ハーレムルートを歩む

第34話 陽子さんも欲求不満?

 陽葵さん・陽菜さんとの関係を深める、いわゆる『ハーレムルート』を決意したボク。2人に満足してもらえるように、ベストを尽くすんだ!



 陽子さんが作ってくれた朝食を頂いてる途中で、彼女がボクに声をかけてきた。


「空いてる時に、リサイクルセンターに持ち込むのを手伝ってくれないかしら?」


「リサイクルセンターですか?」


「ええ。ダンボールとか新聞紙とか、そういうのを持って行きたいのよ。面倒だから、つい溜めちゃって…」


つまり力仕事だな。力に自信はないものの、それぐらいなら大丈夫そうだ。


「車は私が出すから安心してね。ただ、1回では終わりそうにないわ…」


「大丈夫ですよ。予定はないので」

陽子さんのペースに合わせれば良い。


「何言ってるの朝日君。アタシ達とHする予定があるじゃん!」


「そうだけど、陽子さんを手伝う時間はあるよね?」


「多分…」


何でそこが曖昧なの? どれだけ長時間を見込んでるんだ?


「別に今日でなくても良いわよ? 3人のHを邪魔する気はないから」


「陽菜、アンタもHにしたいよね?」


「さすがに“尽くし”は無理かな。少しは勉強しないと…」


「アンタの成績なら、勉強しなくてもアタシ達の大学に受かるって!」


それは言い過ぎかもしれないけど、かなり余裕なのは間違いないと思う。学力と志望大学が合わないからだ。


「その油断が命取りになるんだよ」


「やっぱり陽菜は良い子ね。陽葵とは大違い」


「母さんひどくない!?」


「あんたが大学生になってから、朝日くんと知り合って本当に良かったわ。もし高校生だったらと思うと…」


「勉強なんて、マジでやらなかっただろうね」


「ドヤ顔で言うな!」


それは絶対ボクにも当てはまる。大学で会えた幸運に感謝だ。


「陽菜は真面目だから、Hの前に母さんを手伝う事にしよっか。朝日君」


「陽葵さんも協力してくれるの?」


「まぁね。だって、朝日君のそばにいたいし…」


そこでモジモジするのか。とても可愛い。


「ありがとう。陽葵さんがそばにいてくれると、ボクも嬉しいよ」


「見せつけてくれるわね~、朝日くん」


「いや、ボクはそんなつもりじゃ…」


「陽菜が寂しそうよ?」


陽子さんにそう言われたので確認すると、確かに構って欲しそうな顔をしている。


「朝日さん。2人がお母さんの手伝いをしてる時は勉強を頑張りますので、後でたくさん相手して下さい♡」


「もちろん」



 朝食後に出かける準備をしてから、ボクと陽葵さんは陽子さんの手伝いを始める。


「3人いるから分担した方が良さそうね」


「分担? どういう風に?」


「私が玄関に縛ってあるダンボールや新聞紙を出す。朝日くんはそれを駐車場に停まってる私の車まで持って行く。陽葵はトランクか後部座席に積み込むって感じね」


この分担、どう考えてもボクが一番大変だ。駐車場と3階を何度も往復するからな…。


「大体出し終わったら、私も朝日くんと一緒に運ぶわ」


それならある程度は楽できそうだ。


「何か気になる事があったら訊いてちょうだい」


「これって、アタシが一番楽じゃない?」


確かにそうだ。正直なところ羨ましい。


「あんたは玄関に出して欲しい物を見落としそうだし、運ぶのは『疲れた~』とか言ってサボりそうだからね」


「母さんが厳しいよ~、朝日君」


なんて言われても、ボクに出来る事はない…。



 陽子さんの役割分担に従い、少しずつ運んでいくボク。…思った通り大変だ。大学生になってから、ロクに運動してないのが影響してるな。


陽子さんも途中から運ぶ側に回ってくれて助かった。終始1人ならギブアップしてたかも。そして…、全ての物を車に積み込んだ。


「朝日くん。助手席に乗ってくれる?」


「ボクで良いんですか?」

てっきり陽葵さんかと…。


「もちろん。物が多すぎて、トランクだけじゃなくて後部座席の一部も埋まってるでしょ? 朝日くんをそんな狭いところに座らせる訳にはいかないわ」


「アタシは良いの? 母さん?」


「あんたは楽したんだから、それぐらい我慢して」


「はいはい」


「ごめんね陽葵さん…」


「良いの良いの。楽だったのは間違いないから」


彼女は気にしてなさそうだ。


「それじゃ行くわよ、乗って」


ボク達3人は車に乗り込み、リサイクルセンターを目指す。



 目的のリサイクルセンターは、車で数分移動してから到着した。これだけ近いなら、1回で終わらなくても負担は少ない。


「案内に従えば、間違える事はないと思うわ。分担して回収BOXに入れるわよ」


「わかりました」


「はいは~い」


……特に問題なく済ませたので、ボク達は車に乗る。乗る場所はさっきと同じだ。


「そういえば、あれを忘れるところだったわ。思い出せて良かった」


家に戻る道中、陽子さんが口を開く。


「母さん。あれって何?」


「お父さんのノートパソコンよ。デスクの上に2台あるけど、表面に大きい傷があるのは壊れてるんだって。それの処分を出張前にお願いされたの」


ノートパソコンは“回収対象品”になっていたな…。


「ふ~ん、父さんのノートパソコンか~。それデータ消してあるの?」


「壊れてるなら消せないじゃない」


「壊れ方にもよるよ。初期化ならできるかもね」


「帰ったら、一応チェックしてみましょうか」


情報はどこから漏れるかわからない。確認して損はないな。



 帰宅後、陽子さんはお父さんの部屋から壊れてるノートパソコンとACアダプターを手に取り、リビングに来た。ボクと陽葵さんは事前に待機している。


「あれ? このパソコン、普通に起動するじゃん」


陽葵さんの言うようにパソコンは問題なく起動し、トップ画面に移行する。それだけでなく、マウスの動きも大丈夫そうだ。


「そうね…。お父さんの勘違いだったのかしら?」


ボクはパソコンに詳しくないからな…。これから操作すれば、壊れてるところがわかるかもしれない。


「ねぇ、お母さん達は何をしてるの?」


声がしたほうを見ると、陽菜さんがリビングにいる。


「父さんの壊れたパソコンをいじってるんだよ。アンタ勉強は?」


「今は休憩中。のどが渇いてね」


水分補給を済ませた陽菜さんはすぐ部屋に戻るかと思いきや、ボク達のところに来た。


「これ、仕事用のパソコンなのかな? フォルダがたくさんあるね」


陽菜さんの言うように『取引先』・『報告書』・『スケジュール』など細かく分類されたフォルダが多い。ごちゃ混ぜにならないよう、しっかり分けてるようだ。


「このフォルダの『娘の写真』ってなんだろう?」


「お父さんの事だから、陽葵と陽菜が映った写真があるんじゃないの?」


フォルダ名から推測するとそうなるな。仕事で疲れた時に見るんだろうか?


「せっかくだし見て見よっか」

陽葵さんがフォルダを開く。


「あれ? これ写真じゃなくて動画じゃん」


フォルダ名と中身が一致しない? うっかりミスかな?


「まぁ良いや。開くよ」


彼女が動画を開くと…。


『あん♡ もっと奥まで激しく突いて~♡』


あろう事か、エロ動画が流れ始めた。どういう事? あまりの出来事に、全員固まってしまう…。


「父さんやってくれたね~」

ハッとした陽葵さんが、動画を一時停止してからそう言う。


「ぱっと見わからないように、『娘の写真』っていう名前にしたんだよ」


パソコンのトップ画面は、いつ誰が見るかわからない。フォルダ名を『エロ動画』にしたら、問題が起きるかも…。


「さて、中身はわかったし動画を閉じようかな。…あれ? マウスが動かない」


陽葵さんがゆっくりマウスを動かしても、うんともすんとも言わない。急にどうしたんだ?


「お姉ちゃん。このパソコン、フリーズしてるよ」


「マジで? さっきの動画、重くなかったはずだけど…」


「やっぱり、お父さんが言ったように壊れてたのね」


エロ動画を再生したから役目を終えたんだな。…お疲れ様、ノートパソコン。



 「母さん。さっきの動画は見なかった事にした方が良いんじゃない?」


「そうね。お父さんは真面目に仕事を頑張ってるもの」


「陽菜もそれで良いよね?」


「うん…」


お父さんのエロ動画のせいで、リビングに微妙な空気が流れる…。


「お父さんだけズルいわ…」


「ズルいって何が? 母さん?」


「えっ? 今声に出してた?」


「出してたけど」


「何でもないわ。気にしないでちょうだい」


お父さんがエロ動画を観てた事を知った後の…。ボクの予想が正しければ…。


「朝日くん・陽葵。もう1回、さっきみたいな積み込みをするわよ」


「はい」


「次で終わりそう?」


「終わるから安心なさい」


「なら頑張れそう」


「わたしは勉強に戻るね」


陽子さんの手伝いは後半戦になるな。最後まで気を抜かずに頑張ろう!

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