Sixth day sudden murder
「はい!それでは今から楽しい楽しいイベントを始めさせていただきます。」
妙に機嫌が良いのはなんでだよ。言いようのない違和感と気持ち悪さ。
「少々お待ちください。準備いたしますので。」
現人は無駄にでかいボロボロの麻袋を床に置いた。置いた時に鳴った音から察するに、中には金属でできた何かが入っているらしい。現人は続けて、袋の中から一丁の斧を取り出した。新品ではなさそうだ。刃に輝きはなく、ところどころ錆びている。切れ味悪そうな、お…の、
…
は?
目の前で起きていることは、嘘である。
そう思わないと、いや、そうとしか思えなかった。は?
なに?なにが起こった?
目の前には首を切り裂かれた老人。真っ赤な血を冗談みたいに噴き出しながら、白目を剥いている。…やばい。やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい。
見たか?あの、あの…現人の振りかぶりの大きさ。アイツ笑ってた。いや違う、笑ってなかったかな。
知らねえ。とりあえず死んでる。死んでる。死んでる。死んだ。
身体が動かない。代わりに強烈な吐き気が襲ってきた。俺はもうどうすれびいいのか本当にほんとうにわからなくて、土左衛門とかいうやつのことも忘れ、何もかも怖くて。怖くて!
逃げたい。頭が1秒ごとに殴られてるみたいに痛んで、脳内では逃げろ逃げろって逃げなきゃってわかってるのに動けなくて、……ふっざけんなクソ!自分が生きてるのかもわからなかった。もしかしたらもうとっくに、あの化け物に脳天かち割られて逝ってるんじゃねえかな。
でも、そんなことはなかった。少し落ち着いてから周りを見ると、現人は斧なんて持っていなかったし、ジジイの死体なんてなかった(まずジジイはこの場にいなかった)し、血溜まりすらなかった。これは夢である。はいおしまい。
土左衛門はひたすら俺を心配していた。大丈夫だよーあと一日だからさー、あと一日だからさーとぶっ壊れた機械みたいに繰り返していた。
俺はどうやら、だいぶやられているらしい。
その後は普通に仕事をして、一日が終わった。
明日で、この地獄ともお別れだね。
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