#2
「教科書見せて」
「見にくい」
「もっと寄って」
「…………んっ(くんくん)」
「アンタ……ちょっと臭う」
「あー、前の授業……体育か」
「はい、これ」
「私の好きな匂いのヤツ」
「貸すから付けといて」
◇
「課題やってあるよね」
「写すから見せて」
「…………」
「写すのも……ダルい」
「私のに写しといて」
「あー……。筆跡?」
「これ私のノート」
「私のヤツ真似して書いて」
「……ダメ?」
「これぐらい、いいじゃん」
「貸しひとつで」
「助かる」
◇
「どこ行くの?」
「学食……お昼持ってきてないの?」
「売店でいいじゃん」
「さっさと買いに行って」
「早く戻ってきて」
「ダッシュ」
「あっ、ついでに飲み物忘れたから買ってきて」
「コーヒー。微糖」
…………。
…………。
「遅い」
「なに汗だくになってんの?」
「これ使って」
「別に……一緒に食べるヤツが臭かったら不味くなるでしょ」
「コーヒーは?」
「んっ、サンキュー」
「ほら食べるよ」
「いただきます」
もぐもぐ。
「アンタそれだけで足りんの?」
「……急いでたからこれしか買ってないって?」
「ふーん」
ひょいっ。
「はい。コーヒー代」
「口、開けて」
「なに?」
「いや私そういうの気にしないし」
「さっさとアーンしろ」
パクッ。
「どう?美味しい?」
「……ん?私の手作りだけど?」
「そっ」
「……待って。どこ行こうとしてんの?」
「……は?2本目のコーヒー買ってくる?」
「そんな飲まないから」
「座って」
「ほら、もう1つ」
「サービス」
「貸しひとつね」
◇
「どこ寄る?」
「別に用事とか無いでしょ」
「ファミレスでいいか」
「行くよ」
…………。
…………。
「コーヒーはーー」
「…………いいや」
「アンタ、何飲むの?」
「そっ」
「じゃ、アンタと同じヤツ」
…………。
「山ぶどうスカッシュね」
「これ好きなの?」
「確かにドリンクバーぐらいでしか見ないね」
「原価が安いからでしょ」
「知らないけど」
「つーか」
「こっち」
パンパン。
「隣」
「対面じゃなくて、こっち座って」
「なに?」
「あんまり見られんの好きじゃない」
「隣の方が目に入んないでしょ」
「それに」
「いつも隣じゃん」
…………。
…………。
ペラ……。ペラ……。
「アンタそれ、何呼んでんの?」
「ラノベ?」
「あー、私はあんまそういうの読まないかな」
「なんてヤツ?」
「『催眠アプリを手に入れた乙女達』? 」
「催眠アプリって……えっちなヤツじゃん」
「変態」
「えっ?サイコホラーなの?」
「へぇー……」
「それはちょっと気になるかも」
「漫画版とか無いの?」
「私、漫画は読むけど小説は読まないし」
「ふーん……。あんま人気ないんだ」
「中古で30円……コスパ最強じゃん」
「古本……ね」
…………。
…………。
「……なに?」
「時間……?」
「あー……」
「私ん家、親帰ってくんの遅いから」
「家帰っても誰も居ないし」
「だから、まあ」
「いつも適当な所で時間潰してる」
「もう、いい時間か」
「そろそろ、帰るか」
◇
「アンタん家はそっち?」
「逆方向か」
「私ん家はこっち」
「ストップ」
「私ん家はこっち」
「すっかり夜だね」
「私ん家はこっち」
「ほら」
「行くよ」
「あっ、そうだ」
「ちょっとスーパー寄ってくから」
「夕飯と明日の食材」
「ん?まぁ……料理はよくする」
「別に料理が好きって訳じゃないけど」
「凝った料理作んのって、かなり時間かかんのね」
「だから、いい時間潰しになる」
「あと自分で作れば味付け好きに出来るから」
「なんか普通の味付けって口に合わないんだよね」
「そういえば……」
「アンタ、私が作ったの美味しいって言ったよね?」
「ふーん」
「別に」
「アンタも変わったヤツだよね」
「それだけ」
…………。
…………。
「……なに食べよっかな」
「アンタさ」
「好きなの何?」
「なるべく作るの面倒くさそうなヤツでヨロシク」
「ふーん」
「まあ、悪くないね」
…………。
…………。
「私ん家、ここ」
「こっからアンタん家までどのぐらいかかりそう?」
「そっ」
「まあ、そこそこかかるね」
「家、着いたら連絡して」
「じゃ、また後で」
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