第7話 百鬼夜行
結城と宮本が次第に深まる関係の中で力を合わせ、凶悪な殺人犯『赤い蠍』に立ち向かおうとしている頃、学校ではさらなる不穏な出来事が起こり始めた。夜になると、生徒たちが「学校の怪談」に登場する妖怪を見たという噂が広まり、恐怖は一層深まった。
### 妖怪の登場
ある夜、結城は宮本と共に学校内を見回っていた。静まり返った校舎の廊下を歩いていると、突然、遠くから低い唸り声が聞こえてきた。
**宮本**: 「今の、何の音…?」
**結城**: 「分からない。でも、気をつけよう」
二人が音のする方に近づくと、廊下の先に薄暗い影が現れた。影は徐々に形を成し、巨大な人間のような姿が浮かび上がる。しかし、その顔は異様に歪んでおり、目は燃えるように赤く、口からは鋭い牙が覗いていた。
**結城**: 「まさか、これは…!」
その正体は、伝説の妖怪「**牛鬼**」であった。牛鬼は、古来から人々の恐怖の対象であり、悪霊を引き寄せる存在とされていた。学校の裏手に広がる森が、その妖怪の隠れ家だという噂もあったが、結城はまさか本当に存在するとは思っていなかった。
**牛鬼**は、ゆっくりと二人に向かって歩み寄り、その巨大な手を伸ばしてきた。結城は宮本を庇うように前に立ち、逃げ道を探した。
**結城**: 「ここは危険だ、宮本先生!早く逃げるんだ!」
だが、宮本は恐怖で足がすくんで動けなくなっていた。牛鬼の迫力は圧倒的で、その存在感は二人を押し潰すかのようだった。
### 突然の助け
その時、暗闇の中から別の影が現れた。それは、校内に潜むもう一つの怪異、「**夜叉姫**」であった。夜叉姫は、かつてこの地で祟りを受けたという伝説の存在であり、恨みを晴らすために人々を呪い続ける妖怪として知られていた。
だが、今夜の夜叉姫は牛鬼を見つめると、不思議なことに結城たちを守るかのように立ちはだかった。彼女は細身の刀を抜き、牛鬼に向かって攻撃を仕掛けた。
**結城**: 「どうして夜叉姫が…?まさか、赤い蠍との戦いが影響を与えているのか?」
牛鬼と夜叉姫の戦いは激しさを増し、廊下は荒れ果てた。結城は宮本を抱えてその場を離れようとしたが、二人ともこの異様な光景に釘付けになっていた。
### 不気味な予感
夜叉姫は次第に優勢になり、牛鬼を追い詰めていった。しかし、牛鬼は最後の力を振り絞り、激しい一撃を放った。夜叉姫はそれを避けるが、その瞬間、牛鬼は闇の中へと消えていった。
夜叉姫は一瞬結城を見つめると、何も言わずにその場を去っていった。まるで、彼女自身も何かを探しているかのように。
**宮本**: 「結城先生、今の…一体、何が起こったんですか?」
**結城**: 「分からない。でも、これは単なる妖怪の出現だけじゃない。何か、もっと深い理由があるはずだ」
この不可解な出来事は、結城と宮本に新たな謎を突きつけた。学校に潜む闇が、さらに深い何かと繋がっているのではないかという不気味な予感が、二人の心に重くのしかかっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます