第8話 異世界2日目の朝

~♪~♪~♪

スッ…


さも当たり前のように画面のマークを指でスライドし、設定していたアラームを止める。

今は午前7時50分。


「ん~…え?なな…マズッ!?」


ガバッと起き上がり会社に行く準備を…!


「…おん?あ…」


そこで気付く。

あ、俺異世界来たんだった…

一気に気が抜けて再びベッドに横になる。


「あー、焦ったー…そういや初日が色々あり過ぎて考えて無かったけど元の世界の俺って何扱いなんだ?失踪、行方不明…とか?」


まぁ職場からは間違い無く鬼電とか来てるだろう…

前に職場の人達と食事会する時に住所も教えてるからアパートにやって来て部屋に居ないのにスクーターはあるという謎な状況に、その人達は失踪したとされて恐らく実家の方にいないか連絡、で、マジで居ないしどこに行ったかも分からないから行方不明にされてる感じかなぁ…

もしかしたら前に見てた行方不明の人を探す番組とかで取り上げられてたり…?

え、そしたらめっちゃ恥ずかしいんですけど…


「つーか今思うと何で俺転移されたんだろう?」


俺より頭がいい人なんか五万といる。

そんな人達なら何かしらの発明等をしてこの世界の技術的な進化を促せるかもしれないのに…


………

……


ダメだ。

何も思い浮かばない。


「とりあえず起きて朝食でも食べに行くか…」


ムクリと起き上がり金袋、スマホ、腕時計、アパートの鍵を持って部屋を出る。

一応貴重品だし、鍵の方はお気に入りのストラップ付けてるし。

ふぁ~。と大きな欠伸をしながらカウンターに向かった。



◇◆◇◆◇◆



「おはようございます」

「あ、昨日の。そういや部屋の延長はどうする?もう1日なら銀貨4枚だけど」

「あ、それじゃあお願いします」


俺は銀貨を4枚渡して宿を出た。

外は快晴だった。


「んー!!!!久々にこんな早くに起きたなぁ!」


今までは夜勤が殆どだから朝起きられるかどうかも不安だった。

だが朝起きるのが辛くはないようだ。


「さーて、向かいの所で朝食でも摂るか」


俺は昨日と同じの向かいにある食事処に入ろうとしたが目の前で店の前を箒で掃く女性が俺に気付く。


「あ、すみません、ただ今準備中でして…もうしばらくすれば鐘が鳴りますのでそれが開店の合図となります」

「あ、そうなんですか。分かりました」


そういやと思い、俺は腕時計を見る。

宿を出て少し時間は過ぎ、今は7時55分。

て事は鐘は8時に鳴るのかな?

あと5分ならわざわざ宿に戻るのは面倒だから店の前で待たせてもらう事にした。



◇◆◇◆◇◆



ゴーン、ゴーン、ゴーン。


街に鐘の音が鳴り響く。

ギルドにある塔の鐘が揺れて鳴っていた。

それと同時に色んな店の看板が店の前に置かれる。

恐らくこの看板を置くのが開店の合図なのだろう。

俺は目の前で開店した食事処に入る。


「あ、先程の!お待たせいたしました。この時間朝食セットのみの販売ですがいかがします?」

「お願いします」


少々お待ち下さい。と言われ、カウンターに座る。

少し待って食事が運ばれてきた。

メニューはフランスパン(らしきもの)2個、目玉焼き、ソーセージ、サラダといった、ザ・朝食みたいなメニューだ。

さっそく頂こう。

まずは目玉焼き、半熟なようで黄身を割ると固まりきってない黄身が溢れてくる。

それをフランスパンに乗せて食べた。


(ウッッッマ)


昨日の生姜焼きといい、朝食といい、ここマジで当たりの店なんじゃないか?

あっという間に平らげ代金銅貨5枚を渡して店を出た。

銅貨5枚って事はあのセット500円なのか…


「さて、朝食も済んだし今日は装備を揃えてからまた薬草でも取りに行くか!」


俺は伸びをして装備屋へと歩き出した。


…装備屋ってどこだ?

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