第2話 噂

二.『噂』


 翔太は瑠香と別れた後、どうやって帰宅したのか一切記憶が無かった。瑠香の事を考えすぎていたためそれ以外の記憶が完全に消え去っていたのだ。運良く車にぶつからずに済んだが、一歩間違えれば異世界転生していてもおかしくなかっただろう。その後制服も着替えず自室のベッドの上で悶々と瑠香について千思万考しては身悶えてを繰り返していた。


ティロンッ♪


突然翔太のスマホが鳴った。慌てて開くと中学からの親友、山本龍司(やまもとたつじ)からのLINEO(リネオ:snsの一種)であった。


山本

「おつー」


山本

「最近あんま絡んでないけど」


山本

「元気かー」


佐野

「ぼちぼちかな」


佐野

「てゆーか」


佐野

「絡んでなくもなくない?」


山本

「笑」


山本

「まあ」


山本

「前年同月比的なw」


佐野

「なにそれw」


佐野

「寂しがり屋かw」


山本

「俺寂しかったのwww」


佐野

「ウザっw」


佐野

「石田が嫉妬するぞw」


山本

「まあw」


山本

「冗談はさておきw」


佐野

「冗談w」


山本

「あー」


山本

「その」


山本

「なんだ」


佐野

「何w?」


山本

「翔太さー」


山本

「最近」


佐野

「うん」


山本

「牧瑠香さんと仲良いじゃん」


佐野

「え」


佐野

「牧さん?」


山本

「そー」


山本

「クラスメートの」


佐野

「あー」


佐野

「まあ」


佐野

「仲良くなってきてるかも?」


佐野

「前年同月比的にw」


山本

「うん」


佐野

「うん、てw」


山本

「ちょい変なこと聞くけどさ」


佐野

「何?」


山本

「怒んないでほしいんだけど」


山本

「翔太は変なこととかにさ」


山本

「巻き込まれたりとか」


佐野

「変なことって?」


山本

「してないかって」


山本

「ちょい心配でさ」


佐野

「僕には何も起こってないけど」


佐野

「巻き込まれるて」


佐野

「どゆこと?」


山本

「いや、無事ならいいんだ」


佐野

「牧さんに何かあったの?」


佐野

「なあ」


山本

「俺も変な噂を聞いて」


山本

「翔太が心配になって」


山本

「連絡したんだけど」


佐野

「うん」


山本

「俺も詳しくはわかんないし」


山本

「LINEOだとアレだからさ」


佐野

「うん」


山本

「同中だった宮崎さんって」


山本

「覚えてるか?」


佐野

「宮崎さんて」


佐野

「美桜ちゃん?」


山本

「そうそう」


山本

「その宮崎さんが詳しいらしいから」


山本

「明日の昼、聞いてみてくれないか?」


山本

「俺がアポとっとくから」


佐野

「おー」


佐野

「サンキューな」


山本

「いや」


山本

「いきなり変なこと聞いて」


山本

「ごめんな」


佐野

「いいよ」


佐野

「心配してくれたんだろ?」


山本

「ああ」


佐野

「ありがとな」


山本

[スタンプ](謎のキャラクターが謝罪?している)


佐野

「なにそれw」


山本

「www」


佐野

「山本」


山本

「どしたー」


佐野

「その噂ってさ」


山本

「うん」


佐野

「結構広まってんの?」


山本

「たぶんな」


佐野

「わかった、ありがと」


山本

「おー」


佐野

「おつ」


山本

「あとさー」


佐野

「お?どした?」


山本

「翔太さー」


佐野

「あいよ」


山本

「牧さんのこと好きなん?」


山本

「てゆーか好きでしょw」


佐野

「はああああああああああああああああ????」


佐野

「いやいやいやいや」


山本

「草」


佐野

「いきなりなんでそうなるん??」


佐野

「全然好きじゃないんですけどーーーー」


山本「あーw」


山本

「わかったわw」


山本

「応援すっからw」


山本

「マジで」


佐野

「話しを聞いてくれ!!!!!!!」


山本

「頑張れなー翔太ーー」


佐野

「おい!山本!!!!!」


山本

「バレバレだからw」


山本

「授業中に牧さん見過ぎw」


山本

「草」


佐野

「見てんええし!!!!」


佐野

「見てねえし!!!!!」


山本

「誰にも言わないから」


山本

「安心し」


山本

「だからちげえええし」


山本

「なんかあったら協力もするからb」


佐野

「おいいいいい」


山本

「そろそろ寝るわw」


山本

「おやすみーーーーーw」


佐野

「おいまて」


佐野

「ほんとちがうから」


佐野

「山本?」


佐野

「マジで寝たんか、、、」



「ああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

僕の絶叫が夜の部屋に響き渡った。

「うるせええええぞ!!!!翔太!!!!!!!」


ドンッ!


隣の姉貴の部屋から壁ドンされる。僕は枕に顔を埋め、声にならない声をあげるのだった。


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