第26話 各々の所属する部活
退屈な学園生活で僕は魔法少女を輝かせる事に力を注ぐ事に決めていた。
だが、生活を送っている上で僕にも考えの変化が訪れる。
それは⋯⋯ラスボスってお前なの、展開!
ルベリオンに騎士部に誘われているが実力不足として断っている。
驚きを与えるなら生徒会が一番だが、そこまでの成績を叩き出すつもりは無い。
強さでの注目を集めず、そこそこの知名度を得られる生活。
「そこに趣味と実益を兼ねたい」
強欲セットだが必死に考えてみる。
すると、お茶を用意してくれたサシャが1枚のチラシを手渡す。
「魔法研究部?」
魔法に関する事を研究する部活らしい。
歴代では国王から直々に表彰されるレベルの魔法を考えた人もいたらしい。
「魔法の鍛錬を欠かさないルーシャ様の新たな刺激になるかと思い、用意しました」
「見学行ったの?」
「いいえ。ルーシャ様の興味が引かれそうな部活には絶対に行かないようにしております。共に回るため⋯⋯」
遠い目をする。
前回は別件を頼んで回れなかったからな。
「もしかして、他のところには行ったの?」
「はい。例の件を済ませた後に拷問部、調教部、図書部の方に⋯⋯兼部になりますがその全てに所属しようかと」
拷問部、歴史から使われた拷問を学ぶ部活。
調教部、動物や魔獣を躾て手懐ける部活。
図書部、前世とさほど変わらない認識。
異世界らしい? 部活が多いと思った。
僕はサシャと共に魔法研究部へ足を運んだ。
実用的な魔法から芸術重視の魔法⋯⋯更には魔法を使った道具の研究。
ほんと色々としている。
学園の設備も優れており、本格的な研究が可能となっている。
あくまで研究部なので魔法の実力を伸ばすところでは無い。
強くなるなら魔法戦闘部がオススメとなる。
「研究部を勧めてくれた理由を聞いても?」
「ルーシャ様の実力は教師を超えておりますので、研究部の方が合っていると思います」
「なるほど。サシャは僕を良く理解してくれてるね」
「私など、ルーシャ様の爪先までしか理解してませんよ」
謙遜か本心か、どっちでも良いか。
見学して先輩達がやっている事を流し見する。
カッコイイ魔法を常に考えている僕からしてみたら、色々な発見が得られそうだった。
部活での実績を残せばそこそこの知名度を稼ぎ、僕が考えている展開もできる可能性がある。
「空気感も悪くないし、青春を取り戻せる気分になりそうだな⋯⋯良し、僕はこの部活に入る事にするよ」
「なら、私もここに入ります」
「⋯⋯え?」
「え?」
僕がおかしな事を言っているような間が開く。
既にサシャは3つ部活に入る予定と言っていた。
「部活、多くない?」
「他3部の活動は少ないので問題無いです。私自身、部活動よりも設備利用がメインですから」
設備を使いたいから部活に入る、これがサシャの考えらしい。
彼女は彼女でしっかりと考えて行動しているのだろう。
僕はこの部活に入りカッコイイ魔法を研究しようと思う。
せっかくの立場だからね。
⋯⋯まぁでも、あんまり使う機会ないから自己満足なんだけど。
こんなんで落ち込んでたらオタクやってけないから、前向きに考えるけどね!
「それじゃ、部活ある時も一緒だね」
「はい。私は常にルーシャ様のお傍に居たいと考えています」
裏の無い明るい笑みを浮かべられ、僕の心にダメージが入った。
うん、色々と頼んでごめんね。本当に。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ルーちゃん部活決めた?」
「いえ。ワタクシはまだ。そもそも強制では無いですから、ワタクシは入る予定はありませんわ」
「ええ! 勿体無い! 1回限りの学園生活なんだから部活入ろうよ。セーギさんもその方が良いって言ってたよ」
その後に何故か「調整しやすい」と呟いていたが。
魔法少女として活動している手前、活動日の多い部活は避けたい。
活動日が多くなる傾向の戦闘の実力向上を目指す部活には入れない。
ルーちゃんも同じ考えなので、彼女に気になる部活は無いのだろう。
でも私はせっかくの学園生活なので部活に入りたい。
私1人じゃなくて、ルーちゃんと沢山の思い出を作りたい。
「ルーちゃんと同じ部活に私は入りたいなぁ」
「⋯⋯」
うるうるとした視線を向け続けると、大きな溜息と共に折れてくれた。
「活動日が少なくて、ピリピリしてないゆるゆるな部活なら良いですわよ」
「難しい条件だね!」
「ワタクシ達はやるべき事がある、それだけですわ」
私も一緒だ。
魔法少女としての活動は1番重要な事となっている。
私は家族を護るために魔法少女となったけど、護る度に見える国民の笑顔を見るとこの笑顔も護りたいと思える。
ルーちゃんにもそう思ってくれる日が来る事を期待している。
「とりあえず条件に合いそうな部活をピックアップしたメモをどうぞ」
「用意周到ね。引くわ」
ルーちゃんと仲良くなれたのはココ最近だが、仲良くなるため色々と見て来たので大体の性格は分かっているつもりだ。
だから条件を予測して徹夜で部活のリストを作り出した。
ルーちゃんは私の用意したメモの中から1つ指で押す。
「この慈善活動団体部ってのはどうかしら?」
「そう言うと思いまして、所属している先輩に聞き込み調査をした結果をどうぞ」
「引くわー」
ヒアリングして箇条書きしたメモを上から下までしっかりと読む。
慈善活動団体部は自然災害やヤベーゾの悪さで壊れた建物の再建築費など、多額のお金が必要な時に街中で募金活動をする。
主な活動は校庭の清掃や草むしりだ。
「先輩達の空気感も良いし、掃除しながら世間話もできる。良くない?」
「確かに。定期的に行う募金活動や街の清掃活動は人々のためになりますわね。ワタクシ達のやるべき事に繋がる部分がある、気に入りましたわ」
「良し! なら見学して改めて気持ちを固めた上で入部届けを書こう! 行こ、ルーちゃん」
「分かりましたわ」
呆れた様子を見せながらも、軽い足取りでルーちゃんは慈善活動団体部の場所へ向かった。
魔法少女の学園生活はまだ、始まったばかりだ。
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