#2




「教科書見せて」



「見にくい」



「もっと寄って」



「…………んっ(くんくん)」



「アンタ……ちょっと臭う」



「あー、前の授業……体育か」



「はい、これ」



「私の好きな匂いのヤツ」



「貸すから付けといて」







「課題やってあるよね」



「写すから見せて」



「…………」



「写すのも……ダルい」



「私のに写しといて」



「あー……。筆跡?」



「これ私のノート」



「私のヤツ真似して書いて」



「……ダメ?」



「これぐらい、いいじゃん」



「貸しひとつで」



「助かる」







「どこ行くの?」



「学食……お昼持ってきてないの?」



「売店でいいじゃん」



「さっさと買いに行って」



「早く戻ってきて」



「ダッシュ」



「あっ、ついでに飲み物忘れたから買ってきて」



「コーヒー。微糖」




…………。



…………。




「遅い」



「なに汗だくになってんの?」



「これ使って」



「別に……一緒に食べるヤツが臭かったら不味くなるでしょ」



「コーヒーは?」



「んっ、サンキュー」



「ほら食べるよ」



「いただきます」




もぐもぐ。




「アンタそれだけで足りんの?」



「……急いでたからこれしか買ってないって?」



「ふーん」




ひょいっ。




「はい。コーヒー代」



「口、開けて」



「なに?」



「いや私そういうの気にしないし」



「さっさとアーンしろ」




パクッ。




「どう?美味しい?」



「……ん?私の手作りだけど?」



「そっ」



「……待って。どこ行こうとしてんの?」



「……は?2本目のコーヒー買ってくる?」



「そんな飲まないから」



「座って」



「ほら、もう1つ」



「サービス」



「貸しひとつね」











「どこ寄る?」



「別に用事とか無いでしょ」



「ファミレスでいいか」



「行くよ」




…………。



…………。




「コーヒーはーー」



「…………いいや」



「アンタ、何飲むの?」



「そっ」



「じゃ、アンタと同じヤツ」




…………。




「山ぶどうスカッシュね」



「これ好きなの?」



「確かにドリンクバーぐらいでしか見ないね」



「原価が安いからでしょ」



「知らないけど」



「つーか」



「こっち」




パンパン。




「隣」



「対面じゃなくて、こっち座って」



「なに?」



「あんまり見られんの好きじゃない」



「隣の方が目に入んないでしょ」



「それに」



「いつも隣じゃん」




…………。



…………。




ペラ……。ペラ……。




「アンタそれ、何呼んでんの?」



「ラノベ?」



「あー、私はあんまそういうの読まないかな」



「なんてヤツ?」



「『催眠アプリを手に入れた乙女達』? 」



「催眠アプリって……えっちなヤツじゃん」



「変態」



「えっ?サイコホラーなの?」



「へぇー……」



「それはちょっと気になるかも」



「漫画版とか無いの?」



「私、漫画は読むけど小説は読まないし」



「ふーん……。あんま人気ないんだ」



「中古で30円……コスパ最強じゃん」



「古本……ね」




…………。



…………。




「……なに?」



「時間……?」



「あー……」



「私ん家、親帰ってくんの遅いから」



「家帰っても誰も居ないし」



「だから、まあ」



「いつも適当な所で時間潰してる」



「もう、いい時間か」



「そろそろ、帰るか」











「アンタん家はそっち?」



「逆方向か」



「私ん家はこっち」



「ストップ」



「私ん家はこっち」



「すっかり夜だね」



「私ん家はこっち」



「ほら」



「行くよ」



「あっ、そうだ」



「ちょっとスーパー寄ってくから」



「夕飯と明日の食材」



「ん?まぁ……料理はよくする」



「別に料理が好きって訳じゃないけど」



「凝った料理作んのって、かなり時間かかんのね」



「だから、いい時間潰しになる」



「あと自分で作れば味付け好きに出来るから」



「なんか普通の味付けって口に合わないんだよね」



「そういえば……」



「アンタ、私が作ったの美味しいって言ったよね?」



「ふーん」



「別に」



「アンタも変わったヤツだよね」



「それだけ」




…………。



…………。




「……なに食べよっかな」



「アンタさ」



「好きなの何?」



「なるべく作るの面倒くさそうなヤツでヨロシク」



「ふーん」



「まあ、悪くないね」




…………。



…………。




「私ん家、ここ」



「こっからアンタん家までどのぐらいかかりそう?」



「そっ」



「まあ、そこそこかかるね」



「家、着いたら連絡して」



「じゃ、また後で」












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