『普通を自称している人は大体普通じゃないと思う。私が言うのはアレだけど』


『久々!東京に行ったって聞いたから、大丈夫かなぁ?と思っててさ、どう?東京』


「私は全然。と言っても、未だに東京は怖いし、やっぱりここは落ち着くね。ナルちゃんもいるし」


たまたま買い物に行っていたら、高校時代の友達に出会った。彼女とは、かなり学生時代仲が良かったのもあって久々の再会に会話に花が咲き。久々に前みたいに私の部屋で集まって色々話そうよと言う話になり、話しながら向かう事になった。










「変わってないね」


『そりゃあね』


我が家を眺める親友に私はそう返す。


建物は、たかだか数年では変わんない。此処数年で変わったのは両親の歳と兄貴の見た目と性別ぐらいだ。まぁ、兄貴は今頃配信だし関係無い。あー後でアーカイブ確認しないと。アーメンドウクサイナァ全く兄貴は……。


「あーそうそう!変わったで思い出した。聞いてよ、私の会社での話なんだけどね?」


いけない、今は親友との大切な会話の時間だ。兄貴の時間はいつでも良いけど。お盆に帰ってきた親友との時間は一刻を争う。


『うん。確か……IT系の会社だっけ?』


「そうそう。そこで働いてたらさ、別の部署で人が辞めたらしくて。まぁそこまでは良くある話なんだけどね……」


そう言った所で、一旦話を区切った親友に私は続きを促した。その反応に嬉しそうな親友は嬉しそうに続きを話してくれた。


「その人の辞めた理由がさ、"美少女になったから"なんだよ!おかしいよね?」


……。


「ソ、ソウダネ。ハハッケッサク〜」


いやいや、まだ。確定した訳じゃないし?ほら、次元を越えれば腐るほど存在する訳だし?そりゃこの世界では特異な例に入るだろうし、国が動いて無いのが不思議なレベルだけど。


『と、と言うかそんな理由で会社辞めれるんだね』


「あぁ、それがねぇその直属の上司がそれに対して否定した後に美少女になった社員が配信で暴露したらしくて、上司とその社員が仲良くクビになったらしいんだよね」


ツー……いや、スリーアウト。もう駄目だ。


『それは凄いね、流石東京!』


別の意味で驚き過ぎて、薄っぺらい感想しか出てこないけどしょうがない。


「ね、東京って凄い所だよね!ビックリしたよ……」


『それは、ビックリするわ。他になんか無いの?』


世界が狭過ぎる。まさか田舎ココよりも狭いのでは?東京。まだ、数回しか行ったこと無いけど。


「うーん……あっ!そう言えば、ナルちゃんのお兄さんも東京行くって言ったよね。もしかしたら会ってるかもね」


その美少女が理由で辞めた奴、ウチの兄ですとは言えなかった。きっと、この狭いコミュニティに風の如く吹き回りそう。その影響を考えたら、下手な事はしない方が良いに決まってる。


『いつまでも家の前で立っててもアレだし、そろそろ入る?』


「そうだね、お邪魔しまーす!」


どうぞどうぞ〜と出迎えて、靴を脱いだ時。何故か物凄い嫌な予感がした。見てはいけないモノを見た様な。無い筈のモノがあった気がしたけど、私は無視する事にした。何も知らない。

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