トラック3:魔法の刻印入り(?)竹の耳かき棒で左耳をやさしくされる 【耳かき(竹の耳かき棒、梵天、左、中)、耳ふ~、ひざまくら】
(場所:前トラックから続けて同じ場所)
(位置:左、近い)
(SE:髪、布がこすれる音。『お客さん』が動く音)
(位置:左、近い)
(いたずらな声で)
いっひひひ♪ 魔法にかかったみたいな動きをしてくれるねぇ。
もしかして、ひざまくらでごろごろするの好き?
……そうなんだぁ。
じゃあ、ごろごろさせる魔法を練習しないとかも。
(えらそうな声で)
あたしも勉強になったところで、
左耳も気持ちよくしてあげよう~。
(SE:左耳中、綿棒で耳かきする音、続ける)
(位置:左、至近)
(声:ささやき、有声、続ける)
(自慢げな声で)
耳かきの練習は毎日してるよぉ。
お医者さんや看護師さんが勉強に使う
シリコン製の耳を相手に、
おしゃべりと耳かきの練習を毎日、毎日……。
誰かを練習台にしてると思ったのぉ?
(自信のない声で)
まあ、本来なら、ヒューマンタイプの使い魔とかで、
耳かきの練習するのがいいかもだけど、
あいにくあたしは使い魔を操る魔法が使えなくで……。
(不満な声で)
「友達は?」とか「彼氏は?」とか聞かないでよ。
あたしみたいな陰キャにいると思う?
(自信のない声で)
「いると思う」なんて真顔で言っちゃってさ……。
いたら今みたいにならないと思う。
(照れ隠しするように)
……お客さんの言う通り、
あたしが魔法使いにならなかったら、
こうしてお客さんに耳かきすることはなかったと思う。
けどここまで来るのにも、これからのことも、
お客さんの思ってるようなロマンはないよ?
(自信のない声で)
いい感じの売上を出してるわけじゃないし、
いろいろ考えることが多いし、
確定申告とかもろもろめんどくさいし、
税理士さんと話すの大変だし……。
(申し訳ない声で)
あ、ごめんなさい。
こんな話はしないほうがいいですよね。
『現代魔法使い』を名乗ってるのに、
ロマンもファンタジーもない……。
(SE止め:耳かきここまで)
こほん。(咳払い、弱い)
気を取り直して梵天でこちょこちょします……。
(SE:左耳中、梵天で耳かきする音、続ける)
(自分に言い聞かせる声で)
ダメダメ。
ひとに夢見せたり、ためになることをするのが魔法使いなの。
そうでなくてもあたしは陰キャで、
世を忍ぶ道を選んだし、
裏の存在の裏事情なんて
ただの現実になっちゃう……。
(迷った声で)
もっと話していいなんて言われても、
普通逆ですよぉ……。
こういうときは耳かきしてるあたしが
お客さんの話を聞くものだと思います。
まあ、無理に話してとは言いませんよ。
あたしも話を聞いてくれるのはうれしいので……。
(不満な声で)
……お客さんってばニヤニヤしてる。
魔法使いの裏事情が聞けて、
親近感が湧いたとか思ってます?
それとも、あたしの反応がおもしろいとか思ってます?
(声:ささやき、無声、続ける)
(いたずらな声で)
また笑って……、そんな顔していると……、
(SE止め:耳かきここまで)
ふ~~~っ。(耳ふ~、いたずらに)
(いたずらな声で)
どうかなぁ? 気持ちいいでしょう?
ふ~、ふっふっふ~~~。(耳ふ~、いたずらに)
(自慢げな声で)
魔法使いの耳ふ~は
ただ吐息を吹き込んでいるだけじゃないよぉ。
耳におまじないを流し込んでるんだぁ。
(甘やかす声で)
どんなおまじないかと言うと……。
「あなたに幸運が訪れますように」
っていう祝福っ♪
(自慢げな声で)
息のブレスと、祝福のブレスをかけた
ただのダジャレと思ったなぁ?
魔法使いはひとを呪うものだけど、
呪えるってことは逆に祝福を与えることもできるんだよ?
呪いと祝福は紙一重なんだぁ。
それも信じるかはお客さん次第だけど♪
(声:ささやき、ここまで)
(位置:左、近い)
(あわてた声で)
ど、どうしたのお客さん!?
なんで目がうるうるしてるの?
(きょとんとした声で)
うれしかった……?
(照れた声で、困惑、うれしい)
こんなあたしの考えた設定に
感動しないでくださいよぉ……。
えっと、えっと……そうだ。
(やさしい声で)
涙もろくなってるのは
疲れてるから……かもしれないねぇ?
眼精疲労が溜まってたり、
こころが疲れて感情の動きが過剰になってたり、
そういうことあると思うよ?
(やさしい声で、少しえらそうに)
どっちにしても今日はこれでおしまいっ。
あたしの耳かきのおかげで、
今日はぐっすり眠れるんじゃないかなぁ?
(SE:髪、布がこすれる音。『お客さん』が動く音)
(位置:正面、近く)
(やさしい声で)
うん、今日はおやすみだよ。
また来てねぇ~。
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