アンタがラインを越えたんだから責任とって貰うから

助部紫葉

#1





「…………なに?」



「…………」



「なんか用?」



「…………」



「私は仲良くする気とか無いから」



「あんまり話しかけないで」



「…………」



「はぁ……」



「面倒くさ」



「…………双葉蓮花」



「…………」



「まだなんかある?」



「……そっ」



「ならもう話しかけないで」



「だるっ」











「………………ねぇ」



「…………」



「………………おい」



「…………」



「………………き」



「教科書」



「…………」



「忘れた」



「…………」




ガタガタ。




「……なにニヤニヤしてんの」



「きっしょ」



「あんまり近寄らないで」



「それじゃ見えない」



「…………はぁ」



「だるっ」











「おい」



「アンタだよ、アンタ」



「数学の課題やった?」



「ふーん」



「ちょっと見せて」



「へぇー……」




ペラ、ペラ。




「……写していい?」



「…………んっ」



「助かる」











「アンタさぁ」



「……昼、いつも1人だけど」



「友達とか居ないの?」



「…………」



「ふーん」



「……あ?私のことはアンタに関係ないでしょ」



「…………」



「おい」



「なに勝手に席くっつけてんのよ」



「近寄んな」



「…………」



「…………ぐっ」



「確かにアンタには助けて貰ってるけど……」



「あー……」



「分かったわよ」



「これで貸し借り無しだから」



「今日だけだから」



「なにそんな嬉しそうな顔してんのよ」



「…………はぁ」



「アンタってホント変わってるわね」



「面倒くさ」










ザーザー、ザーザー。




「……最悪。雨じゃん」



「しかも結構強いし」



「……ん?」



「なに?」



「ーーって、アンタか」



「なんか用?」



「…………」



「見てわかんないの?」



「そうよ」



「傘忘れた」



「…………別に」



「はあ?」



「自分は走って帰るからコレ使って……?ってーーあっ……!おい!待って!」




タッ、タッ、タッ、タッ、タッ!




「…………なによ、アイツ」



「アレじゃ、びしょ濡れじゃん……」



「バカなヤツ」











「暇?」



「放課後」



「なんかある?」



「そう」



「ならちょっと付き合って」



「何って……」



「この前の傘のお礼」



「ファミレスでいいね?」



「はぁ…………だるっ」



「いいから」



「早くして」



「ほら、行くよ」











「私の奢りだから、好きなだけ飲んでいいよ」



「まっ、ドリンクバーなんだけどね」



「私の分も持ってきて」



「アイスコーヒー。ブラック」




カタッ。




「…………」



「ストロー」




サッ。




「んっ…………(ゴクッ)」



「…………苦っ」



「やっぱミルクとガムシロップ」



「各3つ」




サッ、サッ、サッ。


プチッ、プチッ、プチッ。




「んっ…………(ゴクッ)」



「…………甘っ」



「はぁ……」



「まぁ、いいや」




…………。



…………。




…………。




「あのさ」



「…………」



「私ってさ」



「なんていうか」



「こう見えて……」



「我儘だし」



「わりと図々しい」



「だからかなんか知らないけど……」



「皆から大体……煙たがられるんだよね」



「私もバカじゃないからさ」



「そういうの雰囲気で分かんの」



「それが分かんなら私が我慢すればいいだけの話なんだけどさ」



「空気読めって話」



「別に空気読めない訳じゃない」



「それで、よく我慢してたし」



「でも」



「そういうのシンドいんだよね」



「ダルいし」



「面倒くさいし」



「何やってんだろって思って」



「リセットした」



「そうしたら、こんなだよね」



「1人で居た方が余計な気を使わなくていいから気楽」



「…………でも」



「1回言ったけど、私もそんなバカじゃない」



「アンタが少なからず私に好意を持ってるのは分かる」



「その理由が何かは知らないけどさ」




スーーーーッ。




「ライン」



「テーブルに線を引いた」



「ここが」




トントン。




「境界線」



「こっからこっちは私の陣地」



「もし」



「アンタがこれ以上こっちに踏み込んでくるなら」






「ちゃんとして」






「スマホ出して」



「ロック解除して」



「そのスマホ」



「テーブルの好きなところに置いて」




ゴトッ。




「ふーん」



「まったく迷わなかったね」



「分かった」



「アンタには」



、取ってもらうから」




スッ……。




ポチポチポチ。




「はい」



「私の連絡先登録したから」



「メッセージは5分以内」



「着信は3コール以内」



「無理な時は事前連絡」



「守れなかったらペナルティ」



「質問ある?」



「ないね」



「それじゃ」






「これからよろしく」






「コーヒーお代わり」



「ミルクと砂糖は適量」



「丁度いい、甘さのヤツで」









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