第9話 装備を揃えよう

「あ…あった…」


色んな所を歩いてようやく武器の看板がある店を見付けた。


(日本の駅みたいに案内板とか用意しといてくれよ…)


俺は愚痴りながらも店のドアを開ける。

店内の壁には様々な種類の剣が並べられたり、立て掛けられていた。


「らっしゃい。何が必要なんだ?」


扉を開けると筋肉がかなりある髭面の男性が剣を研いでいた。

うん、ひと目で頑固そうだと分かる。


「剣を探してるんですが。出来るだけ軽めでこのサイズのってあります?」


俺はそう言って胸元までを指差すと店員の男性は刃研ぎを止めて腕を組んだ。


「その位の長さだとここら辺のロングソード辺りだろうな」


よっと、と茶色い鞘に納められた1本のロングソードを壁の刀掛台から降ろし、渡してきた。

俺は誰もいない方向へ切っ先を向け、鞘から刀身を抜く。

重さは刀身が細いから、よく部屋で素振りをする模造刀よりちょい軽め位か?

軽く縦に振るが中々に丁度いい。


「剣はそれで良さそうだな。にしてもいいのか?そんな剣なら鎧も必要だろ」


鎧?あ、そうか。

基本的にこういう剣士は全身に鎧を着て全身を守りながら長い剣を振るんだ。

まぁ確かに刀を使ってた戦国時代の人でも兜とか身に付けてたしな。

けど個人的には要らないかなとは思う。

鎧を着けるとなるとそれはある意味"対人"や強モンスターを想定しての事だ。

恐らくこの世界にも盗賊とか山賊とかはいてそいつらを倒す依頼とかもあるだろうがあまりそっちの依頼は受けるつもりは無い。

無闇に人を殺す気は無いからだ。

でもいずれ盗賊といった賊討伐の依頼で協力を要請される日もくるかもしれない。

それについては覚悟をしなければな…


「んー、全身の鎧は止めときます。けどその代わり小手はありますか?」

「小手か。ならこいつらだな」


店主に案内されるとそこにも様々な小手があった。

革の見た目をしたヤツや完全に金属で出来ている物、中にはガントレットのように指先まで覆えるのもあった。


「これなんかどうだ?金属で出来てるが繋ぎ目は革で柔軟性を保ち、手の甲まではカバーしてる」


試しに試着させてもらった。

手の甲からは5本の紐が輪っかになっていてそこに指を入れるようだ。

腕を守る部分は裏が布になっていて押してみると柔らかい。

どうやら綿を入れてるようだ。

そして付けやすいようにボタンで留られるようになっている。

うん、しっくり来る。


「これでお願いします」

「あいよ。剣と小手、あと剣を提げるベルトも忘れちゃいけねぇから全部で金貨5枚だな」


金貨5枚…5万円って所か。

俺は金貨を渡し、ベルトを着けて剣を提げる。

腕には小手を着ける。

小手は長袖の為、周りから見えなくなった。

あとは胴体を守るのが欲しかったけど変に出費して宿に泊まる分のお金が無くなったら意味が無いからそちらはまた今度だ。


「まいどありー」


俺は軽く会釈して店を出た。


「おぉ…遂に買っちまった…」


公衆の面前で堂々と剣を提げちゃってるよ…

日本ならまず考えられない。

100%銃刀法違反で捕まる。

それと今日は見てみたかったものがある。


「よし、次は杖関係の店に行くか」


次に行くのは杖の店。

言うなれば下見だ。

俺自身、魔法が使えるかどうかは分からないけど使えるのなら使った方がいいと思い、先にめぼしい物をマークしておく。

そしてクエストに行って宿代とその杖の分のお金を稼いで買うのが今日のやる事だ。


「ま、使えなかったら意味無いけど…行ってみるか…って事はまた店探しから始めるのか…」


俺はもう迷いたくないので今いた店の店主に杖の店を聞きに入った。

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