深く強烈な妬みの激流 !「渦巻く嫉妬(スワーリング・エンヴィ)」編
大竜「罪業背負う七竜に乞う……
その悪しき力振るう権能を、今一度我に貸与されたし。
顕現要請、邪悪魔神器シンズドライバー……」
ドライバーシステム音声[SIN'S DRIVER!!]
大竜「いざ、顕現……」
ドライバーシステム音声[KEN-GEN!! INCARNATE JEALOUS DRAGON!!]
沼田『なんだぁ~てめえーっ! 怖気づいて防御魔術使いやがって!
威勢よく啖呵切っといていざ死ぬかもってなったら保身とかダッセェんだよ!
そんな小細工如き、勇者の力の前には無意味だって教えてやるぜぇぇ!
喰らいやがれ、ブレイブフルチャージ・ギガスラッシュゥゥゥゥゥ!
うおおおおおおっがああああ!――っだあああああああああああ!?
折れたぁぁぁぁぁぁぁ!? てか砕けたあああああああ!!!
なっ、ああっ! お、俺の武器がっ! 勇者の剣がああっ!』
(沼田、変身中の大竜を攻撃しようとするも呆気なく失敗)
大竜『我が罪悪。我が
即ち罪竜、スワーリング・エンヴィ……!』
沼田『ひっ!? なっ、なんだこの
なんでこんな、海どころか川や湖でもない廃工場にこんなバカでかい海竜がっ!』
大竜『フシュウゥルクルルククルルゥ……
勇者の武具と力を悉く奪い去るとは、なんと興味深いっ……!
だがそれ故に許せぬっ……!
斯様なたかが下劣で醜悪な、取るに足らぬ小悪党風情に先を越された自分自身の不甲斐無さと非力さが何よりも許し難いッ!
――――クシァァアアアアッ!』
――『つい☆ブイ』本編第三十四話「生かす価値のない外道とは、まさにこういう奴を指して使う言葉であろう」より
◎挨拶
親愛なる読者諸君、御機嫌よう!
狂い散らかしたエッセイへようこそお出で下さった!
さあ早速だが今回はこの形態を紹介させて頂こう!
奴の執念は海より深く! 奴の自責は時化より荒れる!
身に纏う色は嫉妬の緑! 致命の水刃は岩も断つ鋭さ!
たかが嫉妬と嘲る敵に、陸での溺死を贈る死神!
その名も『
◎形態概要
七大罪に名を連ねる悪徳の一つ"嫉妬"に相当するこの形態は、ビジュアル的な意味でも他の六つとは一線を画してると言えるだろう。
何せ数ある"嫉妬の象徴とされた動物"の中からヘビが構成要素に選ばれてて、しかもその要素が結構色濃いってんだからな。
より詳しく言うなら、システム音声でやたらドラゴンドラゴンと連呼してる癖してど~~にもドラゴンらしさってモンに乏しい大竜の変身形態にあって、
この「渦巻く嫉妬」は「翼と腕の生えた三十メートル級のクソでかいヘビ」っつー、わりかしドラゴンぽさのあるビジュアルをしてるんだ。
まァとは言え、そこにトンボと人魚の要素まで加わっちまったんで、
全身は緑色の外骨格に覆われて目玉も青い複眼と化しちまうわ、
同じく緑色の鱗に覆われてヒレや水掻きの生えた細長い腕が生えるわ、
加えて背鰭腹鰭尾鰭も生えて、翼はトンボの翅と魚のヒレの中間みてーな感じになっちまうわと、
なんだかんだで結局いつも通りのキモいバケモンになっちまってるってオチだがね……。
とりあえず「嫉妬を司る悪魔レヴィアタンがモチーフ」ってワケじゃねえのは言っとくぞ。
◎戦闘能力
世の中得てして水中用の戦力ってのは扱いが悪くなりがちなモンだ。
例えばトレーシー家の四男ゴードンが操る原水"サンダーバード4号"は活動現場が水中に限られるモンだから映画じゃ不遇だったし、
『爆竜戦隊アバレンジャー』のステゴスライドンとて味方陣営との合体形態は手抜きのカスみてぇなもんで性能もそこまで高くなく、
当人はその所為で気を病んじまって「まともな合体ができて前線で活躍できるから」って理由で敵陣営に寝返っちまったと聞く。
とするといかにも水中特化ぽい「渦巻く嫉妬」も不遇形態なのか? と思っちまいそうになるがそうでもなく、そもそも同形態は別段水中特化ってワケでもなく――水中でこそ真価を発揮するのは勿論だが――陸上でも案外フツーに戦えたりするんだ。
牙は鋭く、毒こそねぇものの顎の筋力はかなり強い。人間サイズの相手は噛まれただけでも重傷を負っちまうだろう。
鱗に覆われ水掻きとヒレの生えた腕とて腕力はさほど高くねぇが純粋にリーチは長いし武器を扱える程の器用さもあるから侮れねえ。
ヘビってことでバカでかい相手には巻き付いて締め上げたり、丸呑みにして腹ン中に閉じ込めた相手を筋肉と肋骨で押し潰す技も強力だ。
ただ現状はそういう戦い方よりも、専ら後述する固有能力を活用する機会の方が多いんだがな。
◎固有能力-放水・流水操作
水中生物然とした見た目に違わず「渦巻く嫉妬」は水を扱う固有能力を持ってる。
劇中だとウォーターカッターよろしく口から水流ブレスを吐き出す場面が印象的……つーか、それが強すぎるのもあって他の技使ってる場面が現状ねぇんだが、
設定上は炸裂する水の塊を撃ち出したり、はたまた敵の肺ん中へ水を流し込んで陸上で溺死させたりとか色々できるんで余裕がありゃその辺も描写していきたい所だ。
◎精神汚染
嫉妬の悪徳に基づく精神汚染っつーと、あんま大したことがないように思うかもしれねぇが、例によってそんなことはねぇ。
かのシェイクスピアが戯曲『オセロー』で語った所によれば「嫉妬とは緑色の目をした怪物であり、ヒトの心を嬲り食い散らかす」そうだしな。
さてそんなワケで「渦巻く嫉妬」変身中の大竜は、とにかく他者に対する劣等感やてめえ自身の不徳不手際への後悔、またそれらに起因する自己嫌悪に苛まれて発狂するようになっちまう。
冒頭で引用した沼田戦での変身直後の台詞はまさにそんな大竜の歪みに歪んだ精神状態を顕著に表していると言っていいだろう。
挙句、その自己嫌悪は沼田が即死した後も続いていて……
『……いかんっ!? 勢い余ってさして苦しめぬ内に殺してしまったっ!
なんということだ……!
読者の皆様方は、自分があの豚を徹底的に苦しめ凄惨に嬲り尽くして始末する展開をご所望であったろうに……!
矢張り自分はっ……! このような自分風情ではっっ……!』
――第三十四話末尾より抜粋
こんないかにも末期過ぎる台詞が出る始末だ。別に読者は沼田が死んでりゃそれで満足するだろうになァ~。
酷い時なんざどんなに自分より劣ったような相手でも強引に"自分より優った点"を、大抵言い掛かり同然に口走っては無理矢理自虐しまくって勝手にキレたりすっからな。
いよいよタチが悪いぜこりゃあ……
◎本編での登場回
初登場は第十五話で、例によってゴブリンの道群を始末するのに変身した。
その後「渦巻く嫉妬」の名称と共に再登場したのは冒頭でも引用した第三十四話。
更に続く第三十五話や、はたまた南国トリプルデート編の第八十五話でも登場したが、この時は戦闘じゃなくあくまで海を泳ぐ為の変身だった。
そういう使われ方をしたってトコも含め、やっぱビミョーに異質な形態って感じがするぜ。
◎終わりに
さて、今回も書け足気味に勢い任せで書き綴ってみたワケだがどうだったかな。
ロクすっぽ計画も立てず見切り発車の行き当たりばったりで書いてるもんだから粗も多かろうが、既に本編を読んだみんなは「ああ、そんなことあったな」とか「なるほどそういうのもあるのか。今後が楽しみだな」なんて思いながら読んで欲しいし、
まだ本編を読めてないみんなでも、このエッセイが切っ掛けで本編へ興味を持つ切っ掛けになってくれたら有り難いなあと思うぞ。
それじゃ諸君、サラバだっ。
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