デート

 学校ではオレ様的なオレ。

 

 しかし…学校以外では、ただの美桜梨ちゃん大好き人間です。

 

 

 だから、デートする時は…どんな感じで…っていうかさ、デート⁉︎

 

 

 デートだってよ⁉︎

 

 オレたちって…いまいちどんな関係かわからなくなりつつあるオレ。

 

 

 まず学校では、オレ様的なオレがいて…美桜梨ちゃんは、オレの推しという設定なのだが…

 

 学校の外では…はたからみたら普通のカップルみたいな感じなんだよね。

 

 一緒に帰ったり、アイス食べたりさ…

 

 

 

 これから毎週土日のどっちかデートって…デートという題名でいいのでしょうか?

 

 

 美桜梨ちゃんがデートしようって言ってきたわけなんですが…やっぱりこれは、美桜梨ちゃんのファンを退治するための口実でしかないわけで…。

 

 

 だから…だからいいでしょう‼︎

 

 のりましょう‼︎

 

 美桜梨ちゃんは、別に言い寄られているとかじゃないって言ってたけど、たぶんどなたか変なやつに付きまとわれているのでしょう!

 

 じゃなきゃ、オレとデートする意味がまるで謎ですものね?

 

 それしか思いつかないし、きっとそうに決まっているのさ。

 

 

 というわけで、早速土曜日の部活休みに美桜梨ちゃんとのデートです。

 

 あっという間に朝は、やっていらっしゃいましたよ。

 そして、

 オレはもう…ドキドキしながら待ち合わせ場所で美桜梨ちゃんを待ったよね。

 

 

 うっかり美桜梨ちゃんが変な男に絡まれないように、オレは待ち合わせ時間よりもだいぶ早めに集合した。

 

 

 そして暇なので人間観察をしていた。

 

 

 あの人も待ち合わせっぽいとか、あの女の子さっきからミニミラーで前髪チェックしてるから、きっとデートなんだろうなぁ。

 

 とか、勝手に想像していた。

 

 

 そしたら…待ち合わせっぽいとか思っていた人が相棒が来る前に、どこかへ一人で行ってしまったり、前髪チェックしていた女の子が実はデートじゃなくて普通に女の子どうしでのお買い物だったりと、予想がハズレまくりなのでありました。

 

 

 そうこうしている間に、向こうから天使という名の美桜梨ちゃんが現れました。

 

 か、かわいい。

 

 もうさ、髪の毛とかもユルフワに巻いててほんっとに可愛らしいったらありゃしませんって‼︎

 

 

 オレがこんなかわいい女性とデートという名の恋人ごっこをしても良いのでしょうか?

 

 

 これからものすごい罰ゲームが待ち受けてたりしませんよね?

 

 と、無言でだれかに問いかけるも…音信不通。

 

 

 …

 

 

 オレの隣に美桜梨ちゃんがきて、

「お待たせ」

 なんていうんです。

 

 あぁ、オレのもとに美桜梨ちゃん。

 

 

 こんな大勢の中から、わざわざオレの元へやってくる美桜梨ちゃんをみていたら、なんか奇跡に思えてきました。

 

 

 どうしたら…なんの偶然でオレたちは、こうしてめぐり合ってこんなことをしているのでしょうかね?

 

 

 幸せすぎるって…。

 

 

 目の前の美桜梨ちゃんを見てオレは、

「あ、おはよう。それじゃ行こっか」

 と、あたかも彼氏風を装ったが…

 

 

 おい待て‼︎オレよ‼︎

 

 ど、どこ行くんだ⁉︎

 

 このままどこに進んどるんよ⁉︎

 

 と、右足と左足に問いかけるも…やつらは普通に右左右左と交互に突き進むのみなのでありました。

 

 

 …

 

 足も音信不通。

 

 …

 

 えと、デートといえば…どーこ⁉︎

 

 …

 

 わからん…

 

 どこへ行ったらいいかわからんのよ。

 

 

 なんで決めとかなかったー‼︎

 

 とりあえず隣にいる美桜梨ちゃんにどこか行きたいところある?と聞いてみることにした。

 

 

 どうか美桜梨ちゃんは、音信不通じゃありませんようにっ‼︎

 

 

 てなわけで、オレは美桜梨ちゃんに聞いてみた。

 

 そしたら、ショッピングしない?

 って言われたから、そりゃ笑顔で

「うん、そうしよう!」

 と答えるのでありました。

 

 

 やばい…

 

 めっちゃ楽しくて笑顔がとまりませんっ‼︎

 

 あ、そんなウキウキしてる場合じゃない。

 

 美桜梨ちゃんのファンを撲滅せねば。

 

 

 ここは…ひとつオレが頑張らねば‼︎

 

 

 思い切ってオレは、美桜梨ちゃんの手を握った。

 

 

 すると美桜梨ちゃんは、

「えっ…?」

 と、オレを見た。

 

 だからオレはしれーっと、

「迷子にならないようにオレの手をリードだと思ってね」

 と、一言添えた。

 

 そしたら美桜梨ちゃんは、素直だから

「うん、わかった!」

 と笑顔で答えてくれるのでありました。

 

 

 美桜梨ちゃんのおてては、細くて少し冷たい。 

 

 

 美桜梨ちゃん…

 

 

 手、ギュッてしたら折れそうだな…と心配なオレなのでありました。

 

 

 続く。

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