第3話 スパイ
公園に着くと、アダチことサブローはまず変装用具を取りだした。サングラスが光に反射して紫色になっている。サブローはまずこれをつけた。次にサブローはバッグの中から折り畳み椅子を取り出して、まるでビーチに来た時のような体制を整えると、椅子の右側の小さな網目上の穴にコップを入れて、紙カップをバッグから取り出すと、笑顔になった。
ユースケは、眼鏡に青いTシャツで、三脚の上にカメラを固定して、「カット!」とか「きみきみー。ダメだよ、そんな演技しちゃっ!」とか言ってパグチームの興味を惹きつけた。
「ぼくも演技する!」目立ちたがり屋の棒人間一族がついに吸い込まれた。
(してやったり!)というふうに、サブローは笑って、席をどいた。当然、あのコップと紙パックを持って。
棒人間が座ろうとして、折り畳み椅子から落ちた。
「ウニョー! どうしてー」
小さい破れかけの穴を、二人はこしらえていたのだ。
そこに、細い体の棒人間は落ちたのだ。
「!!!!()!—————」その下に、洗濯袋をくっつけてあって、棒人間はそこに落ちたというわけ。棒人間の叫びはよく聞こえない。上からチャックを閉めたから。呼吸は網目からしかできない。少しだけ空けておいた入口から、紙パックの黄色い液体が並々に注がれた。
そして上にどっかりと腰を下ろして、サブローはカップラーメンにお湯を入れ始めた。
*
そしてカップラーメンが出来上がった。棒人間が鼻をおさえ始めた。「なにこれ。臭っ!」
ココナッツミルクだよ、と四十一人は答えた。
「その声はっ、電気あんま隊かっ!」
「おまけでテツチームを追加してね」
パグチームは逃げ始めたが、ハトが捕まったため、鬼——交代!
「メンバーの交代なし」テツがいった。
「くちょー! 誰かもらいたかった……」棒人間が甲高い声で悔しがる。女装した中年の声を1.2倍速で聞いたようなかん高さが、今日は1.4倍速になった。
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