三途の川管理人助手 お盆のお仕事2
いやあ、本当にお盆は忙しいですね。ここで、もうひとつのお盆のお仕事をご紹介しましょう。仕事を制すものは怨みを制すっていいますからね。
それは、三途の川誘導係でございます。三途の川管理人の助手らしいお仕事でしょう。
申し上げた通り、この時期の黄泉、三途の川は大忙しでございます。
(現世に)帰られる方と(黄泉に)戻られる方の二種類がありますからね。列は必然的に二列になる訳です。どっちも「戻る」という表現が適切なのでめんどくさいですね...。
まあそこで、間隔を開けていた列に横入りする方、並んでいるもの同士が喧嘩する、間違えて別の列に並ぼうとする...トラブルは数多あります。 仮に、ひとつひとつがすぐに解決してもなんせ数がありますから。呼ばれても、はいどうしましたなんて言えないことも多い。他の方の喧嘩を仲裁している間に
「なあなあ、今いいかな、あ、忙しいよねごめんねえっと...」
見ればわかんだろ忙しいんだよ、という言い方をされる死人様はまあいい方で、
「俺は元暴走族だぞ呼ばれたらさっさと来いやクソが」
クソはお前だよ。みたいな暴力や果ては脅してくる死人様もいらっしゃるわけでして...他には
「ちょっと今無視したよね?しましたよね?クレーム入れますよ、いいんですか?どこの部署の方?名前聞かせてくれません?あ、いえないんだ、いえないってことは自分が悪いことしたってわかってるんですね、あーあ、こんな方が役人だなんて、現世だったらSNSで晒してやるところだったのに。今スマホないからできないんだよなぁめんどくさいちょっと上の人呼んできてー、あ、こんな人の上司ならどうせ無能なんだろうなー、黄泉ってこんなとこだったんだ、ねぇー私今この人に無視されましたーーーひどいことされましたーーーーー誰かうぇぇぇぇん」
こっちが泣きたいわクソが。
少し遅れただけでこれですよ。一番最後の方なんて小さい声で言われたって聞こえませんよ。
といった、もうどうしようもない方もいらっしゃいます。まあ、こちらも現世でクレーム対応してきましたからね。慣れてるとはいってもいらいらはします。
なんでせっせと仕事してんのに怨まれてんだか。
私もまさか、仕事も恨めしければ生きてる人間ですら怨んで果ては黄泉にいってまで黄泉の人間に怨むことになるなんて、しかも自分もしっかり怨まれる。まあ、怨んで怨んで怨まれて、結果的にそれが黄泉の役人に就職したことのツケってやつですかね。
あ、その経緯は別で語っていますので、ご興味ある方は私の「過去」のお話をご覧ください。
ちなみに上記の方々は、2メートル程ある屈強なお役人さんへと仲介申し上げて、しょっぴいてもらいました。厳重注意の元、これからどうなるかは向こうの判断でございます。あくまで私、仲介は得意分野ではありますが、こういうのは御免こうむりますからね。
さ、今日も怨み怨まれお仕事をしましょうか。
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