ネッ友や知らない人にホイホイ付いていくのはダメ
「度々悪いな」
『本当だよ、私を無職だと思ってる?』
そう言いながらもいつも1コールで出てくれるのは神様だと思う。きっとコールセンターの神様が転職だと思う。
「実はだな、今日例のえちえち占い師さんと会う日なんだが」
『ちょっと気持ち悪い。きしょい、キモい。気持ち悪い』
ちょっとふざけただけでこうなるので、こう言う話題は気をつけた方が良い。じゃあなんて言えば良いんだ。
「そんなにか、分かった分かった。例の占い師さんと会うんだけどさどんな格好で行けば良いと思う?」
『どんな格好って……普通にラフな格好で良いんじゃない?』
「あージャージとか、半袖短パンとかな。成程、OK」
『いや、待って?本気で言ってる?』
「うん。ラフだろ?」
『そうだね……ラフだね。うーんそう言えばそうだね』
「はい?」
『取り敢えず、この間実家に帰った時に渡した私のお下がり一式の中に色々あったと思うんだけど……取り敢えず時間も無いし白ワンピ探して』
「いや、何処にあるかも分からないし。良いだろ半袖短パンで」
『その格好で行ったら勘当するってお父さんが言ってた』
そんなにかよ。まだ家族の縁を切られたくない俺は従うしか無かった。
結局遅刻してしまった。えーっと、"すいません遅れました。今着きました!何処にいらっしゃいますか?"っと。
絶対白ワンピースを探し出した後に、汚れやすいし体温調節とオシャレにカーディガンもあった方が良いと言われまたそれを探さなきゃいけなくなったせいだ。その後帽子もあったら良いねと言われて、追加の時間が掛かったのは忘れたい話だ。
……なんか凄い見られている気がする。そんな似合ってないのか?俺なんか気にしないでくれ。カーディガンで顔を覆うかと思い、まるで護送中の犯人みたいになりそうで辞めた。
おっ。返信だ。えーっと?
《私も今来た所です。こちらこそ遅れてスミマセン_:(´ཀ`」 ∠):
二人とも遅れたって事でゆっくり気にせずやりましょう。所でどんな格好でいますか♡♡♡》
そこは?で良いだろ。何でハートなんだよ……。待ち合わせ場所を見渡すと、そんなに人はいないから見つけやすい筈なんだけど……あ、あの人だ。
「すいません、莉紗さんで間違い無いですかね」
白のロングスカート、黒の半袖シャツ。それからいつも動画で付けてる黒いマスク。顔は出てないから分からないけど……と言うか、顔は今も目元まである前髪がセルフモザイクになってて見えないけど。
何よりスタイルが良く、存在感がある胸。失礼ながらきっと、彼女が目的の人物なのだろう。
『も、もしかして美少女ちゃんですか!!?』
何故かコチラを見て驚いた様子だったので、帽子を取って改めて目を合わせそうだと言う代わりにニコッと笑った。俺としてはこれから仕事をするであろうビジネスパートナーに対して好印象を与える為やった事なのだが。
それがいけなかった。
それに対して、何故か彼女は叫び声の様な物をを上げ。それに釣られ、野次馬達が集まり俺を見て写真を撮りまくると言う最悪な悪循環が発生してしまった。
『と、取り敢えず。何処か落ち着ける場所で暑いですし、飲み物でも飲みながら話しませんか?』
マスクのせいか、頬を赤らめながら息を切らし。先を走る莉紗さんがそう提案してくれる。このままずっと走る訳にもいかないし、そうした方が良いと思い素直に頷いた。すると。
『な、なら!近くに良い場所があるのでそこまで行きましょう!』
そして、俺達は彼女の言う"良い場所"まで向かう事になった。
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