主食、敵兵。「底無しの貪婪(ボトムレス・ラヴェノス)」編

大竜「"陸に上がった河童"ならぬ、"路上のサメ"か。

   哀れなものだな、王女グーラ……そのまま動くなよ」


ドライバーシステム音声[SIN'S DRIVER!!]


大竜「いざ、顕現!」

ドライバーシステム音声[KEN-GEN!! INCARNATE STARVE DRAGON!!]


大竜『我が罪悪!』『我が貪婪どんらん!』『我が重圧!』

大竜『『『即ち罪竜! 底無しの貪食ボトムレス・ラヴェノス!』』』

大竜『ゴオオオガアアアアアアッ!』


――『つい☆ブイ』本編第四十三話「海上都市の激闘。相手取るは鱶の王女」より


◎挨拶

 親愛なる読者諸君、御機嫌よう!

 トチ狂い散らかしたエッセイモドキのページへ貴重な時間を割いてまでわざわざ来てくれるなんてありがとよぉ~!

 今回でシンズドライバーの形態解説は最後になるが、変わらずいつも通りにお届けするぜ!


 今回紹介する形態はァ~こいつだッ!


 他の何れよりも旧くより! 他の何れよりも強烈に!

 それは命ある者皆蝕みて、数多を滅ぼし縛り付けり!

 命持つ者よ、とくと知れ!

 その名は「底無しの貪婪ボトムレス・ラヴェノス」也ィッ!



◎形態概要

 消去法でもうお察しだろうが「底無しの貪婪」は七大罪の暴食に相当する形態だ。

 構成するのは暴食の象徴とされた幻獣・動物の内、ケルベロス、ハエ、ワニの三体で、大竜が変身する七形態ん中じゃ一番デカくて重い。


 容姿を大まかに説明すると「頭が三つになったワニ」って感じで、

 全長の凡そ六分の一か五分の一程にもなる三つの頭はそれぞれ下の二つがアリゲーターとガビアルを、上の一つがクロコダイルをそれぞれバケモンぽく歪めたような……

 ってだけでも相当ヤバいんだが、表面はワニの鱗とも虫の外骨格ともつかねえ漆黒のよくわからん外皮に覆われてる上、目玉は血走ったような真紅でやけにデカい、さながらハエみてーな複眼になってるってんだからマジでおっかねえ。


 加えて四肢はワニってより大型のイヌ科動物みてーな感じで、爪は鋭いし毛皮も分厚い。四肢以外の部位は腹まで含めて頭と同じく漆黒の外皮に覆われてっから傷をつけるのはぶっちゃけ無理なレベルだろう。


 背中には体格相応にバカでかく分厚いハエの翅が六枚も生えてて、一枚一枚に食い物や飯屋のシンボルマークを不気味に歪めたようなエンブレムが入ってる。

 あと尻尾の背面や、場合によっちゃ側面にも牙だらけの大口が並んでやがる。しかも三つの頭に加えてこの尻尾まで喋るってんだから戦闘中は五月蠅いったらねえ。



◎戦闘能力

 とにかくデカくて重たいもんだから動きは遅いし小回りも効かねえ。あと翅はあるが自力で飛ぶのもさほど上手くはねえ。

 まあ一応、その気になりゃ大型連休シーズンの岡山ドライバーぐれぇのスピードは出せるが、急な方向転換とかはクソほど下手だ。


 ただその分パワーと防御力はアホほど高い。ぶっちゃけ動き回る必要さえなけりゃ物理的な戦闘能力は七形態中最強クラスと言っていいだろう。

 顎の筋力は大岩や高層ビル、大型軍艦をも余裕で噛み砕く程に強烈で、しかも本来ワニが抱えてる「開く力は弱い」って弱点すら克服してんだからタチが悪い。

 言わずと知れたワニの必殺技「デスロール」なんてかまそうもんならとんでもねぇことになる。

 あと複眼のお陰で動体視力も高ぇし、五感全部をフル稼働しての索敵能力だって侮れねえ。


 イヌ科肉食獣風の四肢や、牙だらけの大口がついたバカでかい尻尾も強力な武器だ。特に尻尾は殴り付けるだけでも脅威なのに、加えて接触と同時に大口で相手の肉を抉り取りやがるからシャレにならねえ被害が出る。


 防御が堅牢なのは既に述べたが、仮にそれを貫通する程の攻撃を受けたり、外骨格に覆われてねぇ四肢を狙われたとして再生能力が高い分大して問題にならねえしな。


 そんでこんな「底無しの貪婪」をより悪質たらしめるのが、後述する固有能力だ。


◎固有能力-重力操作

 「底無しの貪婪」は変身シークエンスからして他とは一線を画してる。

 他が大抵、固有能力由来のシンボルから成る"渦"みてえなものに包まれて変身完了すんのに対し、「底無しの貪婪」は、


 ワニの大顎を象ったメカが地面から出て来て大竜を丸呑みにする

  ↓

 背後に現れた小型のブラックホールが大顎メカを吸い込んで消し去る

  ↓

 直後にホワイトホールを通じて、

 もしくは無理矢理こじ開けるように変身後の姿で出現


 とまあ、映像とかならともかく活字媒体でやるには聊か複雑……脳死で見られる日常系アニメの乱造で知能が落ちたネット老人のドブネズミや、

 どんな疑問でもYouTubeで調べて出て来なかったらすっぱり諦めるほど知覚が崩壊しきったZ世代のゾウリムシ風情じゃ概要すら理解できねぇだろう(と言って、そんな奴らはそもそも私の作品に近寄りすらしねーだろうがね……)。


 で、そんな変身シークエンスからじゃあんまイメージできなさそうだが「底無しの貪婪」が持つ固有能力はズバリ「重力操作」だ。

 効果範囲はかなり広く、加えて範囲や対象を精密に選べる他、自分自身に付与して機動力やパワーを底上げするなんて真似もできちまう。


 背中から生えたバカでかくて分厚いハエの翅六枚も、羽搏はばたいて空飛ぶ為ってよりは重力操作能力の発生源としての機能の方がメインみてーなトコがあり、

 よって本来は飛ぶのも下手だが重力操作で浮いちまえばあとは推進力さえあったらどうにでもなるからな。

 あと重力操作の関係でブラックホール形成とかもできるぞ。


 と、こんな具合に一見するとやたら強い「底無しの貪婪」だが、これで終わるハズもなく……



◎精神汚染

 七大罪の暴食に由来する精神汚染と聞くと、精々「腹ペコになり過ぎて動けなくなる」程度だろうとは誰もが思う所だろう。もしくは絶え間ない空腹感でイラついて凶暴化する、とかな。


 確かに嘗ての「底無しの貪婪」がもたらす精神汚染とて、まあ概ねそんな感じではあった……が、そもそも変身する時間が短かったから気付いてなかったのか、ドライバーに馴染んで来たからか、

 詳細な理由はわからんが、ある時を境にその概要は大きく様変わりして変身者である大竜を苛むようになった。


 まず精神汚染とは直接関係ないが、喋りが大きく様変わりした。

 それまでは三つの頭それぞれが似たような、かつ簡単な単語を順番に復唱するだけだったんだが、

 それが今じゃ頭一つがフツーに喋った直後に他二つが便乗して大竜の好物を一つずつ発表、立て続けに尻尾が『ヴゥゥゥゥマアアアアアア!』って感じで吼える……つー、書く側としちゃひたすらめんどくせー感じになってやがる。


 なんだよ、好きな総菜発表ドラゴンかよ。確かにドラゴンだけどそういうとこでドラゴン要素出して来るのは違うだろ違うだろ違うだろーっ!


 で、肝心の精神汚染だが、猛烈な飢餓感に襲われるのに加えて、周りの物体が「その時一番食いたいもの」に見えちまって、かつ「それを食わずに居られねえ」衝動に脳を支配されていくんだ。


 こうなるともういよいよヤバい。別に大竜自身は何食ってもどうにもならねぇが、流石に周囲への被害が尋常じゃねえ……ってコトで必然「底無しの貪婪」に変身した時は短期決戦を心がけるか、長引きそうなら他の形態に切り替える必要性が出て来るってワケだ。



◎本編での登場回

 本編第十六話での初登場、一連の連続変身回を締め括る大トリを務めたのがこの「底無しの貪婪」だった。

 続く再登場は冒頭でも引用した第四十三話。奇しくも「ワニ対サメ」っつー中々オイシイ対戦カードではあったが、たった一話であっさり終わっちまったのが心残りなんだよな。まあ、諸事情あって長期戦には向かねぇ形態だからしょーがねえんだが。



◎終わりに

 というわけで今回の解説は以上だ。

 そしてこれにて七都巳大竜がシンズドライバーでもって変身する「七大罪の各悪徳に対応した怪物形態」の解説も目出度く終了となる!


 とは言えこのエッセイはまだもう少しだけ続くけどな!

 次回の内容はまだしっかりと決まってねぇが……まあ何かしらいい感じのを用意しとくんで期待しといてくれ!


 それじゃ諸君、サラバだぁっ!!!!!!

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