第27話 ひと夏の思い出
自販機の受け取り口に手を入れたら
不意に掴まれることがあるかも
それはきっと退屈すぎる毎日に
色どりをもたらす甘いエッセンス…
何時だって何処にだっているのよ
まだ眠い朝、まどろんだ昼下がり
怯える事なんてないわ
たまに愛情が暴走するけど…
風も無いのに揺れるブランコ
子供らの聞こえないざわめき
二人ならんだ夕暮れの帰り道
伸びる影の長さが何故か違う
切なくて、寂しくて、側に居たいだけなの
気付いてくれないから呼びたく成るのよ
電源落としたモニターの影に…
ギュウギュウ詰めの満員電車の中
ふと上から視線感じない?
気付かない振りだけはやめてね
悲しくてキライになるかもだから…
突然凄い勢いで吠える子犬
頭を撫でようとしただけなの
楽しかった友達との公園
あれっ?あの子は一体どこの子だろう
恋しくて、逢いたくて、独り占めしたくなるの
ああ、今日も気付いてはくれないのね
電源落としたモニター画面に写る私に…
人ならざる者の声は貴方には届かないの?
人ならざる者は夢を見ては駄目なの?
歯を磨いてる時も食事中も思いにふけっている時も
何時も
何時も何時も何時も何時も
抱きしめられたい、抱きしめたい
ベットの下に、鏡の中に、開けようとしてるドアの前に
何処でも、
何処でも何処でも何処でも何処でも
抱きしめられたい、抱きしめていたい
切なくて、寂しくて、側に居たいだけなの
気付いてくれないから呼びたくなるのよ
電源落としたモニターの影に…
恋しくて、逢いたくて、独り占めしたくなるの
ああ、明日は気付いてはくれるかしら
電源落としたモニター画面に写る私に…
モニター画面に写る私に…
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