叔父さん

白兎

叔父さん

 これは私の叔父さんのお話です。

 叔父さんはとっても個性的です。軽自動車を持っていて、車体を個性的に塗装していました。元は白だったのでしょう。そこへ茶色の塗料を牛柄に塗装。目立ちます。自宅玄関の扉は、金色と銀色を斜めの縞模様に。派手です。

 叔父さんは私たち子供を遊びに連れて行ってくれます。例の軽自動車でね。叔父さんの子供、私の従弟ですが、私の一つ下の男の子と、四つ下の男の子がいます。そして私の姉。四人の子供を連れて遊びに行きます。夏になると川遊びです。平地の川ではなく、山の川。なので、車で山道を登っていきます。上流の綺麗な川へ着くと、大きな黒い浮き輪に、子供を乗せて、そらいけー! と川へ流します。大人は叔父さんだけです。浮き輪には姉と上の従弟を一人乗せて流し、私と叔父さん、下の従弟の三人は車に乗って、川下へと移動します。そして、川へ入って上流から流れて来る黒い浮き輪をキャッチします。子供たちは大喜び。

 子供の頃は楽しかったです。深く考えてはいないですからね。


 私の家は三丁目で、叔父さんの家は四丁目。その間には小学校があります。車で三丁目から四丁目まで行くのに、そんなに遠くはありませんが、とっても近道がありました。それは小学校の運動場です。三丁目から四丁目まで、真っ直ぐ突き抜けたりしてね。でも、学校関係者に知られたのでしょう。車で侵入できないようにフェンスが設置されました。

 叔父さん怒られたかな?


 叔父さんは子供たちが楽しむことをしてくれます。場所はどこか忘れましたが、小学生の私の背丈よりも高い草が生い茂ったところがありました。そこへ、叔父さんの軽自動車で行きました。車がそこを走れるとは思えない所ですが、突入していきます。前も見えないのに、草を車で踏みつぶしながら進みます。窓は全開で、草がバサバサと打ち付けてきます。子供たちは面白くて、大はしゃぎです。ひょっこりカマキリさんも入ってきて、私も大喜びでしたが、虫嫌いの姉は大騒ぎ。それを見て、私は大笑い。

 叔父さんの軽自動車、酷使されてたなあ。


 時々、叔父さんのことを思い出して、元気にしているかなあ、なんて思います。


 ちなみに、叔父さんは叔母さんに離縁されました。原因は分かりません。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

叔父さん 白兎 @hakuto-i

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ