第15話「初めてのダンジョン攻略」
今日はダンジョン攻略をしようと思う。
ダンジョン攻略はダンジョン内で寝食を行うことも珍しくないらしいので少々困っている。
「えーっと、2人とも料理出来ないんだよね?」
「うん!」
「私の時代に料理があったと思うなよ?」
「そっかぁ。非常食買って行こっか。」
そしてギルドに向かった。
──ギルドにて
「王都の近くのダンジョンでしたらB,C,D,ランクがございますがどちらにいたしますか?」
「Bランクでお願いします。」
「それではお気を付けて」
ダンジョン攻略はダンジョン内で倒した敵からドロップしたアイテムを持ち帰り、ギルドで買い取ってもらい稼ぐ。ダンジョンは敵を倒しても時間が経てばリポップするため、ダンジョン攻略で生計を立ててる冒険者は多いらしい。あと修行場にも最適だし。
この後食料を買ってダンジョンに向かった。
「ここが……ダンジョン」
「入口は洞窟みたいだね!」
「懐かしい。ドラゴンでも居そうだな。」
フラグやめようか、リリスさん。
「最深部までは平均2日かかるらしいよ」
「えー!お風呂入れないの!?」
「転移魔法でどうにかなる」
「やったー!お風呂入れる!!」
「あ、そっか、買った食べ物どうしよう」
「非常食なんだろう?あって損はない」
「まあそうだね」
僕たちのダンジョン攻略が始まった。
──1階層
「うわ!蜘蛛だ!!キモッ!!こっち来た!!いやーーー!!」
「アマテラス落ち着いて」
「ふん。爆破してやる」
「リリスやめようか。ダンジョンがなくなっちゃう。」
──5階層
「なんか骸骨いる!!こっち向かってきた!!キモッ!!ハエがたかってる!!きもいきもいきもいきもい」
「アマテラス落ち着いて」
「ふん。水で綺麗にしてやろう。」
「リリスやめようか。ダンジョンが水没しちゃう。」
──10階層フロアボス
「でっかい蜘蛛!!ほんと無理!!キモイ!!」
「ちょ、アマテラス、バフ掛けて」
「爆破魔法!!」
「あ」
ドカーーーン
「いやーー!!なんか液体散った!!きもいきもいきもいきもい」
「わかる」
「ふん。綺麗な血しぶきだ。」
──30階層ダンジョンボス
───キュオオオオオオオン!!
白く巨大な九尾の狐だ。
──なにか来る!!
──ゴオォォォォォン
炎のブレスだ。
「大丈夫!?」
「うん、魔力の防御で無傷だよ。」
「さっすがー!!あ、もうバフ掛けてるよ。」
「たまには加減して援護をしてやろう。氷魔法発動」
狐の四足が氷で固められ動けなくなっている。
「ありがとうリリス!」
僕は高く飛び、魔力を纏った剣を着地と共に振り下ろした。
───ザンッ
真っ二つだ。
「いいねぇー!」
「アマテラスのバフのおかげだよ」
「貴様の剣技はなかなか見応えがあるな」
「ありがとう」
───ゴゴゴゴゴゴ
なんだ?地面にヒビが入って──
ドゴーーーーン
───我の眠りを妨げるのは汝らか
地面から巨大な真っ赤なドラゴンが現れた。
「ほう。五大元素竜の一角、炎を司るフローガドラゴンだな。」
五大元素竜……
──ドクンドクンドクンドクン
クリュスタロッスドラゴンのことを思い出す。
あの日、アリスが……
怒りが溢れてくる。僕は竜を睨みつけた。
「バフ掛けといたよ」
「ありがとう」
「今回私は手伝わん」
「大丈夫。こいつは僕が殺る。」
───ザザザ
「な、なんだあれ、うわぁぁぁぁぁ!!」
「ドラゴンだ!!ドラゴンがでたぞおぉぉぉぉ!!」
後から来た冒険者が逃げていった。
僕は刀を強く握り構える。
「汝らごときでこの俺に勝てるとでも?」
「いや、殺す」
僕は体中から殺意を放ちながら言う。
「言わせておけば……調子に乗るなよ小僧!!」
────ズォォォォォ
ブレスか
「リリス、アマテラスを守ってあげて」
「ふん、それくらいはする」
リリスはアマテラスに近づき周りにバリアを張った。
このことで僕に掛かっていたアマテラスのバフの供給が切断される。よってバフが切れた。
僕と竜の一騎討ちだ。
僕はリリスたちから離れるように走りブレスヲタ誘導する。
───来る!!
僕は左手を地面につけ氷の防壁を作る。
───ボォォォォォォ
───ドゴーンドゴーン
ブレスが氷壁に当たり冷たい空気が急激に暖められ爆発も起きている。
前回のクリュスタロッスドラゴン戦ではブレスの後「適応進化」によって蹂躙されてしまった。だから今回はそんな隙を与えるつもりは無い。
押し切る…!!
──
──パキパキパキパキ
「なっ!?」
ドラゴンが驚いた声を出したがもう遅かった。
ドラゴンはブレスごと全身が凍ってしまった。
「ほう。炎相手に氷で圧倒するとは……貴様も面白い男になったな。」
なんかリリスが激励してる。
僕は刀を構え、刀に魔力を込めて竜に向かって跳んだ。
───魔力斬
竜の首を落とした。
「すごいよ!レイシ!!1人でドラゴンを倒しちゃうなんて!!」
アマテラスに名前で呼ばれるの初めてかも。
アマテラスがこちらに近づいてきた。
「あわわ」
アマテラスが滑って転びそうになったので──
──ドッ
「こっちは凍ってるから危ないよ」
小さな背中を手で受け止めた。
「う、うん。ごめん。まだ地に足をつけて歩くのに慣れてなくて…」
少し恥ずかしそうに目を逸らして言う。
アマテラスは地面が凍ってるとかそういうのに注意がまだ向きづらいのだろう。
「なかなか見応えがあったぞ」
今日はリリスがかなり褒めてくれる。
自分の肉体の持ち主を殺した種族だから少し恨んでるのかも。
「でも前みたいに能力を発動されてたら負けてたかも」
「ふむ。今の貴様なら勝てると思うがな。ま、とりあえず──」
リリスは収納魔法に竜の首を入れた。
───ダッダッダッ
この階層の入口の方で複数の足音が聞こえた。
4人の男がそこにいた。
先頭は黒髪黒目で白いコートに白い長ズボンの男で身長は僕と同じくらい。
後ろの3人は白い男よりも身長が高く、銀色の鎧を纏っている。
左の男は細身で水色の髪で冷たい表情をしている。
真ん中の男は赤髪で標準的な体格で熱血って感じに見える。
右の男は橙色の髪でガタイが良く寡黙な雰囲気が漂っている。
「民間異能治安維持特殊部隊到着。ドラゴンが出現したと聞いた…の……だが…まさかお前たちが倒したのか?」
先頭の白い男が言う。
民間異能治安維持特殊部隊……クロノスくんが話していたことがある。
騎士団がいるのに勝手に仕事を奪ってくる非公認の能力者集団でクロノスくんも絡まれて争い事になったことがあるって。
「ええ、まあ」
「レイシが1人で倒したんだよ!!」
アマテラスが誇らしげに言う。
「ん?レイシ……ああ!君たちはスーパールーキーパーティーか!!なら納得だ。」
「僕らはもう疲れたので帰りますね」
そう言って僕らは歩いて階層の入口に向かい、すれ違ったとき──
「待ってくれ。」
白い人に肩を掴まれた。
あ、これめんどくさいやつだ。
「俺たちも強くならないといけない身なんだ。1戦だけでいい。手合わせしてもらえないか?」
うわー。いつものやつだ。変に有名になったせいでよく手合わせを求められるようになったんだよね。
厄介だな。今回はクロノスくんにまで戦いを挑む人だ。でもまあ僕も強くならないといけないから──
「いいですよ。」
「感謝する。だがこちらは4人で君たちは3人だ──」
「4人まとめてかかってきてください。僕一人で相手します。」
リリスとアマテラスは後衛だ。この人数だと肉弾戦を強いることになる。リリスはともかくアマテラスまで戦わせるわけにはいかない。
「ほう。舐めてくれてんじゃん。」
赤髪が拳を合わせながら言う。
「いいだろう。文句なしだぞ?」
白い男が言う。
「もちろんです」
──バッ
僕は4人から距離を取るよう跳んだ。
「ふむ。今日は私達の出番はないようだ。」
リリスは自身とアマテラスを防御魔法に包んだ。
「いきますよ」
僕は合図する。
「こい」
白い男が答える。
──
大半はこれで終わるけどどうかな。
「甘ぇ!!」
赤髪の男が炎の能力で対抗するが──
「グワッ」
下半身を凍らされて継戦不能。
「俺は氷への耐性が──なっ!?」
「岩よ、私を守りなさい──ん!?」
水色と橙色の髪の男たちも同様に凍る。
「まったくお前らは……」
白い男の足元だけ凍っていない…
「ふん!」
──パリーン
まじか。僕が出した氷全てが散った。というか消えた。
「これが俺の能力──能力を無効化する能力だ」
白い男が両手を広げて誇っている。
厄介だ。クロノスくんも言ってたな。1人面白い能力の人がいたって。
「悪いね。スーパールーキー。これから君は能力を思うように使えないまま僕たちの能力に一方的に打ち負かされるんだ。」
なにが「僕たちも強くならないと」だ。ドラゴンを倒せなかった腹いせに僕をサンドバッグにするつもりじゃないか。少しムカつく!
「ずるいぞー!!」
アマテラスが指を指してぷんぷん怒ってる。
「ずるい?君たちこそ国王のコネでAランク冒険者になったんだろう?そのセリフはほかの冒険者のセリフじゃないかい?」
何言ってんだこの人。コネじゃないことを証明するためにわざわざ試験を受けに行ってそのランク帯最強に合格宣言してもらったのに。
「ヘッヘッヘ」
男たちが自身の周りに能力を出して余裕そうにしている。
「いいでしょう。どちらの能力が上か教えてあげます。」
「はーお前話聞いてたのか?お前は能力を使えないんだよ!」
赤髪の男が言う。別に能力無効化はお前の能力じゃないだろ。なんでそんな我がもの面で言うんだよ。
僕は手に木刀を作り握る。
「それは舐めすぎじゃないか?」
橙髪の男が口を開く。
──ダッ
「はえぇ!」
赤髪の男が驚く。
僕は白い男に斬りかかった。
「無駄だよ」
白い男が顔の前に手を出し木刀を受け止める。
だが──
「消え──」
バコーーン!!
木刀は消えず僕は白い男の頭を思いっきり叩いてやった。叩いたら悪い頭も直るかもしれないからね。
バタッ
白い男は白目を剥き地面に倒れた。
「な、なんで!?」
赤髪の男が驚く。ほかの2人も唖然としている。
僕はリリスの言っていたことを思い出していた。
「ああ、あと
───能力は0%~∞ の力を出せることが可能だ。
能力は魔力量、出力、技量、解釈次第でどれほどまでも強くなれるということだ。」
そう。単純に僕の能力があの男の能力を上回っただけのことだ。
「僕は今少しムカついてるから優しくは出来ないよ?」
僕は彼らに微笑み掛けて地面に片手をつける。
───
この回想一帯の地面が炎を吹く。
「あっち!あっち!!」
「ぐっ」
「ぬうぅ」
3人が気絶するまで僕は燃やした。
「あースッキリした!!」
アマテラスは伸びをして嬉しそうに言う。
「素晴らしい」
リリスは悪そうな笑みを浮かべてる。
そういえばクロノスくんはどうやって倒したんだろう。
いやあの人は能力なしの肉弾戦でボコボコにしたんだろうな。
───冒険者ギルドにて
「これが買い取って欲しいものとドラゴンの頭です」
「ダンジョンでドラゴンで出たことは知っています。まさか討伐した帰ってくるなんて……」
受付のお姉さんびっくりしてる。
「お、おいあれって…」
あ、いつものやつだ。
「ドラゴンの頭じゃねぇか?」
「うおぉぉぉぉ!!」
「レイシの兄貴がドラゴンを倒したぞぉぉぉ!!」
ギルド内が騒がしくなった。
その後買い取って貰ったお金とドラゴン討伐の臨時報酬を貰った。倒したのが五大元素竜なだけあって莫大な富を貰った。たぶん一般人なら半世紀は暮らせていけるお金だ。4等分して3つの塊は3人で分けてお小遣いにして残りは食費とか宿代に当てるつもりだ。
その後夜の王都内を歩きながら
「今更だけど武器とか装備とか買う?」
「私は必要ない」
「僕は軽い武器は欲しいかも!」
前にクロノスくんがおすすめしてくれた武器屋に行った。
すごい。どれも1級品の武器だ。刀もある!これは誰が打ったんだろうな。まあ僕は自分の能力で作れるから買うつもりはないけど。能力だと出し入れが楽だし。
「おいしょおいしょ」
アマテラスが大剣を引きずっている。
「うん。それはやめとこうね。」
「えーー」
元の場所に戻させた。
その後も何回か同じくだりをやって──
「これにする!!」
アマテラスが色んな武器が入った箱から取り出した。
「あ、いいんじゃない?」
ナイフだ。それにこれ、
「ふむ。これは不滅だな。壊れない。」
「いいね」
「買う!!」
「嬢ちゃんそれはガラクタ箱のやつだね。そもそも捨てる予定のやつだったからタダでやるよ。」
武器屋の気前のいい太ったおっちゃんが言ってくれた。
「やったー!!ありがとう!おじちゃん!」
「いいってことよ」
「じゃあこれは買います。」
さすがに何も買わずに出るのは気が引けたので買って出た。
──カチャ
「よし。これでいいよ。」
「ありがとう!」
さっき買ったナイフホルダーをアマテラスの右腿に装着した。
シャキン
アマテラスはナイフホルダーにナイフを入れた。
「どう?」
「かっこいいよ」
「可愛いじゃないか」
え、リリスってそんな褒め方できるんだ。
「えへへ、ありがとう」
アマテラスは頭の後ろに手を持っていき照れている。
「ちょっと僕も寄ってみたいとこがあるんだけど──」
魔道具屋にきた。
「えーっと、遠距離攻撃の能力を無効化するマントに魔力を放出する指輪、斬撃が飛ばせる剣……全部できる……」
「ふふっ」
「わー!わー!」
2人は離れたところで魔道具を使って遊んでいる。
なにも買わず出るのは申し訳ないので会計近くにあったものを適当に2つほど取って買って出た。
「貴様にそんな趣味があるとはな」
「ええー!可愛い!!」
「ぐぬぬ…」
僕が買ったのは「色んな動物になるケモミミカチューシャと尻尾セット」だった。しかも2つ。
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