それは欲望を映す黄金の鏡か? 「鋳固める強欲(キャスティング・グリード)」編
大竜「いざ……顕現ッ!」
ドライバーシステム音声[KEN-GEN!! INCARNATE NASTY DRAGON!!]
大竜『我が罪悪……我が欲求……我が鉱脈……
即ち罪竜。
(大竜、変身)
大竜『求めるは勝利……即ち、敵勢力の死滅也……!』
(敵兵、怯みこそすれ退く気はない模様)
大竜『相変わらずの数の多さ! 辟易せずにはいられぬが、なればこそ殺し甲斐があるというもの!
さあ撒かれて散れよ
流るる川底へ積もる砂泥! 其の下より湧き出る砂金の輝き!
其れこそは富の証! 民を惑わし狂わせて、遂に血の雨を降らせよう!
光るは電飾! 響くは音楽! 欲望渦巻く孔の内!
釘にぶつかり弾ける小玉! 滑る博徒は地獄行き!
哀れなる博徒らよ! 一時の勝ちに酔いし貴様らは滑稽なり!
ならば総て尽きる迄賭け尽くし塵と還るがよい!』
(大竜、敵軍を全滅させる)
大竜『さて、概ねこんなものだろうが……それにしても!
新たな技を使い乍ら些か手間取ってしもうたわ!
いかんのう! もっと効率的に!
かつ!
読者の皆様へご満足頂けるよう!
豪華に! 派手に! 読み応えのあるように!
仕上げねばならんというのにからなぁ!』
――『つい☆ブイ!』本編第四十話「首魁との対面は叶わずとも、目的達成には近付きつつある」より
◎挨拶
親愛なる読者諸君、御機嫌よう!
トチ狂い散らかしたどーしよーもねぇエッセイもどきのページへようこそお出で下さったァ!
まあそう焦ったり身構える必要もねぇだろうさ、
こんな語り口な時点でお互い気軽にってのがお約束だしなぁ!
さてそんじゃ早速今回も大竜の変身するバケモンについて語ってくぜぇ〜!
今回扱うのは、この形態だっ!
その力まさに変幻自在! 齎す可能性は無限大!
全てを欲するほど欲深いそいつが紡ぐのは、万能なる絹糸!
七を七十乗倍してもまだ数え切れぬ変化を以て、あらゆる敵を辟易させる!
その名も「
◎形態概要
最早その名称から明らかだが「鋳固める強欲」は七大罪に名を連ねる悪徳の一つ"強欲"に相当する黄金色の形態だ。
例によって構成要素を紹介すると、強欲の象徴とされたゴブリン、キツネ、クモの特徴を持っていて、
大まかなベースは競走馬より二回りほどデカい二足歩行するキツネなんだが、
頭からはゴブリンの角が生えていて、片腕片足もゴブリンのそれだし(時にはキツネの四肢に加えてゴブリンの手足が生えてるなんてパターンもある)、
世のケモナー諸氏やモン娘好き諸氏を魅了してやまねえふわふわ尻尾はそれっぽく引き延ばした蜘蛛の腹部で、背中からはルイーズ・ブルジョアの彫刻「Spider」を思い起こさせるようなクモの節足が八本翼の如く生えている。
……キツネってだけならわりとキュート・プリティ路線にも舵を切れただろうに、そこへゴブリンやクモの要素を加えて絶妙にキモい雰囲気に纏め上げたセンスは我乍ら感動モンだ。
なに? 「カラスの翼じゃダメなのか」だあ? 鳥類の翼はもう二種類いるんだ、他と被らせらんねぇだろッ。
◎戦闘能力
全体的な見た目や後述する固有能力・精神汚染の印象からも搦め手重視で素の身体能力はそこまで高くねえ印象を抱きがちな「鋳固める強欲」だが、構成要素がそこそこフィジカル強めな生物ってだけに身体能力も断じて侮れねぇ。
ただパワーやスピードよりはゴブリンの手足、クモの節足を持つが故の器用さに秀でてるのは間違いねえだろう。武器の扱いとかも結構得意だしな。
因みに翼がクモの節足なんで空飛ぶのは無理……と思いきや、広げた節足の隙間に編み込んだクモの糸を張ってトビトカゲよろしく滑空するって形でガッツリ空も飛べるぞ。高所への移動はそれこそ
◎固有能力-金属操作
「鋳固める強欲」の強さの根幹は間違いなく金属操作の固有能力にあると言っていい。
何せてめえの周囲にある金属を自由自在に操るのは勿論のこと、独自の万能合金"
一見すると単なる黄金にしか見えねぇ冥府絹だが、その実態はあらゆる金属に化けたり、果ては異なる金属複数種の性質を同時に再現したりなんてマネもできちまう。
つまり大竜が命じりゃ冥府絹は鉄にも錫にもアルミにもなるし、タングステンの頑丈さを持ちつつも水銀みてーに常温で液化しつつヒ素入り銅よろしく鳥を寄せ付けねぇわけわからんオリジナル合金にだってなれるんだ。
劇中じゃパチンコ玉とかメダルの形になったり、それこそ蜘蛛の巣型の投網に使ったり、無数の敵を分厚いメッキで封じ込めて再起不能にしたり、みてーな使い方しか見せちゃいねぇが、
現状は刀剣や鈍器とかの武器にしたりはできるし、ゆくゆくは鉄砲とか、下手したらもっと複雑な機械なんかも再現できちまったりするかもしれねぇ。
まあ、複雑な機械ってのは金属だけで出来てるかっつーとそうでもないし、肝心の動力源はどう確保するんだとか、問題も山積してるがね……。
◎精神汚染
そもそも強欲って単語そのものは対象が何であれ強烈な欲望なら何にでも当てはまるが、こと七大罪の定義するトコロに依ると強欲ってのはカネやモノに対する欲望を指すモンだそうだ。
とすると大竜も変身中は金儲けばっか考えるようになっちまうのか? ってぇーとそんなワケはねぇ。「強欲」の悪徳に染まったヤツが欲するのはもっと別のモン……
具体的に言うと「更なる戦闘能力・技能の向上」とか「戦場での価値ある経験」、「よりよい戦果」なんかの「戦いに関する形のないもの」を求めたがるんだ。果ては「有意義で楽しい戦闘そのもの」とかな……。
それだけ聞くと、かえって変身者をパワーアップに導いてくれるような、精神汚染とは名ばかりのイイもんにも聞こえるが……
果たしてただ単に「戦って強くなる」とか「戦いを楽しむ」とか、そういう目的だけを極限まで突き詰めた"その先"に待ってんのは、多分きっとロクでもねえオチだけだろうさ。
◎本編での登場回
初登場は例によって(?)本編第十五話。連続変身の過程で初お披露目となり、無数に増えたゴブリンの道群"ども"を一気に始末してみせたぞ。
続く登場は冒頭でも引用した第四十話。形態名なんかの固有名詞が明かされて、能力の詳細も述べられたぞ。
その後は暫く出番が無かったが、第百十四話で久々の登場を果たした。精神汚染がより鮮明かつ具体的に描写されるようになり、パルティータ視点でだがその不気味さと密かな(?)ヤバさについての言及もあったぞ。
◎終わりに
さて、そんな感じで「鋳固める強欲」の解説は一先ず以上だ。
こうして改めて向き合ってみると(他の形態もそうなんだが)面白い運用が出来そうな設定の割にはあんま活躍もねぇし、作者としてその辺どうにかしてかんとイカンじゃねーかと改めて気づかされたね……。
さて、次回はそろそろ"あの形態"を紹介しておかなきゃなるめぇ。
どの形態だって? そりゃーお前……それを今語っちまうのは野暮ってモンだろう?
そんじゃ諸君、サラバだぁ~。
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