第4話 楽しみながら〜罰ゲーム1,前編〜
「罰ゲームサイコロ〜!」
そんな元気な声を発したのはスタッフの一人だった。
「ウニョー!」
棒人間って悲しむ時変なことを叫ぶよな……ちょうどそのころ遠く離れた場所の特急で、車窓の絶景とも言えないが汚いとも言えない風景を眺めながらテツがぼやいているが、いくらアラバキの文明でそれ(繋がること)ができるとはいえ、いくらアラバキには最低限の法律しかないとはいえ、アラバキは鬼ごっこ大国だ。ルールはルール。正々堂々やりましょうや——。
*
ところで罰ゲームサイコロって何? と棒人間の一人が聞いた。「そうだそうだ!」とパグを入れて五人も声を上げる。
(いや……それ知らずにウニョーって叫んでたんかい!)スタッフは笑いを堪えきれなくなった。(はははは……。)悲しく笑いながらも、言った本人の責任として、彼は説明を始める。
「待機時間を決めるんだよ。15分出たら、難易度E級。——「15分間に全員でこの公園内で合計1680歩歩け。さもないとおならベア降臨するからな? 報酬:報酬+300円ゲット」
そのほか、D級C級B級A級のミッションの説明をする。棒人間はB級の罰ゲームあたりから、顔を押さえて、
「ウニョー!」
などと叫んでいる。
「30分はB級とA級とある。つまり30分のマスが2つあるんだね。6面中2つに割れているところは、1~3か4~6かの目でもっかい引いてもらうことになる」
結果——Dの反対が出た。
「30分中10分で代表三人で合計6000歩歩け。罰ゲーム…おならベアのマッサージ(放屁投げ飛ばしほか)20分」と判決が言い渡された。
「20!?」「6000歩!?」「ウニョー!!」「ノー!!」「断固として拒否する!」パグが、青ざめて何も言わない。以上がチームの反応だった。
*
五分が経過した。スタッフの声にフトはスマホを見る。計測から+200と出ている。あと半分でこの十倍歩く——想像しただけで気が遠くなりそうだ。しかも他の二人ができなかった場合もっと多くなる可能性もある。3000,4000……。
「ウニョーッ!!」思わず声をあげてしまう。代表はパグ、ハト、フトの三人だが、失敗した場合連帯責任で他の二人も罰ゲーム「マッサージ」を受けてしまうわけだ。
「そんなの、嫌だよ〜!」
「ぼくのプライドに傷がつくから〜!」
残り二分。+400歩。残り1980歩と言われて、ハトは諦めて会場を後にした。
「ちょっ、ハト〜!」これで120秒で990歩確定——ますますダメじゃねえか。棒人間は顔を抑える。「ウニョー!!」ここでフトが本気を出した。小学生のグラウンド一周の何倍ものスピードで走り出したのだ。
「ウニョウニョウニョウニョー!!」
「なんじゃそりゃ〜ッ!!」パグの絶叫。
結果。
あと160歩で撃沈。
「まあでもよくやった!」スタッフが聞いた。「あの追い返しはすごかったなぁ」
残像しか見えない走りを見て、(これ新幹線並みじゃね?)とハトは思っていた。ベンチの腰掛けに両手を任せなければ吹き飛ばされそうになるほどの勢いだった。というか本当に吹き飛ばされていたかもしれない。
*
しかし、だ。
「失敗は失敗だね〜」スタッフがいった。それは何よりチームのメンバーが一番わかっている。
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