「王都」編
第8話「冒険者と〇〇しないと出られない部屋」
冒険者になりたいねぇ〜、それが魔神討伐の1番の近道かもしれないね〜、最短で強くなれるからね〜」
と言うのは白髪虹色眼で活発な少年に見える国王だ。
「冒険者についてはどれくらい知ってるのかな〜?」
───ええっと冒険者にはランクと呼ばれる7段階格付けがあるんですよね
──Fランク
主に住民の依頼を受けて解決する。
ただし討伐依頼を受理することは不可能。
「そうだねぇ〜。ちなみに無能力者が多くて副業や趣味で冒険者してる人たちが多いよ〜。」
──Eランク
Fランクと同様に主に住民の依頼を受けて解決する。
Fランクと違い討伐依頼の受理が可能。
「うんうん!ここも無能力が多いね〜。討伐と言っても熊や狼などの動物が多くてあっても魔物はスライムぐらいだよ〜。あ、動物と魔物の違いは動物は死骸が残るけど魔物は死ぬと消滅やアイテムのドロップって感じかな〜。」
──Dランク&Cランク
主に討伐依頼を受ける。
この当たりのランクからダンジョン攻略も可能になる。
「そうそう、ここのランク帯は能力者と無能力者が半々ぐらいいるね〜。冒険者はここのランク帯だね〜」
──Bランク
Dランク、Cランクと同様に主に討伐依頼を受ける。
このランクから護衛依頼が急増する。
「このランク帯も能力者と無能力者が半々だよ〜。無能力者が思った以上にいると思った?無能力者と言っても村人のような人じゃなくて騎士団や剣術道場の門下生が多いね〜。加入するのにBランク冒険者以上の条件があることが多いからね〜。それほどまでに実力を示すのに冒険者ランクは一般化してきたんだよね〜。」
───Aランク
冒険者の最高峰と言われ多くの冒険者がこのランクを目指している。
あらゆる依頼を受けることができ、単独でダンジョンを完全攻略するものもいる。
「そうだね〜。強さで言うと1人で国王直属騎士団を一掃できるほどだね〜。上位10人くらいは全世界の人が知ってるレベルになるね。ほとんどが能力者でAランクになるには才能ととてつもない努力と経験が必要になるねぇ〜。実力と人間性も兼ね備えてる人が多い印象があるよ〜。まさにみんなが憧れる冒険者って感じだねぇ〜。」
──Sランク
Aランク同様全ての依頼を受けることが可能。
単独で国、あるいは世界を壊滅させることが可能なほどの力を持つと言われる。
「Sランクは世界に数人しかいなくてさらにその中の頂点に君臨するのが僕だよ〜。知らない人はいないレベルだね〜。レイシくんは知らなかったけど……。あと癖が強い人ばっかで自己中でAランクとは逆に才能だけでSランクになったやつもいる。基本的にSランク同士は不仲。災害みたいなもんだからAランクより依頼されることは少ないよ。」
「こんなものですかね。」
「ほう、貴様がこの世界で1番強いのか。納得だな。」
「そうです。国王様は最強です。」
自信満々に執事が言う。
「討伐ランクは知ってるかな〜?」
国王が僕の方を向き聞く。
「はい。冒険者ランクのように獣、魔物や犯罪者を格付けするものですよね。冒険者は自分と同じランクまでの討伐依頼しか受けることができなくて自分より上のランクは受けれないんですよね。」
「まぁそんな感じ。Aランク冒険者はSランク以上の討伐依頼も受けれるよ〜。討伐ランクは今のとこ最高がSSランクで200年前の魔王につけられたものだね〜。今存在している最高討伐ランクはSランクが最高だね。まぁSランクでも国の存亡がかかるほどだけどね」
「なるほど。やっぱり勇者パーティーは別格だったんですね。」
「勇者パーティーは最強だったね〜。僕以外の人が強くてね〜」
この国王でも謙遜することがあるんだな。
別に傲慢とかは思っていないけど。
謙遜するイメージが湧かなかったな。
「でもリーダーだったんですよね?だからあなたも──」
「僕はリーダーじゃないよ〜。ましてや僕は回復役ヒーラーであんまり戦闘はしてなかったしね〜」
「え?それだけの能力があってリーダーじゃないってどれだけほかのメンバーが強かったんですか!?」
「もちろんほかのメンバーが強かったのもあるけど……僕は自分の能力に気づいたのが魔王戦なんだよね〜。それまでずっと治癒する能力だと思ってたからね。能力に目覚めて最初に使ったのが巻き戻しだった上に触れて発動するから治癒の能力と見分けがつかなかったんだよね。」
「そういうことだったんですね。納得しました。」
「納得するだけで終わらないでほしいな〜。君の能力も同じように気づいてないことがあるかもしれないってことだよ〜」
「そうですね。精進します。」
「冒険者の話に戻すけど。今の君の魔力量的に魔力を放出して攻撃するだけでもBランクくらいはあると思うんだよね〜」
「ん?魔力の放出?」
「え!?知らないの?」
「はい」
「………。」
国王はしばらく沈黙し、
「よし!修行だ修行!!ついてこーーい!!」
国王はどこかに向かって走り出した。
と、とりあえずついて行こう。
「待ってくださーい!!」
国王を追いかけ王室を出て廊下をしばらく走ると大きな扉の前で国王が止まった。
国王に追いつき、
「なんですか?この部屋。」
「僕が王宮魔術士と一緒に作った精神と──いや、なんかやめておいた方がいい気がしたから名前変えるね。その名も〇〇しないと出られない部屋!!」
「………。」
「………。」
「………。」
僕とリリスと執事は沈黙した。
なんだそのいかにもいかがな部屋の名前は。
「国王様、あなたいつもその部屋って籠ってますがもしかして──」
執事が冷たい視線で国王に問う。
「いや修行っていつも言ってるじゃん!!違うって!!」
いつもね〜ね〜言ってる国王がすごく焦っている。
ここまで国王が焦るとは。執事さんこわっ。
「修行という名目で?いやまさか修行というのはそういうことなんですか!?」
「ほんとに違うってば!!ソロネも入ればわかるって!!」
「ハッ!?まさか私もその部屋に入れてわからせるってことですか!?国王様!?」
「ほんとにちがうんだよぉ〜」
その後も僕たち……特に執事の誤解を解くのにしばらくかかった。
「とりあえず入ろっか」
満身創痍の国王が言う。
ギィィ
扉を開けて僕たちは部屋の中に入った。
なにもない真っ白な空間が延々と広がっている。
部屋の見かけよりあきらかに広い。
これは本来存在する部屋とは別の空間なのだろう。
「この部屋では時間がゆっくり流れてるんだ。例えば数時間ここにいて外に出たら数分しか経ってないみたいなことも可能だよ。今回は極限まで時の流れを遅くするね。だからここから出ても全く時間が経ってないのと一緒だね。」
すごいな。こんなものを作り上げるなんて国王はもちろん王宮魔術士はとんでもない人間なんだな。
そういえば、
「魔法と魔術ってなにか違うの?」
リリスに聞いてみた。
「魔法を使うには生まれ持った素質が必要だ。魔術は素質がなくても使える。いや使えるように魔法陣を組み替えたものというべきか。本当はもっと複雑だが…。あと」
───魔法が出せる力を100%と仮定すると、
まぁ実際は75%~200%が近いか?
───魔術の力は50%~70%を安定して出すことが可能。
ああ、あと
───能力は0%~∞ の力を出せることが可能だ。
能力は魔力量、出力、技量、解釈次第でどれほどまでも強くなれるということだ。
「まぁこれらは私の感覚だがな。」
「そうなんだ。ありがとうリリス─」
「その感覚で合ってると思うよ!」
突然僕とリリスの間に国王が現れた。
「魔法は僕もわかんないけど魔術はザ・マニュアルって感じだねぇ〜。僕と魔術士がおんなじ魔術使っても効力ほとんど変わらないもん。まぁ術式に流れる魔力量も決められてるっぽいしなぁ〜。」
「そうだな。魔術は万人が魔法を使えるように魔法陣を術式に変換したものだからな。しかし……ふむ。魔術がこの時代に残っているとはな。魔法とともに『なかったもの』にされたはずでは?」
なるほど。僕らが魔法の存在を知らなかったように魔術もそうなる運命はずだったのか?
さっきのリリスの話から考えると魔法は素質がいるため使い手がいた。そして使い手は現代にいない?
じゃあ、
「魔術は本とかに術式を記しておけば保存できるからじゃない?」
リリスに訊いてみた。
「それくらいは知っている。そもそも魔術を完全に消すために魔神は──」
こんな顔するんだ……
リリスがすごくやるせない表情をしている。
「それで魔神を恨んでるのかな?」
国王が悪気なく訊いている。
「………ああ、まぁそんな感じだ。」
嘘ではないだろうけど、それだけじゃなさそうだ。
もっとなにか確信的ななにかが……
だけど今訊いても答えてくれなさそうだな。
国王の方を見る。
とりあえず今は──
「まぁとりあえず修行始めよっか!。」
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