第18話 言語を学ぼう

~♪~♪

スマホのアラームが鳴る。


「んぅ…朝か…」


アラームを切るがその時に気付く。


「あれ?バッテリーが減ってない…」


そう、バッテリーが100%のままなのだ。

この世界の雰囲気的にコンセントからACアダプターを繋いで端子でスマホを充電器なんか出来ない。

だとしたらなぜ100%のままなのだろうか?


………

……


グゥ…とお腹が鳴る。


「…多分俺が内包してる魔力で自動的に充電されてるとか?」


考えられるとしたらそれしかない。

まぁでも…


「とりあえずは朝食だな」


ベッドから起き上がり、朝食を取りに行った。



◇◆◇◆◇◆



「ありがとうございましたー」


食堂から出て空を見上げる。

今日も雲一つ無い快晴だ。

だが今日は依頼を受けるつもりは無い。

なぜなら…


「さて、教会で文字でも教わるか」


そう、未だに分からない文字の習得だ。

という事で今日は1日掛けて文字を覚えに行く事にした。



◇◆◇◆◇◆



教会の前に着き、ドアを開ける。

するとそこには以前祈りのやり方を教えてくれたルナさんが教会の掃除をしていた。


「あら?ジェイルさん…でしたっけ?お久しぶりです。今日もお祈りを?」

「いえ、今日は文字を教わりに来たのですけど…」

「え?文字を?」


少し驚いたような表情をされる。

まぁそうよな、俺なんかとっくに20代後半だ。

にも関わらず文字の読み方を知らないと来た。

人によっては呆れられるだろう。

だがルナさんはすぐに笑顔に戻った。


「分かりました。では木版を用意しますね」


そう言うとルナさんは掃除用具を持ち、教会の奥に消えた。



◇◆◇◆◇◆



暫くしてA4サイズ程の2枚の木版を持ってくる。

1つには何らかの文字が書かれていて、もう片方には何も書いてない。

恐らく何も書いてない方に書き写すのだろう。

ルナさんが椅子に座り、隣にと着席を促された。


「それでは説明しますね。まずこの列は"あ"行といいます。"あ"から始まり、い、う、え、お、という文字です。こちらは───」


それからもルナさんからの熱心な指導は続いた。

そして分かった法則性がある。

これらの文字は子音を2つに分割してその真ん中に母音を入れている。

ローマ字で例えてみよう。

日本語の"か"ならローマ字だと"KA"となる。

だがこの世界の文字はその"K"を縦に二分割…"Ⅰ"と"<"に分け、その真ん中にAを入れ"ⅠA<"となる…という感じだ。

つまり、この世界のか行をローマ字で表すなら


ⅠA<

Ⅰi<

Ⅰu<

Ⅰe<

Ⅰo<


という感じだ。

ちなみに"ぱ"や"ば"といった濁音や破裂音は真ん中の母音の上に小さい丸や濁点を付けるという感じだ。

まぁさすがにそれぞれの行はそのまんま"K"や"S"では無く初めて見た文字だったけど…

一応これで法則性は見れた。

次に書き取りだ。

書き取りでルナさんが告げた単語を文字にしていく。

自身の名前、モンスターの名前、国名、色々な名前を書いていった。



◆◇◆◇◆◇



「っと、これでほぼ大丈夫でしょう。そちらの木版は持って帰って宜しいですよ」

「分かりました。ありがとうございます」


俺は木版をバッグに入れ、教会を出る。


「さて、宿に帰ったらバッグの中にあったメモ帳で小さい早見表でも作るか」


と、歩き出す時にふと気付く。


(いや待てよ?この際この世界の歴史でも調べがてら文字を読むのにも慣れる作業をするってのはどうだろう)


実際、俺はこの世界の1%も知らないと思う。

この世界で起こった過去の事件や歴史、そういったのも知る必要がある。

その上、これから更に難易度の高い依頼を受けるのに依頼書が読めなければ受ける事さえも出来ない。

今薬草採取ばかりしてるのは識字出来てないからで、識字が出来るようになるのであれば様々な依頼を経験としてこなしたいとも思ってる。

ならばそれらをまとめて出来るのは─────


「ギルドのクエストボードと図書館かなぁ…よし」


日はまだ高い。

なら今日やれる事をやるなら────


「図書館で歴史でも見てみるか」


次にやる事が決まり、俺は歩き出した。

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作者の異世界旅行譚 JAIL @jeager

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