『……二度ある事は三度あると言うけれども三度目は流石に』
高校時代の友達と最近どう?って電話をしていると、自然と仕事の話になった。
「ね〜聞いてよ。最近さ、転職したんだよね」
『え?そうなの?おめでとう?で良いのかな』
「うん!今の場所は良い所だよ。とある事務所の事務作業なんだけどね、とってもアットホームで過ごしやすい環境なんだ。元々副業でやってたのもあって慣れてるし」
『そりゃあ良かった。私も推しが出来てから毎日が楽しいよ』
「意外でも無いけど、やっぱりって感じだよね」
『何が?』
「いや、やっぱオタクにはV配信が刺さるなと思っただけ」
『私はオタクじゃないよ』
「オタクは皆そう言うんだよ」
何処かで聞いた様な会話をしながら、私達は会話を膨らませる。すると、話はどんどん面倒臭い方向へ進んで行く。
「でナルちゃんは良い人出来た?私達もそろそろ良い歳だし、親にも言われるでしょ」
『まぁ、確かに面倒臭いよね。私は兄貴のお嫁さんになるって言うので誤魔化してるけど』
「恥も外聞も無いってこう言う事なんだね」
『そう言うサッチはどう?』
「私は合コン行ったりとか、マッチングアプリで出会ったりしてるかな。一人っ子だし」
『あげないよ?』
「要らないよ。……あ、そうそう。そう言えば今日聞きたい事があったんだけどさ」
『?』
そんなくだらない話で花を咲かせていると、急にトーンが真面目モードになったので私もそれに合わせる様に姿勢を直した。
「最近オススメで"美少女ちゃんねる"って言うアカウントの動画が流れてくるんだけど」
『あ、え。ほぉ?』
「っふふ。どんなリアクション?なんかそれの動画に出て来る普通の少女ノマちゃんって言う子がいるんだけど、ナルちゃんの声に似てるんだよね」
『へえ、まあ声ぐらい余程特徴があるアニメ声じゃない限り?そんな個人個人が分かるほど、大して変わらないし。ただ声だけで、そんな似てるなんて言うのは私に対してもそのノマ・チャン?に対しても失礼なんじゃないかなって思うよ。大体最近は色々発展してAIボイスで詐欺とかもある時代なんだから声で個人を特定するなんて尚更難しいよね。ほら、嘘が嘘だと見抜けない人間はネットを使うのは難しいなんて有り触れた言葉を親友に使いたくは無いけど、これを機にネットから離れたらどうかな?まぁ、可哀想だからもうその動画とチャンネルは見ない方が良いよ』
「わ、分かったよ。分かったって!深夜にオタクの早口はカロリー高いから!」
沢山喋ったから疲れた。まさか兄貴の二の舞になりそうになるとは、これからは動画に出るのは控えた方が良いかもしれない。でも、捨てられそうなチワワみたいな目で見られたらなぁ。
「ごめん……仕事の電話が来たから今日はこれで。また、喋ろうね」
『うん、じゃあまたね!』
さて、寝ようかな。明日は水曜日、美少女兄貴の付き添いしなきゃだし。
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