間、妖精にバレていたことに気がついた。

そのせいか、ノア様もやって来て何やかんやとする内に……何故かショタ愛護倶楽部に入会する事になってしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る