面倒だ。いっそ凍っておけ……「凍て付く怠惰(フリージング・スロウス)」編

ゴミども「「「「「「「「「「財王龍ツァイ・ワンロン! 俺たちは貴様を絶対に許さない!」」」」」」」」」」


大竜「そう言われてもな。結局は貴様らの自業自得であろうに」


ゴミ「うるせぇーっ! そんなワケあるかぁ!」

ごみ「そうだ! それもこれも全部お前のせいだ!」

塵「言い逃れしてんじゃねぇ!」

芥「責任取れー!」

GOMI「謝罪しろー!」

DUST「俺たちのママを返せー!」

TRASH「ばぶばぶさせろー!」


大竜(……案件クエスト外での殺人は可能な限り控えた方がよい、

   とは平素よりパル殿や源元ギルド長からも言いつけられておるし……

   ここは極力穏便に済ませた方がよいのだろうな)


大竜(とは言え音を出し動き回る以上、放置しておけば害を為すのは必然……

   自ら逃げずに首を突っ込んだ手前自分にも幾らか責任はある故、

   どうにか殺さずにして再起不能へ追い込まねば……)


ドライバーシステム音声[SIN'S DRIVER!!]


大竜「いざ、顕現……」


ドライバーシステム音声[KEN-GEN!! INCARNATE LAZY DRAGON!!]


大竜『我が罪悪、我が惰性、我が極冷……

   即ち罪竜、凍て付く怠惰フリージング・スロウス……』


(中略)


大竜『貴様らはまだ"生かしておいて"やる……

   ただ、これ以上面倒を起こすような真似は許さんッッ……』


――『つい☆ブイ!』本編第四十八話「『それって別の形態で良くない?』は禁句である」より



◎挨拶

 親愛なる読者諸君、御機嫌よう!

 トチ狂い散らかしたエッセイかどうかも怪しいこんな作品のページにようこそお出で下さったァ!

 さてそれじゃ今回も我らが七都巳大竜がシンズドライバーで変身する各形態について解説させて頂くとしようかァ~!?


 今回は満を持して(?)いよいよこいつが登場だ!


 その者、怠惰であるが故に勤勉なり!

 その者、熱意を以て超低温の地獄を生み出せり!

 その名も「凍て付く怠惰フリージング・スロウス」だッッ!



◎形態概要

 本形態は名前の通り七大罪の"怠惰"に相当していて、外見的には怠惰の象徴とされた不死鳥、ナマケモノ、カタツムリの特徴を持つ……

 と、説明できりゃ楽だったんだが、厳密に言うと現代の熱帯地域で木にぶら下がってるあのナマケモノじゃなく、その近縁種とされるオオナマケモノことメガテリウムって古代生物の特徴を持ってるんだ。


 なんでそんなコトんなってんだ? ってのは聊か疑問だが「戦闘形態としてはメガテリウムを選んだ方が適切」だとか、そういう考えが大竜の中にはあったんじゃねえかなぁと考えてる。

 メガテリウムはあの剣歯虎サーベルタイガーことスミロドンさえ寄せ付けねぇ程の武闘派だって説があるからな。


 サイズは平均的な大型肉食恐竜くらいと結構デカく、その巨体を支える為に手足も太けりゃ尻尾もわりかし長め……

 全身を白い長毛に覆われちゃいるが、一方カタツムリの特徴がモロに反映されてるせいで身体の表面は粘液に覆われててヌメついてっから概ね「モフる」なんて到底できやしねえ。加えて目玉もカタツムリだけに"伸びる"んだからそりゃキモいったらねえって話だよ。


 不死鳥要素は精々背中に生えたバカでかい翼と、炎の如く揺らめく白いオーラぐらいのもん。せめてベースを不死鳥にしてカタツムリやナマケモノの要素は申し訳程度にするとか、そもそも他にも怠惰の象徴ならウシやロバ、クマなんかがいるんだからそっちを採用しとけばこうはならなかったハズなんだがなあ……。



◎戦闘能力

 メガテリウムとカタツムリの特徴を持つ上、やたら図体がデカくて目方もあるもんだから「凍て付く怠惰」の動きは基本的にすっとろい。大竜が変身する七形態ん中じゃワースト首位に食い込むレベルでな。


 だが目方がある分パワーは「燃え盛る憤怒」に匹敵し、かつ全形態ん中でも特に頑丈で打たれ強い。固有能力抜きにしても至近距離で似たタイプ相手に殴り合わせりゃ滅法強いだろう……そもそも相手に近寄れるかとか、距離取られたらどうすんだって問題がまずあるが。


 体格が頑丈なのに加えて、重厚な毛皮と分厚くて弾力のある皮膚のお陰で防御力もべらぼうに高い。毛皮に含まれる粘液は一見無用の長物にも見えるが、その実あらゆる攻撃を受け流して無力化する作用があって防御力の向上に一役買ってる。


 翼があるだけに空も飛べるが飛行能力はそれほど高くもねぇ。てか元々動き回るような形態じゃねぇんだよなコレ。何せ対応する悪徳が"怠惰"だし……。



◎固有能力-冷気操作

 世辞にも機動力が高いとは到底言えねえ「凍て付く怠惰」が持つ固有能力は冷気操作だ。超低温の白い冷気を、宛ら不死鳥が炎を纏うみてぇに全身から迸らせゆっくりとだが周囲を浸蝕していく。

 しかも――他の能力にも言えるが――大竜自身と、ヤツが許可した存在はその影響を受けねぇって最悪のオマケまでついてんだから尚タチが悪い。


 殆どの生き物はクソ寒い中じゃどうしても動きが鈍るもんだし、そこを乗り切ったって絶対零度の空間じゃあらゆる物体は動きを止めちまう。火や熱を起こそうにもそれすらできねぇと来ればもう手の打ちようがねえってワケだ。


 応用として、翼を羽搏はばたかせて冷気の塊を飛ばすって技もある。

 この技は温度が若干上がっちまう弱点を抱えてるが、無数の敵兵を死なねえ程度の氷漬けにするぐれーはわりと簡単にできちまう。温度が上がっちまう弱点はどこ行ったんだよ……。



◎精神汚染

 怠惰ってのは言わば怠け心や無気力のことで、七大罪の成立過程の関係で鬱や絶望みてえな精神状態もそこに含まれるようになったそうだ。

 となると怠惰の精神汚染もそんな感じで「何にもやる気を無くしちまったりなんにでも悲観しちまったりで戦闘どころじゃ無くなっちまう」とかそういうのをイメージしがちだが、こと七都巳大竜って男はその辺別格なトコがあってな……。


 「凍て付く怠惰」に変身中、大竜はズバリ「一周回って勤勉に」なっちまう。

 どゆことかっつーと、精神汚染はヤツの内なる怠け心を刺激し狂わせるんだが……怠け心、より厳密には「面倒臭ぇ物事はとっとと解決して終わらせよう」とかそういう考えが拗れに拗れた結果、とにかく極端なほど「戦闘時間の短縮」やら「戦闘の早期決着」へ執着するようになる。


 ……とだけ聞くといい変化に思えるかもしれねーが、敵さえ倒せりゃいいと周囲に被害を出しまくったり、使命感や義務感に囚われて精神を病んだ挙句理性や自我の崩壊を招いたりする危険性もある。

 「実質不老不死になれるんだから過労死しないだけマシじゃん」ってか? そりゃ確かに過労死はしねーけど……

 体調崩してぶっ倒れるのは避けらんねえし、何なら病気に伴う痛みや苦しみだってガッツリ味わうんだから結構地獄だぞ? それでもいいのか?



◎本編での登場回

 変身シーンが描かれたのは第六話で、第一話から本編を読み続けていた読者が最初に目の当たりにする形態こそ他ならぬこの「凍て付く怠惰」なワケだ。


 正直みんなは当初「初変身がこれかよ!?」って感じで結構驚いたんじゃねーかなと思う。もしくは「主人公らしくねーキモい姿になってんなこんなんでこの作品大丈夫かよ」と心配や軽蔑の感情を抱いたかもしれねえ。

 その節はぶっちゃけスマンかった。てか全形態に言えるけど、もっとフツーの「各属性のドラゴン」ぽい見た目にしろよって話なんだよな、例えばほら『シャイニング・レゾナンス』のヤツみてーな……。


 さて、堂々といの一番に初登場となった「凍て付く怠惰」だが、二度目の登場はかなり遅く第四十八話……丁度この回の冒頭に引用したエピソードでのことだ。

 別に怠惰の悪徳を司るからって出遅れたとかじゃねーんだがな……。


 続けて三度目の登場は更に話数が飛んで第百話でのことになる。

 ぶっちゃけここまで話数が空いたのは、そもそも大竜の出番がなかったり、直接的な戦闘描写そのものがないようなエピソードがかなり続いたからってのがデカいんだがな。



◎終わりに

 さて、若干長引いちまったが今回の解説は以上だ。

 シンズドライバーの形態紹介も残す所あと二つだが、実を言うと本筋の形態紹介からは外れたような、オマケ・番外編相当の話を二つか三つほどやれればと思ってる。

 とりあえずは同型機紹介とか、歴代所有者とか……


 てか別にこの作品で無理に話数稼ぐ必要もねーから、何かまた別の解説エッセイやなんかを書いてもいいかもしれねえな。

 何にせよあと一週間、今月の終わりまで一日たりとも欠かさず更新し続けて500リワード毟り取ってやるつもりなんで宜しく頼む。


 ……別に「毎日更新してればそれでいい」んだから、閲覧数がどうとか関係ねぇんだけど、それでもやっぱり作品として世に出した以上は読んで貰えるに越したこたぁねーからな(『じゃあ本編書けよ』って? それが上手く行かねえからこういうのやってんだろ察しろ!)。


 それじゃ諸君、サラバだ……また明日の更新でお会いしよう。

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