ムショ


「……」


『ねえ、何で貴方が此処にいるの?』


「それは、私の台詞だよ。ナルちゃん!」


事務所に着き、一休みする暇も無く。重たい空気が場を包み、修羅場になってる理由は分からないが何故かそんな空気になっている。取り敢えず、俺はリサさんに聞いてみる事にした。


「あの、あちらの女性はどちら様ですかね?後、気のせいだと思うんですけど何処かで聞いたことある様な……」


リサさんに尋ねると、少し口ごもりながら答えてくれた。


『あ、えっと。彼女はですね……ちょっと言えない特殊な感じの人で、ですね。私の口からはちょっと言えないんです。本人から直接聞いて下さい』


「えー」


そう言われると、気にはなるけどそう言われると仕方ない。我慢しよう。


「此処で会議しますか」


『い、いえ。此処は流石に邪魔になるので会議室まで移動になります。私が先を先導するので、お二人を動かして貰って良いですか?』


「ええ……そうなるのかぁ。嫌だなぁ」


あんな見るからの地雷に飛び込めと?嫌だ。でも、俺しか出来ないのならやるしか無いか。


チラッと改めて様子を見てみると。和やかなムードだったし、案外喧嘩してないのかもしれない。


『此処が前言ってたアットホームな職場?』


「そう、今は此処で働いてるから私が此処にいるのは別におかしく無いんだけど。ナルちゃんは何で此処にいるの?」


『あーそれはね、ちょっと色々あって付き添いと言うか。話すと、地球が作られる前からになるよ?』


「46億年前からになるの?嘘でしょ?」


なんかやべー話してる。何でそんな昔の話してるんだか、分からないし放っといて置いても良いんじゃないかと結論を出して、持って帰る事にした。と言うか険悪なムードじゃなさそうだし良いや。しらね。


「置いときましょう。あの二人が此処から先は付いていけるとは思いません」


『い、いや、いや。そんな異世界モノの追放テンプレート台詞言っても駄目ですよ』


「その場のノリとテンションでどうにかなりませんか?」


『なりません』


ロリコンの癖に半端に常識があるせいで融通が効かなかったので仕方無く、俺は妹の手を引っ張り。その妹が知り合いらしき謎多き彼女の手を引っ張る謎の構図で居た堪れない気持ちになりながら、会議室に向かった。







『と、と言う事で、漸く会議をしようと思うのですが』


会議室に辿り着いて、早々。話を進めようとした莉紗さんにストップを掛けたのは謎の人だった。


「はーいはい、ストップ〜。いやぁ、色々聞きたい事や話したい事があるんだけど。その前に自己紹介しようよ〜その方が会議も円滑に進むんじゃな〜い?」


そうじゃな〜い?そうかな?そうかも。って、やっぱこの人の声聞いた事あるんだよな、推しの声に似てる様な?いや、まさかな。日本だけでも何千万と人はいるんだから、そんな砂漠に落ちたダイヤモンドを探すみたいなって言うのは有名な例えだけどある訳無い。


オタクのキモい妄想は止めよう。折角美少女になってるんだから凛としとこう。それに、自己紹介だから、この謎の人の名前とかも分かるって事だしな。


『まぁ、私達は簡単で良いかな。私はスタッフAで良いや〜。で、この子が占い師系インフルエンサーの莉紗さん。はい終わり!それじゃあそっちをお願いしま〜す』


一番知りたい所が知れなかった。そんなモヤモヤした気持ちを持ちながら、妹の自己紹介を聞いていた。

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