そうして大人になっていく

第1例 ソルティ

僕と付き合っていた時のあなたは本当に可愛かった。

自分のしたいことに真っ直ぐで、何を食べたい、どこへ行きたい、二人で何をしたい、これは一人でしたい。

そんなふうに全て伝えてくれている君が好きだった。

スイパラによく行っていた。友達とも、僕とも。

初めていく僕にいろいろ教えてくれた。

楽しかったよ。また行きたいと思った。

あなたを思い出してしまうからもう行けないけれど。

大好きだったケーキも、パンケーキも、大きな口で頬張る君の笑顔をもう見ることはできないんだ。

欲望に真っ直ぐだったあなたはもういない。

新しく彼氏ができたんだって聞いたよ。

無理をしてでも一緒にいたいって言ってた。

頑張って甘いものとか、好きだったジュースも、全部我慢しているみたいだね。

今の君の好きなものは、ソルティクッキー。

甘いものに目がなかったあなたを知っている僕からすると、本当にバカみたい。

それでも無理をして、あなたにおめでとうを送った僕も。

相当バカみたい。